浮体式洋上風力の画期的な係留システムを開発したDOTと清水建設がMOU締結
2026年4月3日、清水建設はアイルランドのDublin Offshore Technology(DOT)とアジア太平洋地域における浮体式洋上風力発電プロジェクトへの参画に向けた戦略的協業覚書(MOU)を締結したと発表。
さらに、清水建設はMOU締結と同時にDOTへ出資したことを明らかにした。清水建設は3年以上にわたりDOTと技術協力関係にあり、今後は一致協力して市場をリードしていく考えであると述べている。
係留索の中間に設置する画期的な荷重緩和装置(LRD:Load Reduction Device)

出典:SHIMIZU CORPORATION
DOTは、浮体式洋上風力発電の建設コスト削減と施工効率向上を可能にする画期的な荷重緩和装置(LRD:Load Reduction Device)の技術を開発・権利化している。
LRDは浮きに似た円筒形の装置で、海底と浮体構造物をつなぐ係留索の中間に設置し、波浪や強風により生じる係留索への荷重を吸収。結果として係留索の本数減と小口径化、既存船での施工が可能となることで、係留システムの建設コストの半減が視野に入るという。
LRDの安全性・信頼性については、アイルランドでの水槽実験、イギリスでのドック試験を経て、2025年末にノルウェーの国際認証機関であるDNVからプロトタイプ認証を取得。今後、LRDは本格的な商業化フェーズに移行することから、浮体構造物係留システムの主力装置として採用拡大が期待されている。清水建設としてはDOTとの協業により、アジア太平洋地域における独占使用権を強力な営業ツールとする考え。
LRD使用で15MW級風力タービン設置時に1基あたり約20億円のコスト削減効果
清水建設はプレスリリースで、過去に参画した福島復興浮体式洋上ウインドファーム実証研究事業(経済産業省の委託事業)のデータを用いてLRDのコスト削減効果を参考に挙げている。
参考例として、15MW級の浮体式洋上風車を水深100mの洋上に設置するケースでは、1基あたり約20億円の削減が見込まれるという。この削減効果は、チェーン径が185mmから132mmに、本数が9本から6本になることによるもの。また、合成繊維ロープなどを用いる他の係留方法と比べ、LRDによる係留システムは柔軟性が高く、耐久性の面でも優位性があるという評価結果も得られている。
浮体式洋上風車1基の建設費のうち、係留システムが約20%強を占め、プロジェクトの採算を大きく左右するレベル。このため、アイルランドの電力事業者であるESB(Electricity Supply Board)は2030年以降に建設を計画している100MW級の浮体式洋上風力発電プロジェクトにLRDを全面採用する予定。