山口県柳井市遠崎にある国道沿いの海岸にガット船が座礁するという事故が発生。座礁したのは全長70m、総トン数499トンのガット船「ぽせいどん」。事故による油の流出は無く、AIS情報によると座礁から約5時間後には離礁していることが確認できました。
何が事故の原因だったのでしょう?
山口県柳井市の海岸にガット船が座礁
2022年11月29日午前5時頃、山口県 柳井市 遠崎にある国道181号線沿いの海岸にガット船が座礁するという事故が発生。座礁したのは全長70m、総トン数499トンの「ぽせいどん」。日本ではいわゆる”ガット船”と呼ばれる自航船、砂や砂利などの運搬をおこない、自船の船首に積み込み・荷揚げ用のクレーンを搭載している。
幸い事故による油の流出は確認されておらず、座礁した「ぽせいどん」も安定。AIS情報によると日本時間の午前10時前(11月29日 00:50頃 UTC)には離礁しているのが確認された。
ニュース記事によると、座礁した「ぽせいどん」は ”三田尻港から広島港に向けて石灰約950トンを運搬する途中だった” そうです。AIS情報を確認すると三田尻港の前港は大分県の津久見。なので積荷は石灰砕石の可能性が高そう。
ニュース記事の情報とAIS情報の航跡をまとめると、以下のような時系列に。
- 11月28日
17時頃大分県 津久見を出港石灰砕石を積込
- 11月28日
21時30分頃山口県 防府市 三田尻港に到着積荷の一部を荷揚げか?
- 11月29日
1時山口県 防府市 三田尻港を出港停泊時間は3時間30分
- 11月29日
5時頃山口県 柳井市 遠崎の海岸に座礁 - 11月29日
10時頃座礁位置から離礁
過酷なスケジュールが事故に影響?
日中に積み込みして夜中に回航。船員さんの作業としては普通なのかもしれませんが、不規則な作業サイクルは精神的にも肉体的にも過酷なのが見て取れます。ガット船に乗船している船員さんの人数は少ないイメージなんですけど24時間作業の交代体制が取れる程、人員が充実しているのでしょうか。この辺にも事故原因に影響する要因がありそうな気がします。
あわや国道を走行する車両と接触
今回の事故では船の座礁だけで済みましたが、座礁した現場の状況から見て国道を走る車両と接触する可能性は十分ありました。
座礁した「ぽせいどん」の船首は、国道181号線から数mという位置。積荷を積んできる状態なので空船だった場合はもっと接近していたことでしょう。
広島へ向かうために大畠瀬戸を通過する直前に座礁事故は起きました。大島大橋が架かる本州と周防大島の間は大畠瀬戸と呼ばれる狭水道で潮の流れが速く、古来から水運の難所とされている。
AISに記録されている情報によると、「ぽせいどん」が座礁する直前の速力は約10ノット。
確認できるAISの航跡では、一直線に海岸に向かっているので健全な状態で操船されているようには見えませんでした。当時現場付近には強風、波浪、雷注意報が発表されていたそうですが、荒天が影響したという感じでは無さそう。機械的なトラブルで制御不能になったか、船長の居眠りなどによる前方不注意が原因として考えられる。
事故の原因については今後捜査されると思いますが、いずれにしても乗組員の方が無事で海上への油漏れがなかったことが幸いでした。
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