SEP船「Maersk Viridis」貨物昇降システムの試験映像公開
Maersk Offshore Windは、SEP起重機船「Maersk Viridis」に搭載されている貨物昇降システム(Cargo Elevation system)のテスト映像をLinkedInで公開しました。
Maersk Offshore WindはLinkedInの投稿文で、ドッキングエリアに設置した貨物昇降システムのテストで ”reverse trial run”(逆方向の試運転)を実施したと記載しています。
ドッキングエリアというのは、船尾側に設けられたコの字型の切り欠き部分を指しており、その部分に専用輸送船を係留して輸送船上のトレイに積まれた風力タービン部材をトレイごとリフトアップして荷受けするというSEP起重機船「Maersk Viridis」最大の特長である仕組み。”reverse trial run”(逆方向の試運転)というのは、公開されたテスト映像で甲板上のトレイを搭載クレーンによりドッキングエリアへ移動させた後、貨物昇降システムを使用して輸送船の高さまで降下させるという風力タービン設置作業で輸送船から部材を荷受けする場合の逆手順をおこなっているためのようです。
Maersk Offshore Windは、SEP起重機船「Maersk Viridis」に搭載されている貨物昇降システムのテスト成功により、風力タービン部材を輸送船からメインデッキまで安全かつ確実に上昇させることができるため、安定した状態でタービンの設置準備が整うと述べている。
非常に興味深い映像ではありますが、ジョーンズ法に対応したSEP起重機船「Maersk Viridis」の貨物昇降システムで最もリスクの高い作業は輸送船をドッキングエリアに係留する作業だと思う。今回公開された映像は、輸送船の係留が完了した後の手順であるため、あくまでも動作確認に過ぎないのではないでしょうか。早く実際の施工を拝見したい気持ち。
関連 Maersk初のSEP起重機船「Maersk Viridis」命名式
2026年3月26日にアメリカへ向けてシンガポールを出港

出典:Maersk Offshore Wind
2026年3月26日、Maersk Offshore WindはSEP起重機船「Maersk Viridis」がアメリカへ向けてシンガポールを出港したと発表。
SEP起重機船「Maersk Viridis」は初作業としてニューヨーク沖の「Empire Wind project」で15MW風力タービン設置をおこなう予定。
ところで、Bollinger Shipyardsで建造している専用輸送船のタグとバージは大丈夫なのだろうか。
2,000トン吊りSEP起重機船「Maersk Viridis」


出典:Maersk Offshore Wind
搭載されているメインクレーンの能力について、命名式の映像で映ったフックブロックにSWL 2,000tと書かれているので1,900トン → 2,000トンへ修正。
| 船名 | Maersk Viridis |
| クレーン能力 | 2,000トン |
| 揚程 | 180m |
| 長さ | 143m |
| 幅 | 83.2m |
| 深さ | 11m |
| レグ長さ | 118m |
| スラスター | アジマス 4,300kW×6基 トンネル 900kW×2基 |
| DPS | DP2 |
| 速力 | 7ノット |
| 甲板面積 | 4,000m2 |
| 甲板強度 | 7.5トン/m2 |
| 宿泊設備 | 100人 |
| 船籍 | デンマーク |
- 貨物昇降時の最大重量:5,000トン
- バージ押し込み量:2m
- 押し込み容量:9,200トン(アクティブ)、14,400トン(パッシブ)
- ジャッキ数:4基
関連 ジョーンズ法対応の風力設置船、輸送船を接続するロックシステムとは?
専用輸送船はBollinger Shipyardsで建造、2026年引き渡し予定

出典:Maersk Offshore Wind
Maersk Offshore Windの風力設置船で使用する専用輸送船は、アメリカのボリンジャー造船所(Bollinger Shipyards)で建造され、2026年に引き渡し予定。建造予定のタグボート2隻とバージ2隻については、Edison Chouest Offshore(ECO)が所有・運航をおこなうことが発表されています。Maersk Offshore Windのウェブサイトにはタグボートとバージの詳細情報がArticulated Tug/Barge(連結式タグ・バージ)として掲載されており、押船方式で連結した上でDPS-2の自動船位保持能力を有している。バージへの電力供給はタグから有線ケーブルによりおこなわれる仕組み。船体寸法などの要目は以下の通り。
専用輸送船 タグとバージの概要
| 船種 | Barge |
| 載貨重量トン数 | 7,044トン |
| 長さ | 68m |
| 幅 | 36m |
| 深さ | 12m |
| スラスター | アジマス 1,350kW×2基 トンネル 1,400kW×1基 |
| DPS | DPS-2 (タグ・バージ連結時) |
| 速力 | 6ノット (タグ・バージ連結時) |
| 船籍 | アメリカ |
| 船種 | Tug |
| 総トン数 | 200トン未満 |
| 長さ | 43.3m |
| 幅 | 13.4m |
| 深さ | 7.5m |
| スラスター | アジマス 2,500kW×2基 |
| DPS | DPS-2 (タグ・バージ連結時) |
| 速力 | 6ノット (タグ・バージ連結時) |
| 船籍 | アメリカ |