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国産レアアースの産業化に向けたレアアース泥採鉱システム接続試験

国産レアアースの産業化に向けたレアアース泥採鉱システム接続試験
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国産レアアースの産業化に向けたレアアース泥採鉱システム接続試験

清水港と南鳥島の位置関係(直線距離で約1,900km)

2026年1月12日9時ごろ、地球深部探査船「ちきゅう」は南鳥島EEZ海域においてレアアース泥採鉱システム接続試験を実施するため、静岡県静岡市の清水港を出航。実施期間は2月14日までの約1ヶ月間。

日本の最東端に位置する南鳥島周辺の排他的経済水域(EEZ)の海底下にはレアアース元素の含有量が特に高いレアアース泥が存在しているという。今回、地球深部探査船「ちきゅう」が出港した清水港から南鳥島までは直線距離で約1,900km(約1,030海里)離れており、気軽に行けるような場所ではない。平均9ノットで航行しても片道約5日、往復で約10日を要する。

府省の枠や旧来の分野を超えた科学技術イノベーション実現のために創設した戦略的イノベーション創造プログラム(Cross-ministerial Strategic Innovation Promotion Program)。通称SIPと呼ばれる国家プロジェクトのSIP第3期で示された14課題の一つである「海洋安全保障プラットフォームの構築」では、海底鉱物資源として注目されるレアアースを高濃度に含む堆積物「レアアース泥」の探査、採鉱、製錬等の実証に取り組んでいる。

レアアース泥採鉱システム接続試験は、これまで蓄積してきた技術開発と運用ノウハウを基に2027年2月の本格的な採鉱試験に向けた最初の取り組み。試験により得られた成果は世界が注目し、日本のレアアースサプライチェーンの構築においても、成果が期待されている。

需要の高い海洋鉱物資源を深海から採鉱することについて、期待する反面、採鉱による深海の環境変化や底生生物の直接的な死、堆積物を浮遊させることによる濾過摂食者の窒息死などが懸念されていることを知り不安を覚えたのも事実。深海の生物とその生態は未知の領域が多く、影響を予測するのは困難。そして何より不測の事態が起きた時、原状回復には途方もない時間がかかるということ。いろんな意味で試験が成功することを期待。

排他的経済水域(EEZ)とは?

 排他的経済水域(EEZ,Exclusive Economic Zone)とは、海洋法に関する国際連合条約に基づいて設定される自国の基線(海)から200海里(370.4km)の範囲。海上・海中・海底、及び海底下に存在する水産・鉱物資源並びに、海水・海流・海風から得られる自然エネルギーに対して、探査・開発・保全及び管理を行う排他的な権利(他国から侵害されない独占的に行使できる権利)を有する。

レアアース泥採鉱システム接続試験

南鳥島EEZ海域において地球深部探査船「ちきゅう」で実施するレアアース泥採鉱システム接続試験は、将来的に国産レアアースの産業化を目指す取組ではあるものの、今回は採鉱システムの接続試験が目的。水深約6,000mの海底におけるこのような試験は世界でも初めての試みだという。

これまでの調査研究により、南鳥島のEEZ内にはレアアース元素の含有量が高い「レアアース泥」の存在が確認されている。今回のプロジェクトでは、日本の経済安全保障の観点から、先端技術に不可欠な鉱物資源として注目されるレアアースの安定的な供給の一翼を担うサプライチェーンの構築を目指し、この南鳥島レアアース泥の探査、採鉱、分離、精製、製錬の実証に向けた研究開発に取り組んでいる。

国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)はこれまでに産業技術総合研究所、京都大学、高知大学や民間企業などと共同して、南鳥島EEZ海域のレアアースの資源量の把握に取り組むとともに、深海からレアアース泥を採鉱するための機器開発と海底鉱物資源開発に不可欠な環境モニタリング技術の開発を進めてきた。

今回のプロジェクトで開発した採鉱システムは、海洋石油や天然ガス掘削で用いられる「泥水循環方式」に独自の技術を加えた「閉鎖型循環方式」のレアアース泥採鉱システム。海底下での解泥、採泥と海底から船上への揚泥を可能にするもので、閉鎖系で稼働するため、採鉱時に発生する懸濁物の漏洩・拡散を抑止。また、採鉱に伴う海洋環境への影響を調べるため、国際標準規格ISOを用いた海底と船上での同時モニタリングもおこなう。

レアアース泥採鉱システム接続試験は、レアアース泥の採鉱で使用する設備や機器の一連の作動を検証することが目的。レアアース泥を採鉱する手順は、「ちきゅう」を用いて南鳥島沖のEEZ海域における水深約6,000mの海底に向けてレアアース泥を採鉱する揚泥管や機器等を接続しながら降下させ、採鉱機を海底に貫入させる。採鉱作業中の海洋環境モニタリングでは、海底に「江戸っ子1号COEDO」、環境DNA自動採取装置、ハイドロフォンを設置して採鉱作業中の海洋環境を観測するとともに、洋上では生物光合成反応を利用した汚染監視システムなどの観測装置の性能試験も実施。

世界的に注目される海洋鉱物資源の採鉱

水深4,380mの海底から採取された多金属団塊
出典:Allseas

深海から海洋鉱物資源を採鉱するという試みは世界的に見ると他でもおこなわれている。

2022年10月にAllseasが発表した「Hidden Gem」による試みでは、太平洋のクラリオン・クリッパートン断裂帯(Clarion Clipperton Zone)と呼ばれる水深4,380mの海底から多金属団塊(polymetallic nodules)を推定4,500トン採鉱することに成功。

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地球深部探査船「ちきゅう」

船名ちきゅう
総トン数56,752トン
長さ210m
38m
深さ16.2m
速力8ノット
航続距離14,800海里
(約27,400km)
定員200人
建造年2005年
地球深部探査船「ちきゅう」
出典:Wikipedia | Gleam – Photo taken by Gleam., CC 表示-継承 3.0, リンクによる

【動画】レアアース採鉱に向けて「ちきゅう」が試験航海に出港

レアアース採鉱に向けて「ちきゅう」が試験航海に出港
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