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反転作業を終えた貨物船「白虎」、自船浮力で浮いている状態に

反転作業を終えた貨物船「白虎」、自船浮力で浮いている状態に 事件・事故
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反転作業を終えた貨物船「白虎」

2021年5月に来島海峡付近で衝突事故により沈没した貨物船「白虎」。2023年8月に水深60mの海底から海面付近まで引き揚げられたあとに小部湾へ移動し、大型起重機船「武蔵」「第50吉田号」の2隻によって反転させる作業がおこなわれました。

反転作業によっておよそ2年5か月ぶりに海上へ姿を現した船橋や上部の甲板部分。船内からは白骨化した遺体が発見され、事故によって行方不明となっている船長と見られており、DNA鑑定などを通じて身元確認が進められている。

反転作業を終え、「白虎」を吊り上げていた起重機船「武蔵」「第50吉田号」の玉掛けは解除され、2隻の起重機船はすでにそれぞれの基地港へ帰港しました。元の状態に戻った「白虎」は自船の浮力で浮いている状態になり、小部湾に係留されている。

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反転作業の手順

世界的に見ても難易度の高いサルベージミッションと言える「白虎」の引き揚げ作業。水深60mの海底から全長約170mの巨大な船体を引き揚げるという作業も困難ですが、逆さまになっている状態の「白虎」船体を180度ひっくり返すという作業もまた同様に困難で大きなリスクを伴う作業と言える。

作業の様子を段階的にドローンで撮影し、YouTubeへ投稿されている Create J さんの動画を順に見ると作業の経過が分かり易い。

 1.玉掛け作業

 2.「白虎」90度回転

 3.「白虎」180度反転完了

 4.「白虎」船体引き揚げ①

 5.「白虎」船体引き揚げ➁

 6.玉掛け解除

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吊り上げ用ピースは船底部に取り付け

「白虎」が水深60mの海底から引き揚げらた時、船底部分には何もありませんでしたが、反転作業をおこなう大型起重機船2隻で玉掛けする段階になると、船底部分にびっしりと吊り上げ用ピースが取り付けられていました。

船首から船尾にわたって船底中央部分に取り付けられた吊り上げ用ピースは32個。そして、吊り上げ用ピースからは「白虎」の左舷、右舷方向に向かってそれぞれ1本ずつのチェーンをセット。大型起重機船2隻はそれぞれ1フック8点の32点吊りワイヤリングをおこない、巨大な「白虎」を64点吊りで玉掛け。

起重機船の船首側フックを巻き上げるという要領で「白虎」を反転。したがって、反転させるときに負荷が大きくかかったのは起重機船の船首側フック。動画で確認すると、起重機船「武蔵」が使用している船首側フックのチェーンは一部が船体にめり込んでいました。さらに、「白虎」上部にも反転時にチェーンが食い込んでいたと思われる損傷が確認できます。

クレーン船によって船体を建て起こし・反転させる作業で、使用する吊り上げ用ピースの取り付け方法として、1カ所に設置したものを2方向で使用するやり方は、他の作業でも採用しているようです。今年の夏に深田サルベージ建設の起重機船「富士」が宮城県気仙沼市のみらい造船で横転した漁船「第二大師丸」の復旧作業をおこなった時も同じような方法で吊り上げ用ピースを設置していました。

起重機船「富士」による漁船「第二大師丸」の復旧作業
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「白虎」スクラップへ向けた今後の予定

反転作業を終えた「白虎」は、愛媛県今治市の小部湾で自船の浮力により浮いた状態で係留されているようです。今後は、スクラップに向けて広島県の江田島へ運ばれるという予定。

「白虎」の運搬方法については、半潜水式運搬船に搭載して運ぶのかなと思っていましたが、船底に無数のピースが取り付けられており、吊具のチェーンもそのままになっていることから半潜水式運搬船には搭載しない方法が選択されているように見えます。

消去法でいくと運搬方法は曳航。平穏な湾内では安定している状態の「白虎」、小部湾から江田島までおよそ65km、約35海里という近距離の曳航ですが、波浪や他船の航跡波による影響で船体は揺れ、損傷していた船体を補修した部分も水面下の位置では曳航時に速力分の負荷がかかってくる。さらには、吊り上げに使用していたチェーンをワイヤーで吊り下げている状態なので、船体の動揺によりワイヤーが破損してチェーンが海底を引きずってしまうという恐れもある。

いろんなリスクが想定されていると思いますが、無事に「白虎」が江田島へ辿り着くことを期待しています。

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世界のサルベージ オペレーション

来島海峡で水深60mの海底に沈んだ全長約170mの「白虎」引き揚げをはじめ、日本国内でも多くのサルベージオペレーションがおこなわれています。
世界各地で実施されている困難なサルベージの数々を紹介。

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