2022年8月にジブラルタル沖でLNGタンカー「Adam LNG」と衝突し、その後に浅瀬で座礁した貨物船「OS 35」の撤去作業が行われています。現在は船内に残された積荷の除去が行われており、その後船体を2つに切断して撤去が行われるそうです。撤去完了予定は2023年5月末。
ジブラルタル沖の貨物船「OS 35」撤去作業
2022年8月、バラ積み貨物船「OS 35」はジブラルタル沖でLNGタンカー「Adam LNG」と衝突し、船体の損傷による浸水で船が傾き沈没の恐れがあったため、ジブラルタル東側の浅瀬に移動して座礁した。
バラ積み貨物船「OS 35」は、全長178m、幅28m、総トン数20,947トン、建造年は1999年。建造場所は日本の新来島豊橋造船。載貨重量トン数は35,362トン。
事故当時の積荷は鉄筋。
ジブラルタル港湾局に掲載されているプレスリリースの進捗情報によると貨物の11,000トン以上がすでに撤去されているそうです。
全貨物の約 1/3 に相当するという記載もあるので、事故当時の積荷は 11,000トン×3 = 約33,000トン だったことが分かる。
PRESS RELEASE – OS 35 Update – Survey Report details storm damage
07 Mar 2023(プレス リリース – OS 35 の更新 – 調査レポートで暴風雨被害の詳細を確認
https://www.gibraltarport.com/news/press-release-os-35-update-survey-report-details-storm-damage-91
2023年3月7日)
船体は2つに切断して撤去予定
撤去作業を行うのは、難破船の除去やプラントの解体などを専門に行いオランダを拠点として国際的に事業を展開するKoole Contractors。
バラ積み貨物船「OS 35」の撤去方法として最初に行われているのは、貨物船に積まれている貨物の鉄筋を撤去する作業。次に、船体を前後に切断する作業が行われ、前側の小さなセクションと後側の大きなセクションに分けられる。船体の状況的に船首側は衝突のダメージで浸水しているけど、船尾側は浮力が保持されているそうです。
船首側のセクションについては、チェーンを使用して運搬船へ搭載。浮力が保持されている船尾側は少し沖合へ曳航した後に、半潜水式運搬船を使用して撤去する予定。
予定では2023年5月中に撤去を完了する計画だそうです。
撤去作業に使用する作業船
Koole Contractorsが保有する2隻のクレーン付き台船「H-283」「K10030」と2隻のアンカーハンドリングタグ「Koole 31」「Koole 42」が撤去作業を行っている。画像はKoole Contractorsのサイトに掲載されているもので、今回の撤去作業のものではありません。
クレーン付き台船「H-283」。
全長84m、幅20.3m、深さ5.5m、建造年は2004年。Liebherr製の200トン吊りクローラークレーンを搭載。宿泊設備は標準仕様では搭載されていない。
クレーン付き台船「K10030」。
全長100.6m、幅30.5m、深さ6.1m。Liebherr製の200トン吊りクローラークレーンを搭載。12人分の宿泊設備を備えている。
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