五洋建設が大型基礎施工船(HLV)建造に関するLOI締結を発表

五洋建設が大型基礎施工船(HLV)建造に関するLOI締結を発表 起重機船、クレーン船
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五洋建設が大型基礎施工船(HLV)建造に関するLOI締結を発表

2024年11月11日、五洋建設は全旋回式5,000トン吊りクレーンを搭載した大型基礎施工船(HLV,Heavy Lift Vessel)の建造に関するLOI(Letter of Intent:基本合意書)を、シンガポールSeatrium子会社と締結したと発表。

五洋建設は掲載情報の中で、風力タービン大型化に伴いモノパイル基礎の重量が増大しており、 その設置にはHLVが不可欠だと述べています。建造契約は2024年度第4四半期を予定。

建造契約時期について、2024年1月に報じられていた内容では ”2024年夏までに契約にこぎ着けたい考え” ということだったので計画は半年ほど遅れているようです。ですが、計画は着実に進められているので5,000トン吊りクレーンを搭載した大型基礎施工船の建造には期待が膨らみます。

Seatriumの掲載情報

Seatriumの掲載情報【2024年11月11日発表】

Seatrium Inks Letter Of Intent For A Heavy Lift Vessel For Japan’s Wind Market

(Seatrium、日本の風力市場向け重量物運搬船の契約書に署名)

出典:https://seatrium.listedcompany.com/news.html/id/2517168

Seatriumの掲載情報には、五洋建設の掲載情報よりも詳しい内容が書かれていました。

五洋建設による最終投資決定を条件として、完全なEPC契約の締結は2025年第1四半期になる予定と説明されており、決算期の違いによって表記の差がありますが、建造契約時期についてはどちらも2025年1~3月の予定であることを指している。

Seatriumの掲載情報で五洋建設は、洋上風力分野での事業拡大に強い関心を持つ日本を代表する海洋請負業者で海洋建設工事用の自航式トレーリングサクションホッパーやカッターサクション浚渫船などを所有しているほか、それぞれ800トン「CP-8001」と1,600トン「CP-16001」の吊り上げ能力を持つクレーンを備えた風力タービン設置船2隻を所有していると紹介されています。さらにシンガポールで五洋建設は、Pasir Panjang Terminalフェーズ3および4、Tuas Mega Port、LTA プロジェクト、ION Orchardの開発など、さまざまな海洋および陸上の土木工事および建築プロジェクトを請け負っているという。

Seatrium EnergyのExecutive Vice President(代表取締役副社長)であるMr. William Guは、「五洋建設とのLOIの締結を発表できることを嬉しく思います。これは、当社の尊敬すべきパートナーとの緊密な協力関係の始まりであり、日本の洋上風力市場向けの当社初のプロジェクトとなります。世界最大級の揚重能力を持つ風力基礎設置船を開発するというこの旅に着手できることは、大変光栄です。このプロジェクトは、エネルギー転換の加速に役立つ革新的で費用対効果の高いソリューションを提供するためにパートナーと緊密に協力するというSeatriumのコミットメントを強調するものです。」と述べています。

五洋建設の専務執行役員 兼 洋上風力事業本部長の大下哲則氏は、「5,000トンの全旋回クレーンを搭載したHLVの建造に関して、Seatriumと基本合意書を締結できたことを大変嬉しく思います。HLVは、風力タービンの大型化によりますます重くなるモノパイル基礎の設置に不可欠なものであり、日本の洋上風力の発展に大きく貢献することを期待しています。」と述べている。

年間約330億円の投資計画を発表している五洋建設

2023年5月に五洋建設が発表した中期経営計画(2023~25年度)の中で明らかにされていた年間約330億円の投資計画。そのうち大部分となる年間約300億円を洋上風力建設に用いる大型作業船建造の設備投資にあて、DEMEが保有するSEP起重機船「Sea Challenger」のアップグレードおよび日本船籍化やケーブル敷設船、5,000トン吊りクラスの大型基礎設置船建造を計画。

2024年1月5日掲載の日刊建設工業新聞では、5,000トン吊りクラスのクレーンを搭載した自航式クレーン船建造について、2024年夏までに建造契約を締結する考えであることが報じられていました。

作業船種別建造契約時期
ケーブル敷設船(自航式)2024年春
5,000トン吊りクレーン船(自航式)2024年夏
風車部材の運搬船検討中
五洋建設の洋上風力向け大型作業船建造計画

SEP起重機船「Sea Challenger」のクレーン能力を900トンから1,600トンへ増強し、日本船籍化した上で五洋建設とDEMEの合弁会社であるJapan Offshore Marine(JOM)が保有する予定のプロジェクトでは、2024年6月にSeatriumで鉄鋼切断式がおこなわれており、アップグレードに向けたプロジェクトはすでに開始されています。

しかし、一方でアップグレードを実施するSEP起重機船「Sea Challenger」は現在、アメリカ東海岸の「Vineyard Wind 1」で作業中。2025年春の供用開始を目指しているということですが、遅れる可能性がありそう。

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