中国初の洋上風力発電所向けSOV船2隻の建造開始

中国初の洋上風力発電所向けSOV船2隻の建造開始 船舶

 上海電気のSOV船の起工式(keel laying ceremony)が上海振華重工のヤードで行われた。洋上風力発電所向けのSOV船は中国初の建造。設計はUlstein。ULSTEIN X-BOWと呼ばれる船首の形状が特徴的。

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中国初の洋上風力発電所向けSOV船2隻の建造開始

11月30日に行われた起工式(keel laying ceremony)
出典:ULSTEIN

 2022年11月30日、上海振華重工のヤードで上海電気のSOV船の起工式(keel laying ceremony)が行われた。洋上風力発電所向けのSOV船建造は中国初となるそうです。

種別SX195SX197
長さ93m72.8m
18m17.5m
喫水(最大)6.0m5.5m
載貨重量トン数3,200トン1,700トン
速力13ノット12.7ノット
宿泊設備80~120人50~60人
「SX195」と「SX197」の概要

 建造されるSOV船は2隻。共に設計はUlstein。

 それぞれの完成・引き渡し予定は2023年末と2024年初頭になっている。

 建造する2隻は同型船ではなく異なる船型で「SX195」と「SX197」と呼ばれる型式。搭載される宿泊設備は60人と100人。

 Ulsteinを象徴するX-BOWとX-STERNと呼ばれる船体ラインのデザインは両船に含まれている。

SOV船とは?

 SOV船とは、Service Operation Vesselの略で、洋上風力発電所のメンテナンス技術者を複数の洋上風車に派遣する為に多数の宿泊設備を持ち、一定期間洋上での活動が可能なオフショア支援船。

全長93.4m、120人の宿泊設備を持つSOV船「Windea Jules Verne」
出典:General Electric

 本船と洋上風車の距離を常時安全に保つため、自動船位保持装置(DPS)を搭載し、また本船から洋上風車プラットフォーム上に技術者を安全に渡すため、波等による船体動揺を吸収する動作補償(Motion Compensation)機能をもつ特殊なギャングウェイを搭載している。

X-BOWとX-STERN

 今回建造が開始されたSOV船にも採用されている、Ulsteinによって設計されたX-BOWとX-STERN

 X-BOWはinverted bow(逆船首)と呼ばれる船首の形をコンセプトとして設計され、水切角はあるもののほぼ垂直に切り立ち、斧のような外観が特徴的な船首。荒天航行時に船首が水面上に出てしまう事が少ないのでスラミングと呼ばれる船体が水面に叩きつけられる現象が起こりにくい。さらに、波による速度損失が低減され、速力の向上や燃料消費の削減につながるという効果がある。

X-BOWを最初に導入した「Bourbon Orca」
出典:ULSTEIN

 X-BOWを最初に導入したのは、2006年に建造されたAHTS(Anchor Handling Tug Supply)というアンカーハンドリング・タグサプライ船の「Bourbon Orca」。

 全長83.6m、幅18.5m、総トン数4,615トン、載貨重量トン数3,180トン。

 X-STERNは、X-BOWの効果を船尾側に導入したもの。従来の船型に比べ後進時のスラミングを大幅に低減させる効果があるそうです。乾舷が高く水面との距離が大きいので安全である反面、その形状からアンカーを取り扱う作業をおこなう船種などには採用できない。

X-STERNを最初に導入した「WINDEA LA COUR」
出典:ULSTEIN

 X-STERNが初めて導入されたのは2016年に建造されたSOV船「WINDEA LA COUR」。X-BOWとX-STERNの両方を採用している。

 全長88m、幅18m、総トン数5,897トン、載貨重量トン数3,200トン。

X-STERNのSOV船による後進 動画

 とても滑らかで船尾の船型が船首と似ているので前進しているのかと思うほど。最大速力は12.1ノット出てるそうです。

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