5,000トン吊り起重機船「三航翔安」による橋形アンローダー設置


2026年4月19日、中交第三航務工程局有限公司(CCCC Third Harbour Engineering)は国家能源集団 福州码头発展有限公司が発注する可門1-3号バース容量拡張・改修プロジェクト(二期)において橋型グラブアンローダー3基の設置を完了しました。
設置した橋型グラブアンローダーの重量は1基当たり2,305トン。荷揚げ能力は石炭で1,800トン/h、鉄鉱石で3,000トン/h。40万トン級のばら積み貨物船に対応可能なことから、ターミナルの貨物処理能力向上、ばら積み貨物の安定供給、コスト削減、効率改善が見込まれる重要な設備となる。プロジェクト全体は2026年7月末までに完了する予定。
橋型グラブアンローダーの水切りからレールオンまでの作業は自航式5,000トン吊り起伏式起重機船「三航翔安」(San Hang Xiang An)でおこなわれました。3基の設置作業は連続作業でおこなわれ、1基当たりの設置時間は11時間と報じられていることから、33時間連続で作業を続けたようです。人員は交代制を取っていたのか不明。空腹や睡魔でふらついて高所から転落、なんてことを想像すると少し恐ろしい。

橋型グラブアンローダー設置時の問題に対する対策
橋型グラブアンローダー設置時の動画を見ると、作業をおこなう上で障壁となる問題に対していくつかの対策が施されていました。
吊荷を回転させるために1フックで吊り上げ

5,000トン吊り起伏式起重機船「三航翔安」のメインフックは2基あり、それぞれ容量は2,500トン。2基のメインフックに大きなフックをぶら下げて1フックの状態で吊り上げ作業を実施。
これは、橋型グラブアンローダーのブームに起重機船のジブが干渉して正面から吊り上げが出来ないという問題を解消するため。1フックで吊り上げることで吊荷を回転させることが可能になるので、正面ではなく少し角度を付けた位置から吊り上げることが出来る。
橋型グラブアンローダーと起重機船ジブのクリアランスは5m


輸送船で運ばれてきた橋型グラブアンローダーのブームは伏せた状態ですが、吊り上げた時点でブームは起きている状態になっています。これは、1フックで吊り上げをおこなっていることから吊荷の傾きを調整することが出来ないため、吊り上げ時に吊荷のレベルを調整するにはブームを起こす必要があったんだと思われます。
設置位置でブームを起こした状態の橋型グラブアンローダーと起重機船ジブのクリアランスはわずか5m。1フックだと風が吹いても吊荷が回転するので、起重機船から吊荷に対して振れ止めのタガーを取っていました。
玉掛け作業は陸上のクレーンで補助

出典:X | China Communications Construction(@CCCCLTDofficial)
吊りワイヤーを手で引っ張れる規模の玉掛けであれば何も問題はありませんが、大型起重機船での玉掛け作業では吊具を玉掛け位置の真上に持ってくるのがセオリー。
今回の玉掛けでは橋型グラブアンローダーのブームが接近するので起重機船の操船範囲も制限されるため、陸上クレーンを補助として使用したようです。奥側の吊具を起重機船の補助フックで巻き上げていることから、玉掛け順序は手前→奥、逆に玉掛け外しは奥→手前という順序。
橋型グラブアンローダーのブームを伏せた状態で作業が出来る玉掛けよりも、ブームが起きている状態の玉掛け外しの方が高難易度。
自航式5,000トン吊り起重機船「三航翔安」の概要

出典:天海融合防务装备技术股份有限公司
起重機船「三航翔安」は上海振华重工(ZPMC)で建造され、2024年9月に竣工。船体寸法は長さ186m、幅48m、深さ13.5m。最大吊り上げ能力5,000トンのクレーンは、2,500トン吊りのフックブロックを2基搭載。ジブ先端に取り付けられる補助フックは1,200トン吊り。それぞれ甲板上からの揚程はメインフック最大133m、補助フック最大150m。
自航式で船首に3,000kWのバウスラスター2基、船尾に2,500kWのアジマススラスター3基を搭載。ウインチによる係留設備に加え、DP-1のDPS(ダイナミックポジショニングシステム)を備えている。
| 船名 | 三航翔安 |
| クレーン能力 | 5,000トン |
| 揚程 | 主フック:133m 補フック:150m |
| 長さ | 186m |
| 幅 | 48m |
| 深さ | 13.5m |
| スラスター | バウ 3,000kW×2(船首) アジマス 2,500kW×3(船尾) |
| DPS | DP-1 |
| 建造年 | 2024年9月 |
- 2023年5月建造開始
- 2024年3月進水
- 6月
- 9月
- 9月竣工
【動画】橋型グラブアンローダー設置作業
DP性能をもつ自航式5,000トン吊り起重機船「三航翔安」による1基当たり重量2,305トンの橋型グラブアンローダー3基の水切・レールオン作業。メインフックを1フック仕様にして吊荷の回転を可能にしている点に注目🧐pic.twitter.com/c7azsG5AQu
— クレーン船.com (@crane1000com) May 24, 2026