千葉県勝浦湾で杭打ち船「第八くす号」浸水により沈没

千葉県勝浦湾で杭打ち船「第八くす号」浸水により沈没 国内ニュース
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千葉県勝浦湾で杭打ち船「第八くす号」浸水により沈没

2025年12月18日0時50分ごろ、千葉県の勝浦湾で杭打ち船「第八くす号」が浸水により沈没する事故が発生。

杭打ち船「第八くす号」は非自航船。事故当時、12月16日に宮城県塩釜市を出港して佐賀県伊万里市へ向けて曳航されていた。12月17日22時25分ごろ、曳航船から勝浦海上保安署へ杭打ち船「第八くす号」浸水のため、勝浦港へ避難を求める連絡。日付が変わった18日0時ごろ、浸水量が急激に増加したため救助を要請し、巡視艇「かつかぜ」が杭打ち船「第八くす号」の乗組員4人を全員救助。そして、同日0時50分ごろ、勝浦漁港の防波堤灯台から約400mで沈没。

杭打ち船「第八くす号」沈没までのタイムライン
  • 2025年
    12月16日
    宮城県塩釜市を出港

    仕向け先は佐賀県伊万里市

  • 17日
    22時25分
    杭打ち船「第八くす号」浸水のため、勝浦港へ避難を求める連絡

    曳航船から勝浦海上保安署へ通報

  • 18日
    0時
    浸水量が急激に増加したため、救助要請

    巡視艇「かつかぜ」が「第八くす号」の4人全員を救助

  • 00時50分
    勝浦湾で沈没

    勝浦漁港の防波堤灯台から約400m

曳航船「海真丸」のAIS情報から見える事故の状況

「海真丸」の航跡データに杭打ち船「第八くす号」沈没までの動静を追記

杭打ち船「第八くす号」沈没までの動静を基に曳航船を探してみると、AISの航跡からプッシャータグ「海真丸」(KAISHIN MARU)であることが分かりました。

「海真丸」の航跡データに杭打ち船「第八くす号」沈没までの動静を重ねてみると、少し状況が見えてきます。

宮城県塩釜市を出港して、勝浦沖近くを航行する所までは速力5~7ノットで何事もない感じ。12月17日19時ごろから速力が落ち始めて1~2ノットへ低下。17日22時25分ごろに勝浦港へ避難を求める連絡を入れた後、1時間程度沖合で待機。待ちきれなくなったのか、連絡を受けて移動を開始したのか不明ですが、23時30分ごろから勝浦湾へ向けて航行を開始。勝浦湾内に入った18日0時ごろ、浸水量が急激に増加したため救助を要請。そして、0時50分ごろに沈没。

刻々と変化する杭打ち船「第八くす号」の浸水状態。関係各所へ連絡を入れながら、曳航船「海真丸」と杭打ち船「第八くす号」間のやり取りや様々な判断をおこなうという緊迫した状況だったことが想像出来る。浸水原因によっては未然に防ぐことが出来たかもしれませんが、沖合に比べて静穏で水深の浅い湾内に引き込んだところで沈没し、全員が救助されたことを考えると最悪の結末は回避されているようにも思えます。限られた情報と時間の中で、よりベターな方法を選択しなければならない事故は商船、漁船、作業船を問わず船乗りなら誰しも当事者になる可能性がある。

浸水原因

杭打ち船「第八くす号」の浸水原因は現段階で不明。

考えられる浸水原因としては、曳航中の波浪や衝突・接触による船体破損や甲板上の開口部から直接船体部分への海水流入などが挙げられる。杭打ち船「第八くす号」の建造年は分からないものの、相当な年数が経過していることから経年劣化による船体破損で浸水が起きた可能性もある。また、電蝕による船体の腐蝕を防ぐ亜鉛板を適正な時期に交換していなかったということも考えられる。異なる金属同士が触れ合う場合、船内の船底部分にナットが1つ落ちているだけでも短期間で船底に穴が空いてしまったということを聞いた事がある。

船舶にとって浸水は沈没に直結する大きな要因となりうる。船体のどの部分で何が原因となって浸水が起きたのか、原因が解明されて情報公開されるのを期待するしかない。

第三管区海上保安本部発表の緊急情報

第三管区海上保安本部から2025年12月19日に緊急情報として、杭打ち船「第八くす号」が沈没している勝浦港のエリアに一般船舶の航泊禁止がアナウンスされています。

転覆した状態の杭打ち船「第八くす号」

ハッキリとは見えませんが、甲板上の設備が全く見えないので転覆しているように見えます。

長距離回航中だったのでリーダーはクレーンから外して甲板から居住区にかけて倒した状態だったと思われますが、船体が転覆しても落ちないような固縛はしていないと思うのでリーダーは付近の海底に落下している可能性がある。クレーンのAフレームが海底に着底しているのかどうかは分かりません。数kLといった相当量の燃料油や油圧機器の作動油などを積載しているはずなので、油脂類の流出が懸念される。というか既に流出している可能性が高い。

今後、どのようにして杭打ち船「第八くす号」を撤去するのか、作業の進捗に注目。被害拡大を考えると早期着手が肝心。

SNSに投稿されている画像(@goodboy_max)によると、海面上に出ていた船体部分は12月21日時点で見えなくなってしまったという。要因としては、転覆後の船体から浮力が失われて沈んでしまったことや海底に着底していた部分が波浪により破損して沈んでしまった可能性が挙げられます。

いずれにしても、撤去に向けたサルベージ作業の難易度は高くなってしまったと言えそう。

杭打ち船「第八くす号」

杭打ち船「第八くす号」
出典:YAMASHITAGUMI
船名第八くす号
長さ45m
19m
深さ3m
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