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| マルチなSEP船 大惨事 コンクリートの塔 巨大なジャケット | 世界最大のシャックル 大型クルーズ船を運搬 魚雷杭 ボーリングのピン | そびえ立つクレーン船 モンスターバイブロ 巨大洋上風車 海上テーマパーク | 世界最大のクレーン船 漁業養殖複合設備 洋上風車に激突した船 巨大な亀 |
風車設置と野球が出来るマルチなSEP船
メジャーリーグで2022年のワールドシリーズを制したヒューストン・アストロズを祝してNOV傘下のGustoMSCが掲載したSEP船のデザイン。
風力タービンの設置はもちろん、空き時間に野球が出来るというマルチなSEP船。外野の守備では、ボールを夢中になって追いかけると海中転落する恐れがあるので注意が必要ｗ。
大惨事
出典：Wikipedia | Von Entbert – Eigenes Werk, CC BY-SA 4.0, Link
2020年5月に建造していた「Orion」で起きたフック脱落事故。5,000トン吊りクレーンの負荷試験中に2,600トンの荷重をかけた段階でフックが脱落し、反動で自船側にクレーンが倒れるという壊滅的なクレーン倒壊事故が発生。事故当時、船には120人が乗っており事故によって12人が負傷、そのうち2人が重傷を負いましたが幸い死者は出までせんでした。
絶望的な状況から破損部分の撤去をおこない復旧作業を続け、事故からおよそ2年後の2022年4月に完成し、引き渡しがおこなわれました。完成してからの「Orion」が活躍する姿は当ブログでも数多く紹介しています。クレーン船として誕生する瞬間から壊滅的な事故に見舞われるという不運な過去を持つ「Orion」。擬人化すると涙無くしては語れないような人生を歩んでいると思うと、応援したい気持ちになります。
クレーン船「Orion」に関する記事
コンクリートの塔
出典：Equinor
ノルウェー沖合に設置されている世界最大のガス生産プラットフォーム「Troll A platform」。全体の高さは472m、曳航中はバラストで少し沈められた状態ですが、海面から出ている高さは約230m。重量は65万6千トン、それにバラストを入れて120万トンの状態を1.7ノット(時速3.1km)というゆっくりした速度で曳航する様子。
その後、設置された場所の水深は303m。「Troll A platform」を沈めると自重で約9m自沈したそうです。
巨大なジャケット
出典：Wikipedia | By Jay Phagan – Bullwinkle Oil Platform, CC BY 2.0, Link
横に倒した状態で運搬台船に積まれて運ばれているジャケットの高さは約1,400フィート、およそ426m、重量は49,375トン。完成したプラットフォーム全体の高は529m、総重量77,000トン。
【動画】巨大な11のジャケットを豪快に進水
動画の後半には「Bullwinkle」のジャケット進水も登場するよ。
世界最大のシャックル
出典：GN Rope Fittings
出典：GN Rope Fittings
WLL（Working Load Limit）3,000tonシャックル。立てると高さ2.08m、幅1.4ｍ、重量5.8トン。シャックルピンの径は420mm。
大型クルーズ船を運搬
出典：Boskalis
世界最大級の積載能力をもつ半潜水式重量物運搬船「BOKA Vanguard」。その甲板上にはこれまで様々な船が積載されていますが、中でも印象的な大型クルーズ船「Carnival Vista」を積んだ時の様子。
クルーズ船「Carnival Vista」を「BOKA Vanguard」に積載した理由は、推進装置アジポッドの修理で浮きドックとして利用するためだったそうです。修理をおこなったGrand Bahamas Shipyardでは直前にクルーズ船「Oasis of the Seas」の修繕中に事故が発生し、保有する浮きドックのうち最大となる全長300ｍの2号ドックが使用できない状態になっていた。
クルーズ船「Carnival Vista」の全長323.63mに対して「BOKA Vanguard」の全長は275ｍ。なので、積載した時点で前後合わせておよそ50m程度オーバーハングした状態になっています。
| 船名 | BOKA Vanguard | Carnival Vista |
| 総トン数 | 91,784トン | ― |
| 載貨重量トン | 116,175トン | 133,596トン |
| 長さ | 275.0m | 323.63ｍ |
| 幅 | 78.75m | 48.34ｍ |
| 深さ | 15.5m | 11.2ｍ |
| 最大デッキ深度 | 15.5m | ― |
| 建造年 | 2012年 | 2016年 |
魚雷杭
出典：ANCHORTEC
見た目からして危険な香りが漂うミサイルの様な形状の杭。その名は「魚雷杭」（torpedo pile）という恐ろしい名称。「これから魚雷杭を打(撃)ちます」という無線のやり取りを傍受されると、えらいことになってしまいそうですが、見た目や名称だけではなく設置方法もヤバい。
その設置方法は自由落下。重量120トンの魚雷杭を自由落下させて海底面に突き刺すというもの。世界は広い、知らない技術が世の中にまだまだありそうです。
水深2,100mに魚雷杭を設置
ボーリングのピン
出典：CorPower Ocean
巨大なボーリングのピンのような形状をした奇妙な物体は、ポルトガルで開発が進められている波力エネルギー変換器(Wave Energy Converter)「C4」。海底に打ち込んだ杭を使用して係留し、浮体部分が波の力によって上下することで発電するという仕組み。
直径9m、浮体部分は長さ19m、全体重量70トン。発電出力は300kW。動作環境は、波高0.25mから8mの範囲。
そびえ立つクレーン船
出典：龙船风电网
塔のような柱の上にクレーンを搭載したクレーン船「雄程9」（XIONG CHENG 9）。プラットフォームの高さは、なんと118ｍ。
中国で洋上風力発電設備を設置するために使用されていますが、元々「Octabuoy」という洋上で掘削・生産・貯蔵などをおこなう石油プラットフォームとして建造されていたところ、完成前に発注者が破産したことから改造が施されたそうです。
作業時は、船体部分に注水して海底に着底させた状態で作業することが出来るという特殊機能を持った着座式クレーン船。600トン吊りと300トン吊りのクレーン2基を搭載しており、最大水深52ｍの海域で作業が出来る。
着座式クレーン船の記事
モンスターバイブロ
出典：Dieseko Group
Dieseko Groupが製造している世界最大級のバイブロハンマー「GIANT 2000」。重量425トン、偏心モーメントは2,000kgmで最大1,200トンのXXLモノパイル打設が可能。
縦横高さの寸法は10m×10m×10m、重量425トン、偏心モーメントは2,000kgm、起振力は44,000kN(4,487tf)。杭を保持するチャックは16カ所あり、最大1,200トンのXXLモノパイルを打設することが出来る。
本体部分は、「PVE 500M」というバイブロハンマーを4台連結して使用。
| 型式 | PVE 500M | CAPE VLT-320 | 320ⅡMR |
| メーカー | PVE | CAPE Holland | 調和工業株式会社 |
| 偏心モーメント | 500㎏m (50,000㎏㎝) | 320㎏m (32,000㎏㎝) | 370㎏m (37,000㎏㎝) |
| 起振力 | 10,748kN (約1,096トン) | 6,853kN (約699トン) | 1,987.6kN (202.8トン) |
建設機械に関する記事一覧
巨大洋上風車
出典：Wind Catching Systems
いや噓でしょ、みたいな洋上風車。
Wind Catching Systemsが開発を進めている「The Windcatcher」。半潜水式の浮体基礎に1MW風車を117基設置するという斬新な発想。しかしながら、ノルウェー政府系企業のEnovaから2,224万ノルウェークローネ(約3億円)の技術開発助成金が授与され、パイロットタービン設置も予定されているというから驚き。
海上テーマパーク
出典：The RIG.
海の上に浮かぶテーマパーク。
ムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める政府系ファンドKSA-The Public Investment Fund（サウジアラビア公共投資基金）が立ち上げた観光プロジェクト「THE RIG.」。
すでに使われなくなった「石油プラットフォーム」を活用した複合施設で、15万m2以上（東京ドーム3.2個分）の広大な面積があり、3つのホテル、世界クラスのレストラン、ヘリポート、エクストリームスポーツなどのさまざまな冒険的なアクティビティが建造される予定。
世界最大のクレーン船
出典：Heerema
2019年に建造された世界最大のクレーン船「Sleipnir」。そのクレーンに取り付けられているフックブロックも世界最大。
| 船名 | Sleipnir |
|---|---|
| 吊上げ能力 | 10,000トン吊×2基 タンデム 20,000トン吊 |
| 長さ | 220m |
| 幅 | 102m |
| 喫水 | 12m～32m |
| 建造年 | 2019年 |
| 所有会社 | Heerema Marine Contractors |
出典：Heerema
起重機船・クレーン船【世界TOP5】
【動画】世界の起重機船 吊り上げ記録
漁業養殖複合設備
出典：山东海洋集团有限公司
中国の山東省 煙台市の沖に建設された大規模養殖漁業・レジャー複合施設「耕海1号」。長さ506m、幅203mという巨大な施設は、2つのプラットフォームを繋いだ構造になっており、段階的に建設がおこなわれ、2023年4月に操業を開始。
フェーズ1では、「海上の花」をコンセプトに約1万m3の円形養殖ケージ3つ組み合わせた直径40mの施設を建設。フェーズ2では、五角形のヒトデ形をした外径150m、水面上高さ38mのメインデッキとフェーズ1で設置した施設につながる通路が設置されました。
出典：山东海洋集团有限公司
洋上風車に激突した船
2023年4月24日、ドイツ沖の北海で稼働中の洋上風力発電所「Gode Wind 1」で風力タービンに貨物船「PETRA L」が衝突する事故が発生。衝突した貨物船は、めくれるように船体側面が破損。
洋上風車の設置数は世界的に増加しており、洋上風力に関係した事故は今後増えていくのかもしれません。
【動画】洋上風力発電に関係する船の事故
- 風力タービンブレード落下
- SEP起重機船転覆
- ジャケット基礎杭打設時のパイルラン
- 台風によるクレーン船沈没
- 作業員輸送船が風力タービンに衝突
- 貨物船が風力タービンに衝突
- 貨物船が風力タービンに衝突 その2
巨大な亀
出典：Lazzarini
イタリア人のデザイナー、ピエールパオロ・ラッザリーニ（Pierpaolo Lazzarini）による構想の特徴的なウミガメのような形をした巨大な水上都市「Pangeos」。その大きさは、全長は550m、幅610m。中央部分の喫水は最大で30m。
巨大な船体を建造する造船所が現時点では無いため、造船所の建造から着手するという壮大なプロジェクト。候補地は明らかにされており、検討がおこなわれているという。ただし、全体のプロジェクトにかかる費用は約80億ドルが必要と見積もられていて、日本円に換算すると約1兆1200億円（1ドル=140円として換算）。
最後まで記事を読んで頂き、ありがとうございます。これからも世界で起きている海の情報をお届けしますので、どうぞよろしくお願いします。