ジブラルタル沖の貨物船「OS 35」船首の浮上作業スタート
2022年8月にジブラルタル沖でLNGタンカー「Adam LNG」と衝突し、その後に浅瀬で座礁した貨物船「OS 35」。先日の船尾ブロック浮上に続いて船首ブロックの浮上作業が開始されました。
2023年6月29日にジブラルタル港湾局(Gibraltar Port Authority)が更新した情報によると、貨物船「OS 35」の船首ブロック浮上作業を6月27日に開始したという。
船首ブロック浮上に先立って実施された船尾ブロックの浮上作業では、気密性が保持されていたこともあり船体の浮力を回復させる操作で浮上させることが出来ました。それに対して船首ブロックの方は、これまでに気密性を高める作業と吊り上げ用のリフティングツールを取り付ける作業が準備としておこなわれ、一定の浮力を持たせた上で吊り上げるという船尾ブロックと比較して難易度の高い浮上操作が必要とされました。
貨物船「OS 35」の撤去作業で使用されているクレーン付き台船
船首ブロックの浮上作業で船体の吊り上げに使用されているのは、クレーン付き台船に搭載されているクレーンではなく”チェーンプラ―”のようです。船首ブロックをクレーン付き台船で挟み込むように係留し、一定の浮力を保持した状態で甲板に取り付けた”チェーンプラ―”により吊り上げ。さらに、船首ブロック船底に追加の吊り上げ用チェーンを設置して安定性を強化。その後、船体の安定が確認されれば船尾ブロックと共に半潜水式バージに搭載して撤去が完了するという流れ。
撤去完了まであともう一息というところまで作業は進捗。工程的には現時点で当初よりも1ヶ月遅れ、5月に提示された修正工程からも0.5カ月遅れていますが、安全かつ環境への影響を最小限に抑えるという目標は死守されているように見えます。
予防措置として設置したオイルフェンスの破損
2023年6月29日にジブラルタル港湾局が更新したプレスリリースによると、貨物船「OS 35」の座礁場所に近いサンディーベイに予防措置として設置していたオイルフェンスが破損。原因は、多くのパドルボートやカヤックなどがオイルフェンスの上を乗り越えたことによるものだという。ひどい話です。
破損したオイルフェンスを復旧する作業に8人の作業員とボートで対応。サンディーベイに設置しているオイルフェンスは、撤去作業中に油流出が発生した場合の予防措置という意味で設置している。ただ、現在実施しているのは、最も油の流出が懸念される船体の浮上作業。現場では慎重な作業が要求される中、すぐ横でこのような事態が起きるとか考えられませんね。作業に集中できるように周囲の方々はもう少し協力的な行動が求められます。
ジブラルタル港湾局はプレスリリースの中で、オイルフェンスは繊細なもので破損した場合の復旧には費用と時間がかかるとし、パドルボートやカヤックなどをおこなう人に対してオイルフェンスをもっと大切にして下さいと呼びかけている。
世界で進行中のサルベージオペレーション
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