垂直に起き上がる「FLIP」が廃船から一転、2026年に再就航へ
驚きのグッドニュース!!
”どこかで一度は見たことがある珍しい船” として以前、このブログでも紹介した、洋上で垂直に起き上がることが出来る外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」がフランスで改修され、再就航する予定だという。「R/P FLIP」の詳しい仕様については👇の関連記事をご覧ください。
外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」は、米国海軍の海軍研究局(U.S. Navy’s Office of Naval Research)とスクリップス海洋研究所(Scripps Institution of Oceanography)によって50年以上運用された後、2023年8月にアメリカ西海岸のカリフォルニア州サンディエゴからスクラップのためメキシコへ曳航されていました。
「R/P FLIP」のスクラップ処分が差し迫っているという情報を得たイギリスの海洋技術・探査企業DEEPのCEOは、すぐにチームを編成してメキシコへ派遣。廃船予定の外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」が解体される前に現地へ到着し、交渉した結果、再就航へと話が進展したそうです。
長きに渡って活躍した船が人生を終え、静かに解体を待っていたところで救出され、再び活躍するために命を吹き込まれるような展開に何だか嬉しい気持ち。
2026年初頭に再就航する予定。
フランスのラ・シオタにある造船所 MB92で改修作業
外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」は、解体場所であるメキシコのエンセナーダ(Ensenada)からフランス南部のラ・シオタ(La Ciotat)へ移動。詳細な運搬時期は不明ですが、Deepの掲載情報によると、2023年8月に廃船のためメキシコへ曳航されてから数か月後にはパナマ運河を通過してフランスに到着していたということなので、少し前から「R/P FLIP」再就航計画は進められていたようです。
メキシコのエンセナーダをGoogleマップ航空写真で見ると、フランスへ移動する前の外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」を確認することができました。
改修作業は、フランスのラ・シオタにある造船所 MB92で実施。1960年代に建造された船体上部構造を撤去し、軽量な材質のものに置き換えることで船体重量を軽減。これにより収容人員の増加に加えて、最新の科学機器などの設備を搭載できるようになるという。研究能力を高める新しいセンサーや自律型無人潜水機AUV(Autonomous Underwater Vehicle)を搭載予定。改修期間は、12~18ヶ月間が見込まれている。
重量物運搬船「HAPPY BUCCANEER」でメキシコからフランスへ
アメリカのサンディエゴからメキシコまでは曳航されて移動した外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」でしたが、さすがにフランスまでは曳航ではなく運搬船に搭載して輸送されたようです。
メキシコのエンセナーダからフランス南部のラ・シオタにある造船所 MB92までの航行距離は約15,000km(約8,100海里)。その輸送作業をおこなったのは、Biglift Shippingの重量物運搬船「HAPPY BUCCANEER」。甲板への積み込み作業は「HAPPY BUCCANEER」に搭載されている2基の700トン吊りクレーンを使用。
この輸送作業が最後かどうかは不明ですが、「HAPPY BUCCANEER」は引退しているようです。廃船から再就航へ向かう船を引退間近の船で運ぶ・・ドラマみたいなストーリー。
余談ですが、Biglift Shippingのウェブサイトで建造から40年という節目に引退した重量物運搬船「HAPPY BUCCANEER」のペーパークラフトを作ろう!というイベントがおこなわれており、ウェブ上で必要事項を記入して返信するとペーパークラフトが送られてくるそうです。掲載されている完成品が素敵だったので、私はすぐに応募しました。上手く作れる自信は無いんですけど、今は送られてくるのを楽しみに待ってます。応募数に限りがあるのか、いつ締め切られるのか、よく分かりませんが興味のある方は👇下のリンク先から情報をご覧ください。
リンク先 Biglift Shipping | Build your own HAPPY BUCCANEER(自分だけのHAPPY BUCCANEERを作ろう)
重量物運搬船「HAPPY BUCCANEER」
船名 | Happy Buccaneer |
総トン数 | 16,341トン |
載貨重量トン | 13,740トン |
搭載クレーン | 700トン×2基 |
長さ | 145.89m |
幅 | 28.3m |
船籍 | オランダ |
建造年 | 1984年 |
【動画】メキシコからフランスへの輸送
FLIP travelled over 6,000 miles to get from the scrapyard in Mexico to the shipyard in France. Captain Giulio Maresca shares the captivating journey in this short video.#DEEP #FLIP #Journey #LaCiotat pic.twitter.com/oLZKn1wOdi
— DEEP (@UnumSumusMare) October 25, 2024
【動画】外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」の紹介映像
DEEPがXに投稿した外洋調査プラットフォーム「R/P FLIP」の紹介映像。動画の 0:54 くらいから垂直状態に起き上がった時の船内設備が紹介されています。90度回転した位置に取り付けられている洗面台と可動式の厨房設備が登場します。気になる便器の映像はありませんでした。残念。
Introducing FLIP, the latest addition to the DEEP fleet! This remarkable vessel is going to be renovated for modern oceanic research and will be operated by DEEP. FLIP can flip from a horizontal to a vertical position, sinking more than 90 metres of its length underwater!#FLIP pic.twitter.com/UKl4m98aOl
— DEEP (@UnumSumusMare) October 23, 2024
よく読まれている記事