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2024年を振り返る 注目度の高かったニュース記事

2024年を振り返る 注目度の高かったニュース記事
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2024年を振り返る 注目度の高かったニュース記事

2024年の1年間で637の記事をブログに投稿しました。前年の2023年は700記事を超える投稿をしていたので少し更新頻度は落ちましたが、ブログ運営を継続できたのは見て頂ける読者の方がいるおかげです。本当に感謝しています。

年末最後の記事はその年の1年を振り返り、注目度の高かった記事をランキングで紹介します。2024年に投稿した637の記事から閲覧数の多かった上位15記事を発表。15位から順に紹介していますが、とりあえずランキングの一覧表が見たいという方は👇下のリンク先をクリックすると最終ページへ移動します。

リンク先 注目度の高かった2024年のニュース記事ランキング表(最終ページ)

15.姫路港で小豆島行きのフェリー「第五おりいぶ丸」が防波堤に衝突

2024年6月1日午前10時頃、兵庫県姫路市の姫路港で小豆島行きのフェリー「第五おりいぶ丸」が防波堤に衝突する事故が発生。事故当時、フェリーには乗客184人と乗組員6人が乗船していましたが、ケガ人はいない。

報道されている情報およびAIS情報によると、フェリー「第五おりいぶ丸」は姫路港を出発直後、飾磨東防波の先端部分に衝突し、船首左舷が縦45cm、横90cmにわたり損傷。

「第五おりいぶ丸」を運航する四国フェリーグループの小豆島フェリーは事故後にホームページで姫路~福田(小豆島)航路の減便を発表し、減便理由として ”船舶機関の不具合” と説明。

14.富山市岩瀬浜沖で中国人乗組員など13人が乗船の貨物船座礁

2024年1月19日午前6時半頃、富山市の岩瀬浜から沖合約200mの位置で全長97mの貨物船「DONG YU」が座礁する事故が発生。

貨物船には中国人をはじめインドネシア人、ミャンマー人の13人が乗船していましたが、全員無事であることに加え、船体に異常は無く座礁による損傷で浸水が起きていないことから、座礁発生から6日間のあいだは座礁した貨物船に乗組員が乗ったままで離礁作業がおこなわれていました。

事態が一転したのは座礁事故発生から6日後の1月25日。貨物船「DONG YU」から救助要請があり、海上保安部を通じて航空自衛隊小松救難隊のヘリコプターが出動し、乗組員13人全員を富山空港に搬送。

最終的に貨物船「DONG YU」がタグボートにより座礁位置から富山港へ曳航されたのは2024年6月25日。座礁から撤去までにかかった日数は158日、5カ月以上が経過していました。撤去作業は船主の依頼を受けた日本サルヴェージが実施。

伏木富山港富山の有義波実況 経時変化グラフ(2024年1月19日~1月25日)(一部加筆)
出典:国土交通省港湾局 全国港湾海洋波浪情報網 ナウファス
貨物船「DONG YU」座礁事故のタイムライン
  • 2024年
    1月19日
    座礁事故発生
  • 1月25日
    乗組員13人全員救助

    船内の発電機が動かなくなり、非常用発電機も動かないとして乗組員から救助要請。貨物船は当初座礁した位置から東に200メートル流されていて、左舷に10~12度傾斜した状態。

  • 1月28日
    貨物船「DONG YU」から油流出

    貨物船「DONG YU」から沖合に向かって東西およそ1.6kmに渡り油流出。船の燃料である重油が漏れ出たものではないという推察。

  • 2月14日
    貨物船の中国籍の船長に対し業務上過失往来危険の罪で罰金の略式命令

    貨物船「DONG YU」の中国籍の船長は2月5日に書類送検され、業務上過失往来危険の罪で2月14日に罰金の略式命令を受けた

  • 6月12日
    2024年6月中に船体撤去の予定であることを発表

    これまでに船内の油抜き取りは完了しており、船内の積荷回収や船体補修の作業が進行中

  • 6月25日
    タグボートによる船体曳航

    タグボートにより富山港へ曳航。県外に運んで解体する予定

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13.八戸沖の座礁船、機関室部分をフローティングドックへ積載完了

2024年2月24日、青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の残された船尾部分撤去作業のうち、昨年末に八戸港中央防波堤の港内側へ移動を完了させていた機関室をフローティングドック(FD)「宏洋12000」に搭載する作業が完了しました。

「クリムゾンポラリス」座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れ
  • 2021年
    8月11日
    座礁事故 発生

    青森県八戸港沖で錨泊中に強風により流され座礁。事故当時、船に乗船していた乗組員21名(中国人、フィリピン人)は、全員無事。

  • 8月12日
    船体分断

    船体分断により油流出。流出した油の量は388KL(推定)。座礁時点で「クリムゾンポラリス」が保有していた油の量は、重油約1,550トンと軽油約130トン。

  • 8月27日
    船首部を八戸港内に移動

    自船浮力で浮いている船首部を八戸港内に引き込み、岸壁に係留した状態で船内に残る油の抜き取り作業開始

  • 9月13日
    船首部の曳航開始

    9月11日に船首部の油抜き取り作業が完了、13日に八戸港を出港して広島県江田島へ向け船首部の曳航開始

  • 9月25日
    船尾部の油抜き取り完了

    八戸港沖に残る船尾部の油抜き取り作業を9月14に開始。9月25日に完了

  • 10月8日
    船尾部の撤去作業も日本サルヴェージが引き続き継続

    事故発生後から現地で油抜き作業にあたっていた日本サルヴェージが撤去作業についても引き続き継続しておこなうことを船舶管理会社である美須賀海運株式会社が発表(source:https://misuga-kaiun.co.jp/news/wordpress/wp-content/uploads/2022/09/20211008.pdf)

  • 11月
    撤去準備作業中、潜水士がガス爆発に巻き込まれる事故発生

    船尾部の分割撤去に向けて、船体に解体用チェーンを通すための穴を開ける作業中に潜水士がガス爆発に巻き込まれて肩や胸を打撲する事故が発生

  • 2022年
    9月28日
    地元の漁業者などを対象にした非公開の説明会

    10月初旬に大型起重機船到着、そして10月中旬に機関室部分の吊り上げ撤去という工程説明があったという

    撤去作業完了予定:2023年1月

  • 10月初旬
    海面上から船尾部分が見えなくなる

    事故後、船尾部分は反転して船底が上になった状態で海面上に少し見えていましたが、海面上から姿が見えなくなる

  • 10月23日
    起重機船「海翔」八戸港 到着
  • 12月1日
    起重機船「海翔」八戸港 出港

    入港後、何度か引き揚げを試みるためチャレンジはしていましたが、海象状況が悪く作業中止に。

  • 12月9日
    「チェーンプラー」を使用した引き揚げ方法に変更

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、船尾部分の引き揚げ方法について大型起重機船ではなく「チェーンプラー」を使用した施工方法への変更を提案。11ヶ月の工程遅延が明らかに。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 2023年
    1月24日
    「チェーンプラー」使用の撤去工程を提示

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げ方法を「チェーンプラー」に変更した工程を提示。機関室部分を2023年10月下旬から11月上旬におこない、撤去完了予定は工法変更を提示した時と変更なく、2023年12月末。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 8月31日
    使用予定の大型台船が遅れるため工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げで使用予定の大型台船が現在従事している作業に遅れが生じているため、八戸沖撤去の工程が遅れるというもの。1ヶ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年1月末

  • 10月24日
    機関室部分の引き揚げ作業開始

    作業を開始した10月24日午後に油が流出し、オイルフェンスの外にも漏れたと撤去作業をおこなうサルベージ会社から海上保安部へ通報あり

  • 12月14日
    機関室部分に想定外の切れ込みが発生し工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、機関室部分を台船2隻で吊上げた際に想定外の切れ込みが発生したため、別の位置に吊り上げ用のチェーンを設置し直す必要があるため工程が遅れるという説明。2カ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年3月末

  • 12月31日
    八戸港の防波堤内側へ機関室部分を移設する作業が完了

    台船2隻による機関室部分の吊り上げ作業は12月30日午前9時頃に開始。そして、午後4時半頃から曳航開始したものの機関室が海底に接触して進めないトラブル発生。30日夜から31日午前4時半頃にかけて再び吊り上げを実施。その後、午前5時頃に曳航を再開して午前7時20分頃に中央防波堤の港内側へ到着。

  • 2024年
    1月31日
    フローティングドック「宏洋12000」八戸港 到着
  • 2月11日
    機関室部分の搭載作業中にフローティングドックの甲板破損
  • 2月24日
    機関室部分をフローティングドックへ搭載完了
  • 3月4日
    広島県江田島へ向けてフローティングドック八戸港 出港
  • 3月4日
    機関室部分搭載作業の遅れから工程遅延

    撤去作業完了予定:2024年5月中旬

  • 5月8日
    2024年5月中旬の撤去完了は困難な見込み

    遅延の見込みなどについては、5月16日の関係者説明会で発表予定

  • 5月16日
    撤去完了時期の延期

    撤去作業完了予定:2024年8月中旬

  • 7月29日
    船尾部分の引き揚げ断念

    海底で居住区の開口部を塞いだりする作業をおこない、早ければ8月末から9月上旬にも全ての作業を終えたい考え

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12.インド沖で発生したコンテナ船火災、まだ鎮火していない状態

2024年7月19日14時30分(インド時間)、インド西部のアラビア海を航行していた全長254mのコンテナ船「MAERSK FRANKFURT」で火災が発生。

コンテナ船で起きた火災により、乗組員1人が死亡したことを明らかにしています。

MaerskはX投稿でコンテナ船「MAERSK FRANKFURT」に乗船していた乗組員21人のうち1人が火災により死亡したこと明らかにしている。事故当時、コンテナ船は7月17日にインドのムンドラを出港し、7月22日にスリランカのコロンボ港へ到着する予定でした。

「Sahayata」作戦の10日目、インド沿岸警備隊は、ニュー・マンガロールの南西50海里にあるMV Maersk Frankfurtの消火と汚染防止活動を続けています。過去10日間で、ICG船5隻、ヘリコプター2機、ドルニエ航空機1機が配備されました。1200kgの乾燥化学粉末が空中投下されました。船主/DPAは、消火と廃棄作業を管理するために専門の救助機関を雇いました。ICGは、5隻の救助船の乗船を支援しました。タグボートAlbattros 5、Maha Wewa、ETV Water Lilyが現場に到着しています。タグボートCreative-Iは本日到着予定で、AHTS Valiantは24年7月30日までに到着する予定です。ICGは、救助船が到着するまで救助船を支援し続けます。困難な状況にもかかわらず、状況は制御されており、私たちの敏感な海岸線は安全です。

出典:X | Indian Coast Guard(@IndiaCoastGuard

2024年7月28日のインド沿岸警備隊によるX投稿では火災発生から10日が経過してもなお、消火活動が続けられていることが明らかにされています。放水による消火活動に加えて、ヘリコプターからの粉末消火薬剤投下が実施されており、1,200kgの粉末消火薬剤を投下。

インド沿岸警備隊の船舶や航空機以外に、船主手配のタグボートが現場に到着し、コンテナ船「MAERSK FRANKFURT」の支援活動を実施。

11.五洋建設が設備投資に年間約300億円、大型クレーン船建造計画も

2023年5月、五洋建設が発表した中期経営計画(2023~25年度)の中で明らかにされていた年間約330億円の投資計画。そのうち大部分となる年間約300億円を洋上風力建設に用いる大型作業船建造の設備投資にあて、DEMEが保有するSEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレード・日本船籍化やケーブル敷設船、5,000トン吊りクラスの大型基礎設置船建造を計画している。という以前に発表されていた情報のなかで大型作業船の建造時期について日刊建設工業新聞に掲載されている情報を紹介した記事。

2024年12月10日、五洋建設は開催した取締役会において洋上風力建設に用いる作業船への設備投資として、大型基礎施工船とケーブル敷設船合わせて約790億円の設備投資をおこなうことを決議したと発表。

容量5,000トンのカルーセル2基を搭載する大型自航式ケーブル敷設船については、12月3日にシンガポールのPaxOcean Groupと建造契約を締結したと明らかにしており、2028年2月に完成・引き渡し予定。5,000トン吊りのメインクレーンを搭載する大型基礎施工船(HLV,Heavy Lift Vessel)は、2025年1月にシンガポールのSeatriumと2025年1月に建造契約をおこない、完成・引き渡しは2028年3月の予定。

建造船船体建造建造契約完成・引き渡し
大型基礎施工船(HLV)Seatrium
(シンガポール)
2025年1月(予定)2028年3月(予定)
ケーブル敷設船(CLV)PaxOcean Group
(シンガポール)
2024年12月3日2028年2月(予定)
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10.米メリーランド州でコンテナ船が橋脚に衝突、橋全体が崩落

2024年3月26日午前1時30分頃(現地時間)、全長約300mのコンテナ船「DALI」がアメリカのメリーランド州ボルティモアに架かるフランシス・スコット・キー橋(Francis Scott Key Bridge)の橋脚に衝突する事故が発生。

コンテナ船「DALI」の橋脚衝突により橋桁が次々と落下。船首に崩落した橋桁が被さった状態でコンテナ船は停船。コンテナ船側はパイロット2名を含む乗組員全員が無事でしたが、橋の落下に巻き込まれた作業員6人が死亡。

2024年3月27日(現地時間)、NTSB(National Transportation Safety Board:国家運輸安全委員会)は記者会見でコンテナ船「DALI」がコンテナターミナルを出航し、フランシス・スコット・キー橋の橋脚に衝突する約50分間で記録されたVDR(航海データ記録装置)データの内容を公開。

コンテナ船「DALI」が衝突するまでのタイムライン
  • 3月26日
    00時39分
    ボルティモアのシーガート・マリン・ターミナルを出航
  • 01時07分
    航路IN
  • 01時24分
    針路141度、8ノットで航路を航行
  • 01時24分
    59秒
    複数の警報が鳴り響き、VDRは船の電子システムデータの記録を停止

    電子システムの記録は停止したが、バックアップ電源によりブリッジ内の音声録音は継続

  • 01時26分
    02秒
    VDRは船の電子システムデータの記録再開
  • 01時26分
    39秒
    パイロットがVHF無線でタグボートの救援を要請

    ※この時、パイロット協会の司令員がフランシス・スコット・キー橋を運営するMDTA(メリーランド交通局)の当直職員に連絡。この連絡によりMDTAは橋の通行止めに関して早期警告を得ることができたため、結果多くの命を救うことが出来た。

  • 01時27分
    04秒
    パイロットがコンテナ船の左舷アンカー投錨を指示(衝突2分前)
  • 01時27分
    25秒
    パイロットはVHF無線でコンテナ船「DALI」が電力喪失し、フランシス・スコット・キー橋に近づいていることを警告、橋の閉鎖を要請
  • 01時29分
    7ノットで航行、衝突音が聞こえ始める
  • 01時29分
    33秒
    衝突音が収まる
  • 01時29分
    39秒
    パイロットがVHF無線で橋の崩落を報告
フランシス・スコット・キー橋崩落事故に関するコンテナ船「DALI」の動静

9.六連沖で錨泊していた韓国船籍のケミカルタンカー転覆

2024年3月20日、山口県下関市の六連島から北北西約8kmの海上で韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」が転覆する事故が発生。

ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」は、3月18日14時頃に積荷としてアクリル酸980トンを積んだ状態で兵庫県姫路市網干の日本触媒 姫路製造所を出港。韓国へ向けて瀬戸内海、関門海峡を通過し日本海へ出た後、関門海峡通過から8時間後の19日21時頃に180度反転して関門方面へ航行を開始。そして、約6時間航行を続け、日付が変わった20日3時頃に六連沖の錨泊場所に到着。20日7時頃に救助要請の通報。

事故当時、「KEOYOUNG SUN」に乗船していた乗組員11人のうち、生存者は1人だけで10人死亡。

ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」転覆事故のタイムライン
  • 2024年
    3月20日
    転覆事故発生
  • 5月
    燃料抜き取り
  • 5月22日
    船体引き起こしに向けて起重機船「武蔵」が現場へ到着

    長州出島南へ5月18日に到着

  • 5月23日
    船体引き起こし作業開始

    起重機船「武蔵」による船体引き起こし

  • 6月1日
    長州出島へ曳航、積荷のアクリル酸抜き取り

    同じ韓国企業が所有するケミカルタンカー「KEOYOUNG STAR5」へ積荷移送

  • 6月7日
    韓国へ向けて長州出島を出港し、曳航開始

    韓国船籍のタグボート「DU T2」により曳航。目的地は韓国南西部の木浦市(Mokpo)

転覆したケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」の船体は、事故から約2ヶ月後の5月23日に深田サルベージ建設の起重機船「武蔵」により船体引き起こしがおこなわれ、船内の排水など船体を安定させたあと、6月7日に韓国の木浦市(Mokpo)へ向けて曳航されました。

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8.トルコでコンテナ船がガントリークレーンに衝突、倒壊

2024年3月16日15時45分(トルコ現地時間)、トルコのエヴィヤップ港(Evyap Port)で全長368mのコンテナ船「YM WITNESS」が港内の岸壁に設置されているガントリークレーンに衝突する事故が発生。

衝突によってガントリークレーン3基が倒壊し、そのうち1基がコンテナ船にもたれかかった状態に。トルコの運輸・インフラ省は、コンテナ船側に倒れていたクレーンの撤去について事故発生から半月後の4月1日に撤去完了を発表。

トルコの運輸・インフラ省およびエスビャウ港を管理する当局、コンテナ船「YM WITNESS」を運航していた台湾の陽明海運は事故による死傷者はいないと発表しています。

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7.戸田建設など6社が共同保有予定のSEP船で訴訟、和解金約46億円

戸田建設など6社による共同出資会社Jack-up Wind Farm Construction株式会社(JWFC)が調達し、改造を予定してるSEP船「TERAS SUNRISE」で巻き起こった洋上風力発電プロジェクトを巡る契約紛争訴訟について中国メディアで報じられていたニュースを紹介した記事。

SEP船を調達する以前に起きていた事案に対する契約紛争訴訟なので、JWFCに直接関係無いことは記事を読んで頂ければ分かるんですけど、ネガティブ情報なので購読者のみの閲覧制限をかけています。

直接関係ないとは言え、2023年10月に発表されたSEP船「JWFC SUNRISE」の改造スケジュールは、2025年3月に改造が完了し、2025年9月から供用開始という予定でしたが、進捗状況については不明。

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6.水深3,700m以上の海底に沈没した潜水艇タイタンの映像公開

2024年9月17日、U.S. Coast Guard Marine Board of Investigation(アメリカ沿岸警備隊 海洋調査委員会)は「タイタニック号」探索ツアーに向かい消息を絶った潜水艇「タイタン」(Titan)の動画を公開しました。

大西洋に沈没した「タイタニック号」を探検する有人潜水艇「タイタン」が消息を絶ったのは、2023年6月18日。事故当時、「タイタン」に乗船していた5人全員が死亡。動画では、水圧によって押しつぶされたと見られる潜水艇のうち船尾側のテールコーンと呼ばれる部分が確認できます。

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5.中国でコンテナ船「YM Mobility」の爆発事故

2024年8月9日午後1時40分頃(現地時間)、中国の浙江省寧波市北侖区にあるターミナルに停泊中のコンテナ船「YM Mobility」で爆発が発生。乗組員や港湾関係者に負傷者は報告されていない。凄まじい爆発の威力で衝撃波が1kmの範囲で確認され、港近くにあるオフィスの窓ガラスの破損や天井部分の崩壊など、近くの構造物に損害を与えたという。

コンテナ船「YM Mobility」を運航する台湾の陽明海運(Yang Ming Marine Transport Corporation)は、事故発生当日に声明を発表。事故原因は調査中であるとした上で、予備調査の結果、危険物を積載したコンテナで爆発が発生したことが示唆されていると述べています。爆発したとされるコンテナは、電源を接続していないリーファーコンテナ(冷蔵コンテナ)をドライコンテナの代用として使用していたという。

4.「クリムゾンポラリス」の機関室を載せたFDが広島へ向け八戸出港

2024年3月4日、青森県八戸港の沖で座礁した木材チップ専用船 CRIMSON POLARIS(クリムゾン・ポラリス)の撤去した機関室を積んだフローティングドック(FD)「宏洋12000」が広島県に向けて八戸港を出港、曳航開始しました。

改めて「宏洋12000」に積まれた機関室を見ると大きな冷凍マグロのようにも見える。

「クリムゾンポラリス」座礁事故発生から撤去作業に関するこれまでの流れ
  • 2021年
    8月11日
    座礁事故 発生

    青森県八戸港沖で錨泊中に強風により流され座礁。事故当時、船に乗船していた乗組員21名(中国人、フィリピン人)は、全員無事。

  • 8月12日
    船体分断

    船体分断により油流出。流出した油の量は388KL(推定)。座礁時点で「クリムゾンポラリス」が保有していた油の量は、重油約1,550トンと軽油約130トン。

  • 8月27日
    船首部を八戸港内に移動

    自船浮力で浮いている船首部を八戸港内に引き込み、岸壁に係留した状態で船内に残る油の抜き取り作業開始

  • 9月13日
    船首部の曳航開始

    9月11日に船首部の油抜き取り作業が完了、13日に八戸港を出港して広島県江田島へ向け船首部の曳航開始

  • 9月25日
    船尾部の油抜き取り完了

    八戸港沖に残る船尾部の油抜き取り作業を9月14に開始。9月25日に完了

  • 10月8日
    船尾部の撤去作業も日本サルヴェージが引き続き継続

    事故発生後から現地で油抜き作業にあたっていた日本サルヴェージが撤去作業についても引き続き継続しておこなうことを船舶管理会社である美須賀海運株式会社が発表(source:https://misuga-kaiun.co.jp/news/wordpress/wp-content/uploads/2022/09/20211008.pdf)

  • 11月
    撤去準備作業中、潜水士がガス爆発に巻き込まれる事故発生

    船尾部の分割撤去に向けて、船体に解体用チェーンを通すための穴を開ける作業中に潜水士がガス爆発に巻き込まれて肩や胸を打撲する事故が発生

  • 2022年
    9月28日
    地元の漁業者などを対象にした非公開の説明会

    10月初旬に大型起重機船到着、そして10月中旬に機関室部分の吊り上げ撤去という工程説明があったという

    撤去作業完了予定:2023年1月

  • 10月初旬
    海面上から船尾部分が見えなくなる

    事故後、船尾部分は反転して船底が上になった状態で海面上に少し見えていましたが、海面上から姿が見えなくなる

  • 10月23日
    起重機船「海翔」八戸港 到着
  • 12月1日
    起重機船「海翔」八戸港 出港

    入港後、何度か引き揚げを試みるためチャレンジはしていましたが、海象状況が悪く作業中止に。

  • 12月9日
    「チェーンプラー」を使用した引き揚げ方法に変更

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、船尾部分の引き揚げ方法について大型起重機船ではなく「チェーンプラー」を使用した施工方法への変更を提案。11ヶ月の工程遅延が明らかに。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 2023年
    1月24日
    「チェーンプラー」使用の撤去工程を提示

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げ方法を「チェーンプラー」に変更した工程を提示。機関室部分を2023年10月下旬から11月上旬におこない、撤去完了予定は工法変更を提示した時と変更なく、2023年12月末。

    撤去作業完了予定:2023年12月末

  • 8月31日
    使用予定の大型台船が遅れるため工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、引き揚げで使用予定の大型台船が現在従事している作業に遅れが生じているため、八戸沖撤去の工程が遅れるというもの。1ヶ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年1月末

  • 10月24日
    機関室部分の引き揚げ作業開始

    作業を開始した10月24日午後に油が流出し、オイルフェンスの外にも漏れたと撤去作業をおこなうサルベージ会社から海上保安部へ通報あり

  • 12月14日
    機関室部分に想定外の切れ込みが発生し工程遅延

    地元漁業者などを対象にした非公開の説明会で、機関室部分を台船2隻で吊上げた際に想定外の切れ込みが発生したため、別の位置に吊り上げ用のチェーンを設置し直す必要があるため工程が遅れるという説明。2カ月の工程遅延。

    撤去作業完了予定:2024年3月末

  • 12月31日
    八戸港の防波堤内側へ機関室部分を移設する作業が完了

    台船2隻による機関室部分の吊り上げ作業は12月30日午前9時頃に開始。そして、午後4時半頃から曳航開始したものの機関室が海底に接触して進めないトラブル発生。30日夜から31日午前4時半頃にかけて再び吊り上げを実施。その後、午前5時頃に曳航を再開して午前7時20分頃に中央防波堤の港内側へ到着。

  • 2024年
    1月31日
    フローティングドック「宏洋12000」八戸港 到着
  • 2月11日
    機関室部分の搭載作業中にフローティングドックの甲板破損
  • 2月24日
    機関室部分をフローティングドックへ搭載完了
  • 3月4日
    広島県江田島へ向けてフローティングドック八戸港 出港
  • 3月4日
    機関室部分搭載作業の遅れから工程遅延

    撤去作業完了予定:2024年5月中旬

  • 5月8日
    2024年5月中旬の撤去完了は困難な見込み

    遅延の見込みなどについては、5月16日の関係者説明会で発表予定

  • 5月16日
    撤去完了時期の延期

    撤去作業完了予定:2024年8月中旬

  • 7月29日
    船尾部分の引き揚げ断念

    海底で居住区の開口部を塞いだりする作業をおこない、早ければ8月末から9月上旬にも全ての作業を終えたい考え

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3.明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損

2024年12月13日、中国の明陽智能(MINGYANG SMART ENERGY)は海南省にある海南臨高大型洋上風力タービン試験・イノベーションセンターに設置している「MySE 18.X-20MW」 プロトタイプで発生したブレード破損について声明を発表。

明陽智能のLinkedin投稿によると、風力タービン試験プロセスのデータを解析した結果、試験中に風力タービンが極限の異常な状況に遭遇し、ブレードが設計荷重限界値を超えて損傷、破損したという暫定的な結論に達したと述べています。ブレードが破損した風力タービンは開発中のプロトタイプ(試作機)であり、新開発モデルが高水準と信頼性を保証するため極限条件下での試験は不可欠なプロセスとした上で、製品はまだ試験段階にあり、販売も量産もされていないと説明している。ブレード破損による試験場の人員にけが人はいないという。

海南省に設置された「MySE 18.X-20MW」プロトタイプ
出典:Mingyang Smart Energy

中国南部の海南省にある海南臨高大型洋上風力タービン試験・イノベーションセンターに最大出力20MWという世界最大の風力タービン「MySE 18.X-20MW」が設置されたのは2024年8月。その後、9月には電力網への接続を完了し、送電を開始していました。

「MySE 18.X-20MW」のローター直径は260m~292mと幅があり、18.X~20MWという柔軟な定格出力という特徴をもつ。明陽智能の掲載情報によると、平均風速8.5m/sという条件で96,000人の消費電力量に相当する年間8,000万kWh(80GWh)を発電し、66,000トンのCO2排出量削減につながるという。

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2.中国の大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」処女航海

2024年1月7日、Adora Cruises(爱达邮轮)は保有する大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」(愛達・魔都号、ADORA MAGIC CITY)が7日間に及ぶ処女航海を無事に終えたことを発表しました。1月1日に中国の上海を出港し、韓国の済州島、そして日本の長崎、福岡へ寄港した初の商業航海には16の国と地域から3,000人を超える乗客が乗船したという。

大型クルーズ船「アドラ・マジック・シティ」は、全長323.6m、幅37.2m、総トン数13万5,500トン、スイートルームを含む2,125室の客室を備え、最大で5,246人を収容可能。

 大型クルーズ船「愛達・魔都号」(ADORA MAGIC CITY)の概要

船名愛達・魔都号
(爱达·魔都号)
総トン数135,500トン
長さ323.6m
37.2m
喫水8.26m
エアドラフト72.2m
客室数2,125室
乗客数5,246人
大型クルーズ船「愛達・魔都号」
出典:爱达邮轮(上海)有限公司
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1.最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発

アメリカのRadiaは、陸上の風力タービンブレードを輸送する大型航空機の開発をおこなうという。開発する巨大航空機「WindRunner」は全長108m、翼幅80m、高さ24m、最大で長さ105mの風力タービンブレードを輸送することが出来る。

Radiaのウェブサイトでは、「WindRunner」の大きさを説明する比較対象に量産された機体としては世界最大のAn-124 ルスラーンを引き合いに出し、いかに「WindRunner」が巨大であるかをアピールしています。

名称WindRunner
長さ108m
翼幅80m
高さ24m
最大積載容量長さ:105m
高さ:7.3m
幅 :7.3m
 重量:72.5トン
必要滑走路長1,800m
巡航速度マッハ0.6
航続距離2,000km
出典:Radia

2024年に投稿した記事の中で最も閲覧数の多かった記事は「最大長さ105mの風力タービンブレードを運ぶ巨大航空機の開発」でした。この記事はGoogle Discoverに掲載されたため、爆発的にPV数が増加。他にも「明陽智能の20MW風力タービンプロトタイプでブレード破損」、「八戸沖の座礁船、機関室部分をフローティングドックへ積載完了」の記事もGoogle Discoverに掲載されましたが、そこまで閲覧数は伸びませんでした。

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14富山市岩瀬浜沖で中国人乗組員など13人が乗船の貨物船座礁2024.01.20記事へ
15姫路港で小豆島行きのフェリー「第五おりいぶ丸」が防波堤に衝突2024.06.02記事へ
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あとがき

最後まで読んで頂きありがとうございます🙇

2024年の1年間も「海に関するニュース」を分かりやすい記事で皆様に届けることを心掛けてブログ運営を継続することが出来ました。これもすべて見て頂いている皆様のおかげです。ありがとうございます。

2024年に投稿した記事数は637。年間の合計PV(Page View)数は約43万PV。投稿記事数は昨年の721に比べて減少してしまいましたが、合計PV数は年間で約16万PV増加(2023年の年間PV数は27万PV)。しかし、年始には4万を超えていた月間PVも直近半年間は3万PVに留まり停滞。PV数は伸びなくなってしまいましたが、ブログ開設当初に比べて、メール通知設定によるブログ購読者数の増加やSNSの反応から多くの方に見て頂けているという実感はすごく感じています。それがブログを継続出来ている何よりの原動力になっていることは間違いなく、ほんとに感謝しかありません。

投稿する記事では内容の ”正確性” を最も重視して記事を書いています。とはいえ、自分で直接取材している訳では無いので、船舶の動向に関しては無料で閲覧できるAISを確認したり、記事に関係する企業のプレスリリースを調べることで当事者に近い情報源から内容確認することを心掛けています。

そんな記事の正確性に自分の経歴はもちろん、記事に対する自分の意見も必要ないと思い、客観的事実だけを書く努力をしていますが、少しだけ自身の身の回りの変化について。2024年夏頃から船や海とは全く無縁の職場で働き始めたこともあり、記事を書くための絶対的な時間が取れなくなってしまったことが投稿数減少の要因。とはいえ、ストレス無く規則正しい毎日を過ごせており、心身ともに健康な状態であることを嬉しく思っています。健康は大事ですね。

2025年も1日1記事という投稿頻度になると思いますが、ブログを見て頂ける方がいる限り継続していくという強い気持ちを持っていますので、今後ともをよろしくお願いします。

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