洋上風力建設の拠点港湾として青森港油川地区で進む整備事業

青森港の油川地区で進められている国際物流ターミナル(-12m)整備事業。
青森港は、2024年4月に海洋再生可能エネルギー発電設備等拠点港湾(基地港湾)として指定されています。海洋再生可能エネルギーの導入促進を図るため、洋上風力発電設備の効率的な輸送・建設、重厚長大な風車部材の組立・積出等の機能を有した拠点港湾として、岸壁や背後用地の地耐力強化、航路・泊地の浚渫等の港湾施設の整備が進められている。
青森港の油川地区では2024年度から拠点港湾の整備に着手。既設護岸を撤去し、新たに延長230m、水深12mの地耐力強化岸壁新設に加えて、水深12mの航路・泊地浚渫などをおこなう。2025年10月11日に岸壁を新設する本格的な現地施工開始に合わせて着工式典を開催。事業期間は2024年度(令和6年度)~2027年度(令和9年度)、総事業費123億円。
2025年11月7日、国土交通省 東北地方整備局 青森港湾事務所は報道関係者向けに青森港事業説明会として、基地港湾整備の進捗状況について理解を深めてもらうべく施工状況を公開。現在、岸壁本体構造の工事を大型作業船2隻が同一区域でおこなっているという。説明会の案内に掲載されている画像には2隻の作業船が並んで鋼管矢板を打設する様子が映されています。
作業船2隻のうち、フライングで鋼管矢板を打設しているのは株式会社 細川産業(本社:青森県青森市)の250トン吊りクレーン船「てっかい丸」。もう1隻のリーダーを搭載した杭打ち船は、外観から推測するとシーテック株式会社(佐賀県)と信幸建設株式会社(本社:東京都千代田区)の共有船である「てんざん号」のように見えるけど確定情報ではありません。
青森港油川地区岸壁(-12m)本体外工事は2025年4月14日に入札がおこなわれ、東亜・大本特定建設工事共同企業体が25億9,500万円で落札。予定価格は28億1,533万円、調査基準価格は25億8,909.5万円。入札した5業者の金額はいずれも調査基準価格と予定価格の間に収まっており、最大差額で590万円という僅差。凄まじい見積り精度。
2027年度の完成予定を目指している。

鋼管矢板打設の施工状況
東奥日報社がYouTubeに投稿した動画では、250トン吊りクレーン船「てっかい丸」による鋼管矢板打設の様子が紹介されています。
巨大なバイブロハンマーを使用した鋼管矢板の打設作業。鋼管矢板は直径1.2m、長さ25.5m~29.0m、接手はL-T型。見てて気持ちいいい程、瞬く間に鋼管矢板が下がっているので簡単な施工のように見える。しかし、その裏には正確な導材、クレーンオペレーターの技術や経験、立ちを誘導する測量、鋼管矢板の製品精度など職人技と呼ばれる技術に加えて、鋼管矢板の規格や施工場所の地盤に対する適正な施工機械の選定、ウォータージェット併用という施工方法などが合わさってスムーズな施工が実現しているものと思われます。
航跡波やちょっとした波でも足元が濡れてしまいそうな導材高さは気になりますけど、鋼管矢板の打ち止め高さから吊りピースの干渉が考えられるので仕方なさそう。でも、最終的な岸壁高さが少し低すぎるような気もするけど大丈夫でしょうか。
250トン吊りクレーン船「てっかい丸」

出典:Hosokawa Sangyo Co., Ltd.
| 船名 | てっかい丸 |
| クレーン能力 | 250トン |
| 長さ | 56.9m |
| 幅 | 22.0m |
| 深さ | 3.65m |
杭打ち船「てんざん号」

出典:SHINKOKENSETSU Co,.Ltd.
| 船名 | てんざん号 |
| 鋼管杭施工能力 | φ400~φ1,800 |
| 長さ | 45m |
| 幅 | 20m |
| 深さ | 3.0m |
| リーダー長さ | 54m |
| リーダー傾斜 | ±25度 |



















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