江蘇龍源振華海洋工程有限公司の2,500トン吊りSEP起重機船「Longyuan Zhenhua 6hao」(龙源振华陆号)。
2,500トン吊り「龙源振华陆号」
中国で建造されたSEP起重機船「龙源振华陆号」。完成時期が不明ですが、2021年には完成していたとみられる。搭載されているクレーン能力は2,500トン。完成当時の2021年頃、SEP起重機船で吊り上げ能力2,000トンを超えるのは、同じく中国の「LongYuanZhenhuaSanHao」(龙源振华叁号)のみなのでSEP船としては世界最大だったことになる。
船体の左右に対してセンターにクレーンが搭載されているため、風力タービン資材などを積み込む甲板スペースが最大限に利用できないという短所がある。近年建造されているSEP起重機船では、LEC(Leg Encircling Crane)と呼ばれるレグの位置にクレーンを設置することで甲板エリアのデッドスペースを減らし、有効に活用する方法が主流になっている。
完成時もそうですが、完成後も中国のニュース記事で取り上げられることがほぼ無い状態。その全貌はヴェールに包まれており、詳細がよく分かりませんが世界中のSEP船を見渡してもこの船にしか搭載されていないという仕様がある。
船名 | Longyuan Zhenhua 6hao (龙源振华陆号) |
クレーン能力 | 2,500トン |
長さ | 100m |
幅 | 48m |
深さ | 14m |
DPS | DP1 |
建造年 | 2022年 |
レグ長さ | 80m |
最大作業水深 | 50m |
着座式SEP起重機船
SEP起重機船「龙源振华陆号」が搭載している珍しい仕様というのは、特殊な自己昇降設備。中国の記事では「坐底式海上风电安装平台」と紹介されている。日本語に翻訳すると「着座式SEP起重機船」。
通常のSEP起重機船は、レグを降下させて海底面を反力にして自船を持ち上げるという構造。しかし、海底面の地盤状況によってはレグが深く埋まり込み、抜けにくくなるという現象が起こる場合がある。
この問題を解消するためSEP起重機船「龙源振华陆号」では、レグを下げると船体下部が一緒に降下していき、レグの”点”ではなく、船体下部の”面”で海底と接地するという特殊な仕様になっている。
2020年7月に起きたSEP起重機船「振江」浸水事故
実際、中国では2020年7月に1,200トン吊りSEP起重機船「振江(zhen jiang)」でレグが抜けなくなった状態で潮位が上昇し、作業船が浸水するという事故が発生しています。