アフリカ大陸の北西部にあるグラン・カナリア島のラス・パルマスに入港したケミカルタンカー船「ALITHINI II」の舵部分に乗った3人の密航者が発見されました。船はナイジェリアのラゴスから11日間の航海を行いラス・パルマスに入港しましたが、3人の密航者は生存していた。
船の舵に乗って11日間耐えた密航者
Stowaways on tanker from Nigeria set for deportation from Spain
(ナイジェリアからのタンカーの密航者がスペインからの強制送還に向けて出発)
Stowaways on tanker from Nigeria set for deportation from Spain | ロイター (reuters.com)
ー 噓みたいなホントの話 ー
アフリカ大陸の北西沿岸に近い大西洋上、7つの諸島からなるスペイン領のカナリア諸島。
2022年11月28日、グラン・カナリア島のラス・パルマスに入港したケミカルタンカー船「ALITHINI II」の舵部分に乗った3人の密航者が発見・救助されました。船は11月17日にナイジェリアのラゴスを出港、西アフリカの海岸を航行した後、グラン・カナリア島のラス・パルマスに到着。
3人は脱水症状と低体温症の症状が見られたため治療を受けたそうです。中でも3人のうち1人はより深刻な状態だったらしく、別の病院に移って治療を受けている。
画像を見ると3人が乗っていた舵部分は上端1mくらいが水面から出ている状態ですが、航行中は当然波が被るような高さ。こんな状態で11日間も飲まず食わずで、海に転落せずに生存していたことが奇跡。
強制送還?船はエジプトへ向け出港
ロイター通信の記事によると3人の密航者のうち2人は強制送還を目的として船に戻されたとのこと。別の病院に移った密航者の1人はまだ病院に入院中。AIS情報を確認するとケミカルタンカー船「ALITHINI II」は、11月30日にグラン・カナリア島のラス・パルマスを出港してエジプトのポート・サイドへ向けて現在、地中海を航行中(12月4日時点)。12月10日にポート・サイドへ到着予定。
さらに記事の中で、ロイター通信が取材した警察の広報担当者は ”スペインの法律では、亡命を希望しない密航者は、船の運航者によって元の港に返還されなければならない” と語ったそうです。
決死の覚悟で船の舵に乗ってきたのに亡命を希望しないということがあるんでしょうか?言葉が通じなくて意思を伝えきれなかったのか、最初から受け入れる気がなかったのか。ほんとのところは分かりませんが、2人の密航者を乗せた船は出港してしまいました。
ロイター通信は、ケミカルタンカー船「ALITHINI II」を運航する会社にコメントを求めるため連絡を取ったそうですが応じなかったようです。
今後、船に戻された2人がどうなっているかを知るすべはありません。
2014年以降、2,976人が死亡または行方不明
アフリカ大陸の北西沿岸に近い場所に位置するカナリア諸島は、ヨーロッパを目指すアフリカの移民にとって人気があるそうです。しかし、今回の事例を見ても分かるようにかなり危ない手段を選ぶことが多く、危険な玄関口となっている。
ショッキングな数字ですが、2014年以降、アフリカからカナリア諸島に海路で渡ろうとした2,976人の移民が死亡または行方不明になっているそうです。
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