中国で建造されている全長164m、載貨重量トン数45,000トンの半潜水バージが進水。その巨大な船体を建造する方法が少し特徴的でした。
中国で建造している全長164mの半潜水式バージが進水
進水時期は不明ですが、中国で建造されている長さ164m、幅65m、載貨重量トン数45,000トンの半潜水バージが進水。完成イメージを見ても分かると思いますが、非自航式。特徴は、水深の浅い場所でも使用できるように喫水が小さいという点。日本の作業船だとフローティングドックと呼ばれるものとほぼ一緒。
半潜水式バージの深さや喫水は自航式か非自航式かで大きく違いがあり、自航式だと載貨重量トン数2万トンを超えるもので深さ10m以上、空船喫水も6m以上になりますが、非自航式だと深さ10m未満、空船喫水は3m未満のタイプが多い。
以前調べた半潜水式運搬船のデータ
船名 | 載貨重量トン数 | 深さ | 潜水時の 最大喫水 | デッキ深度 |
---|---|---|---|---|
Boa Barge 38 | 28,500トン | 9.15m | 30.65m | 21.5m |
BOKA VANGUARD | 116,175トン | 15.5m | 31.0m | 15.5m |
ZHEN HUA 33 | 50,000トン | 13.5m | 28.2m | 14.7m |
XIN GUANG HUA | 98,000トン | 14.5m | 30.5m | 16.0m |
BLUE MARLIN | 76,061トン | 13.3m | 28.4m | 15.1m |
「Boa Barge 38」は非自航式、それ以外は自航式。建造されている半潜水式バージの深さや喫水は不明ですが、「Boa Barge 38」の最小喫水は2.2mなので、今回建造中の半潜水式バージもそれに近い値だと思われる。
分割して建造した船体を浮かべた状態でドッキング
建造を行っている中交四航局江门航通船业有限公司には、長さ164m、幅65mの船を建造できるドックが無いそうで、使用できるのは傾斜が付いた斜路をスライドさせて進水させる設備。ただ、そのスライド設備が使用できるのは重量12,000トンまで。今回建造されている半潜水式バージの船体重量は台船部分だけでも24,000トンになり、重量オーバーになるという問題があったそうです。
そこで採用された方法は分割して船体を建造した後にドッキングするというもの。造船所では船殻ブロックを小分割して建造したあとにドッキングするという方法は一般的ですが、それはドック内などの気中での話。中国で今回行われたのは、進水した後に浮かべた状態でドッキングするという方法。
詳細なドッキング方法は不明ですが、分割して建造された船体が浮かんでいる画像を見ると、何か浮体を下に入れて船体を浮かせているように見えます。
中国の記事では、台船の長辺を4分割して3つのジョイントを接続したという説明でした。さらに、浮かんでいる状態の船体を溶接する時の精度と強度を確保するために、特殊な溶接機を使用したり、開先の取り方が工夫されたそうです。
ドッキングが完了した半潜水式バージの船体を見ても、画像ではジョイント箇所が分からないくらい綺麗な仕上がり。今後は、船上設備の設置が行われる予定。
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