「Hollandse Kust West VI」で全52基の15MW風力タービン設置完了

2026年11月2日、Shell、中部電力、Enecoの合弁会社であるEcowendeはオランダ沖の「Hollandse Kust West VI」(Ecowende wind farm)で全52基の風力タービン設置が完了したと発表。
「Hollandse Kust West VI」は、オランダのエイマイデン(IJmuiden)から約53km沖合に位置し、着床式のモノパイル基礎にVestas製の風力タービン「V236-15.0MW」52基を設置する計画で運転容量は約760MW。2026年末までに完全運転開始を目指しており、稼働するとオランダで消費される電力需要の約3%に相当。
15MWの風力タービン設置作業は、Van Oordの3,200トン吊りSEP起重機船「Boreas」で実施。1基目の風力タービン設置がおこなわれたのは2026年5月30日で、52基すべての風力タービンをわずか5か月間で設置。Van Oordは、52基のモノパイルおよび風力タービンの輸送と設置、アレイ間ケーブル敷設、海底への洗掘保護の設置を担当している。
EcowendeはLinkedIn投稿にCEOであるTjalling de Bruin氏のコメントを掲載。「最後のタービンが設置されたことで、洋上風力発電所は概ね完成しましたが、ここからが真の学びの始まりです。Ecowendeは、自然と調和した風力発電所の建設・運営方法に関する知見を得ることを目的として設計されました。私たちは、研究者や政府、そして風力発電所の開発事業者がこの知見をさらに活用できるよう、得られた情報を共有していくつもりです。」
最も環境に優しい洋上風力発電所

出典:Ecowende
「Hollandse Kust West VI」(Ecowende wind farm)は、洋上風力発電が海洋生物に与える影響を軽減し、生物多様性を高めることを目指して開発が進められている。
風力タービンおよびモノパイル設置をおこなったSEP起重機船「Boreas」は、メタノール燃料での稼働により環境負荷を大幅に低減することに加えて、低騒音位置決め・設置システムを採用。SIFが製造するモノパイルは8.8mと9.3mという2種類の直径を採用しており、様々な高さの風力タービンタワーを設置。風力タービンの先端部の高さが高いほど鳥が構造物の間をより安全に飛行でき、衝突リスクが低減することが研究により示されていることから、建設段階および運用段階を通じて鳥の行動と衝突件数をモニタリング。自然と共存する洋上風力発電開発に関する知見をさらに深めていくという。
鳥類が風力タービンに衝突する件数を低減させる取り組みとして、6基のタービンに音を使って鳥を抑止する鳥の忌避システムを適用。また、7基の風力タービンで1基当たりのブレード3枚のうち1枚に赤いトップコートを塗り、ローターゾーンをより目立たせて鳥類の衝突回避を支援。風力発電所の北側にある20基の風力タービンでは鳥類のライブ認識を試験・実施し、抑止システムの微調整とローターの抑制をおこなう。
SEP起重機船「Boreas」

出典:Van Oord
Ecowendeの掲載記事では、3,310トン吊りクレーンを搭載していると紹介されていますが、SEP起重機船「Boreas」を所有するVan Oordのウェブサイトで公開されているリーフレットにはメインホイスト3,200トンと記載されています。推測すると、これは定格総荷重と定格荷重の違いだと思われる。なので、3,310トン – 3,200トン=110トンはメインフックの重量。
| 船名 | Boreas |
| 総トン数 | 47,617トン |
| 載貨重量トン数 | 20,000トン |
| クレーン能力 | 主:3,200トン 補助:500トン |
| 揚程 | 155m |
| 長さ | 175.1m |
| 幅 | 63m |
| 深さ | 13.2m |
| 喫水 | 8.4m(スパッドカン含む) |
| レグ長さ | 126m |
| 甲板面積 | 7,150m2 |
| 居住設備 | シングル:121室 ダブル:7室 |
| DPS | DP Class 2 |
| プロペラ | アジマススラスター:4,000kW×4基 格納式スラスター:2,700kW×2基 バウスラスター:2,700kW×2基 |
| 速力 | 12~13ノット |
Hollandse Kust West VI
