大金重工と正力海工が欧州でのSEP起重機船稼働に向けて協定締結

2026年4月13日、中国のDajin Heavy Industry(大金重工)とZhengli Marine Engineering(正力海洋工程)はヨーロッパ市場における風力タービン設置船(SEP起重機船)事業に関する戦略的協力枠組み協定を締結したと発表。
大金重工業はプレスリリースで、ヨーロッパの洋上風力発電分野における長年の経験と蓄積した技術を活かし、正力海洋工程と協力した上で既存の3,500トン級風力タービン設置船をカスタマイズ・改修してヨーロッパの洋上風力発電プロジェクトで設置作業を実施する予定であることを明らかにしました。
正力海洋工程との戦略的協力枠組み協定締結により、大金重工業はヨーロッパの中核的な風力発電設備設置市場への参入を加速させ、洋上風力発電設備設置における戦略的展開サイクルを大幅に短縮。両社は風力タービン設置船をカスタマイズする研究開発や共同市場開拓などの分野で長期的な協力関係を構築していくという。
今回の提携により大金重工業は、タワーや基礎などの基幹機器の製造から洋上設置工事に至るまで洋上風力発電産業チェーンを拡大し、産業チェーン全体を網羅するサービスチェーンを構築。この包括的なサービス能力を活用することでヨーロッパの風力発電開発企業に対し、機器製造、輸送、設置までワンストップの統合ソリューションを提供。多岐にわたるプロジェクト関連のコミュニケーションおよび管理コストを大幅に削減し、プロジェクトライフサイクル全体を通して効率的な管理が可能になる。
大金重工が基礎機器メーカーから総合的な洋上風力発電ソリューションプロバイダーへと戦略的に転換する上で、重要な一歩になると述べています。
カスタマイズする3,500トン級風力タービン設置船は「正力3500」

出典:ZPMC
カスタマイズする既存の3,500トン級風力タービン設置船というのは、正力海洋工程が上海振華重工(ZPMC)で建造中のSEP起重機船「正力3500」(Zheng Li 3500)を指しているものと思われる。
SEP起重機船「正力3500」は2026年3月にメインクレーンの組立が完了しており、完成間近のはずですが竣工時期については公表されていない。
3,500トン吊りSEP起重機船「正力3500」

出典:正力海洋工程有限公司
SEP起重機船「正力3500」の船体寸法は長さ143.8m、幅56.6m、深さ13m。レグ長さは136mで最大作業水深は70m。
SEP起重機船「正力3500」には、右舷船尾側のレグがある位置に最大3,500トン吊りのメインクレーン、右舷船首側のレグ付近に350トン吊りの補助クレーンというクレーン2基が設置される予定。メインクレーン先端にはメインフックと別に1,200トン吊りの補助フックを搭載。甲板上からの揚程は、メインフック160m、補助フック180m。高い揚程により20MW以上の風力タービン設置が可能。
メインクレーンに搭載されているメインフックはダブルフック仕様となっており、正力海工の掲載情報(2024年3月22日掲載)によるとメインフック2基の容量は3,500トンと1,200トン。左右非対称のフックブロックを採用している理由は、長尺で非常に重たいモノパイルなどの基礎杭を自船のクレーンのみで建て起こすため。
| 船名 | 正力3500 |
| クレーン能力 | (メイン) 3,500トン (補助) 350トン |
| 揚程 (メインクレーン) | メインフック:160m 補助フック:180m |
| 長さ | 143.8m |
| 幅 | 56.6m |
| 深さ | 13m |
| レグ長さ | 136m |
| 最大作業水深 | 70m |
| 定員 | 150人 |
| アジマススラスター | (船尾)3,500kW×3 |
| バウスラスター | (船首)3,000kW×2 |
| 格納式スラスター | (船首)3,000kW×1 |
| DPS | DP2 |
| 航行速力 | 8ノット |