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ガザへ支援物資輸送に向けて臨時桟橋設置を計画、完成まで最大60日

ガザへ支援物資輸送に向けて臨時桟橋設置を計画、完成まで最大60日 事件・事故
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ガザへ支援物資輸送に向けて臨時桟橋設置を計画

2024年3月8日、アメリカ国防総省報道官はガザ支援を加速するために構築を計画している臨時港湾システムの完成には最大で60日、1,000人以上の軍関係者動員が必要であることを明らかにしました。前日にはバイデン大統領が米軍により今後数週間以内でガザの地中海沿岸に臨時港を建設し、海上から人道支援物資を届けられるようにすると発表しており、それを受けての情報公開のようです。

ガザへの支援物資輸送計画で明らかにされた情報
  • 計画と実行には数週間~最大60日
  • 1,000人以上の軍関係者動員
  • 1日あたり最大200万食を提供
  • バージニア州からの米陸軍第7輸送旅団(遠征)が任務を遂行
  • 軍事海上輸送司令部および物流支援船による任務で複数の船が「世界中から集まる」と想定
  • JLOTS(joint logistics over the shore:陸上共同物流)の運用を確認
  • 現場での安全と支援に賛同する国やパートナーと協力
  • 援助物資はキプロスで積込 → 浮き桟橋 → LSV(又はバージ)→ 土手道 → 陸上 → パートナー → ガザ

ガザへの陸上部隊派遣はしない、桟橋設置場所も不明

アメリカ国防総省報道官は、大規模な支援物資輸送作戦に陸軍と海軍両方の兵士が関与することになるとした上で、一時的に浮き桟橋を海岸に固定するためでも、陸上に部隊を派遣するつもりはないという。

物流支援船またはバージを着桟し、ガザへの陸上輸送が可能になれば1日あたり最大200万食の支援物資を届けることが出来るとしていますが、ガザ側の浮き桟橋設置場所を誰が確保するのかについては不明となっており、報道官による発表では米国政府がイスラエルを含む賛同国と詳細を詰めているとだけ述べられています。

計画が進められている支援物資の輸送は、キプロスで積込をおこない、設置する浮き桟橋を使用してガザへの陸送を想定し、支援物資の輸送が開始されれば1日あたり最大200万食の支援が可能になるという。

これまでにも一時的な浮き桟橋を設置

これまでにも砂浜のような海岸に浮き桟橋を設置する任務実績はあるようです。使用しているのは小型バージのようなものを必要水深が確保できる沖合位置まで連結・延長し、陸上側はバージを座礁させた状態で、砂浜の砂で周囲を埋めて走路に接続するというもの。

浮き桟橋自体の設置よりもそれ以降の陸上走路へ接続する部分の構築に時間が掛かりそうに見えました。報道官の説明で ”temporary causeway”(一時的な土手道)と説明されている浮き桟橋から陸上走路を繋ぐ仮設走路。既設道路への高低差がある場合は盛土したり、砂浜などを走行する車両のタイヤが埋まり込まないように養生する必要がある。

ガザへの陸上部隊派遣はしないという点からも今回の任務で最も重要視されているのは迅速性。仮設走路に関しては浮き桟橋設置場所の選定により構築時間を短縮することはできるかもしれません。さらに、輸送時の迅速性という観点からすると、支援物資を積み込む輸送船はRo-Roタイプを選択することが好ましい。バージ(台船)でもランプウェイを搭載しているものであれば、輸送車両を自走させて船上で物資積み込みが可能になり、場合によっては物資を搭載した状態の車両を運ぶ事もできる。

逆に言えば、浮き桟橋に係留した輸送船から桟橋上の車両へ支援物資を荷役する行為は安全面でのリスクが高く、時間的にも効率が悪そう。

いろいろ考えると先日記事で紹介した中型揚陸艦(LCM,Landing Ship Medium)として改造が施されたオフショア支援船「HOS RESOLUTION」みたいな船が最も適任のような気がします。一応確認のために「HOS RESOLUTION」のAIS情報を見てみると、アメリカ西海岸で洋上テスト中になっていたので動員されることは無さそう。

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食糧援助団体による支援物資輸送の動き

アメリカ国防総省が発表した計画とは別のプロジェクトとして、海洋援助をおこなうNPO(非営利団体)Open Armsは、アメリカの慈善団体World Central KitchenとUAE政府からの支援物資をキプロスのラルナカでバージおよび曳航するボート後部に積み込みしたことを発表しています。2024年3月9日に積み込み作業は完了し、イスラエル当局による貨物の検査をキプロスのラルナカで受けており、許可が下り次第ガザへ向けて出港する予定だという。

World Central KitchenがXに投稿した画像には、パレットに梱包された支援物資をバージへ積み込む様子が映されています。黒いフィルムでしっかり養生されているのは、荷崩れ防止とバージをガザまで曳航する道中でかぶる海水から支援物資を保護する目的があると思われる。

しかし、このパレットをガザに到着後どうやって下ろすつもりなんだろうというのが少し疑問。普通に港が使える状態ならアメリカもわざわざ浮き桟橋の設置を計画したりしない。報道されている情報では、World Central Kitchenがガザで独自の桟橋建設に取り組んでおり、物資はクレーンを使用して荷下ろしするとのことですが、それ以上の詳細情報は明らかにされていない。

キプロスからガザまでの距離はおよそ420km(約230海里)あるので、バージ曳航での速力を4~6ノットと考えると曳航時間は38~58時間。支援物資を積んだバージの曳航には2、3日かかりそうです。

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LSV「General Frank S. Besson」アメリカ出港

2024年3月9日、アメリカ中央軍(U.S. Central Command)は米陸軍艦艇「General Frank S. Besson」(LSV-1)が地中海に向けてバージニア州にあるラングレー・ユースティス統合基地を出港したと発表。船には桟橋を構築するための機材が積まれているという。

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支援物資の空中投下で5人が死亡

2024年3月8日、ガザ北部で実施した人道支援物資の空中投下で5人が死亡、10人が負傷したと報じられている。空中投下に関してはいくつかの国が実施しているとみられ、どの国の投下によるものかは不明。

アメリカ中央軍は、人道支援物資の空中投下で民間人が犠牲になったという報告を認識しており、亡くなられた方々へ哀悼の意を表した上で、アメリカの空中投下によるものではないと関連を否定しています。

私たちは、人道的空挺投下によって民間人が死亡したという報告を承知しています。 亡くなった方々のご家族にお見舞いを申し上げます。 一部の報道とは異なり、これは米国の空挺降下によるものではありませんでした。

X | U.S. Central Command(@CENTCOM
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世界のサルベージ オペレーション

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