着床式洋上太陽光発電設備の杭打ちに特化した専用船が完成
2023年10月28日、中電建新能源集団股份有限公司(PowerChina Renewable Energy)が独自に開発・建造した洋上太陽光発電設備の杭打ち船「電建海装001」(Dian Jian Hai Zhuang 001)が完成したという。
完成した作業船を見ても杭打ち船という感じは全くしませんが、着床式洋上太陽光発電の基礎工事に特化した船だそうです。船の形状は全長66.66m、幅22m、深さ4.5m、甲板上には30トン吊りのクレーンが2基搭載されている。
2年という期間をかけて実現可能性調査、研究開発、設計がおこなわれ、3ヶ月という短期間で建造。洋上太陽光発電設備の建設課題に基づいて的を絞った研究と開発を通じて、関連する問題が克服されているという。
用途がよく分からない設備
中国の報道記事で紹介されている「電建海装001」搭載設備の中には、施工する時にどのようにして使うのかよく分からないものがありました。
船体に搭載されている設備で用途が不明なのは、”2台固定定位桩”(固定位置決め杭2台)と ”2台行程5米的移动台车”(ストローク5mの移動台車2台)という設備。恐らく画像の設備を指していると思われますが、その用途はよく分からない。
”2台固定定位桩”(固定位置決め杭2台)については、近景画像と非自航船で係留して作業するという船体仕様からスパッドのようなもので係留補助するという設備だと思われる。もう一方の移動台車2台をどのように使うのか気になります。
かなり特殊で珍しい作業船ですが、それだけに施工イメージが想像できないという謎多き作業船。
洋上太陽光発電プロジェクトは100GWを超える可能性
2023年7月に建造を開始した時の報道記事では、中国の太陽光発電プロジェクトが陸上から広大な海上へと徐々に拡大していると報じられている。さらに、昨年山東省で第一期として11.25GWの洋上太陽光発電プロジェクトが開始、今年の江蘇省「洋上太陽光発電開発・建設実施計画」では12.65GWの洋上太陽光発電プロジェクトが計画されており、福建省、河北省、広東省、浙江省などにも展開され、短期および中期の太陽光発電開発において重要な方向性として洋上太陽光発電を組み込む省が増えている。
沖合10km以内で設置が想定されている杭式の固定洋上太陽光発電において、中国国内の調査結果などに基づくと理論的には洋上太陽光発電プロジェクトの設置容量が100GWを超える可能性があるという。
どのような構造の洋上太陽光発電設備を設置するのか、そして作業船「電建海装001」がどのように施工をおこなうのか。とても気になるので施工状況などが公開されればお伝えします。
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