観光船「KAZU1」曳航中に水深180mの海底へ落下

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曳航中に「KAZU1」落下

 2022年5月24日午前、海面近くまで吊り上げられ、海中に宙吊りの状態で曳航されていた観光船「KAZU1」の船体が落下。作業船「新日丸」の無人潜水機が午前11時40分ごろ、水深およそ180メートルの海底まで落下している船体を確認。

 これは人命が関わっていない最悪のパターンの2次災害かも。

 早期引き揚げは誰しもが期待していたので何とも言えませんけど、吊り方があまりにも安直だったような気がしますが、どうでしょう。もっと確実な方法を選択するべきだったのでは?  

 今後出てくるであろう問題を整理。

証拠物件の船体破損

水深120mに沈没した「KAZU1」の船体

 海面付近から水深180mへの水中落下したことによる船体の破損は確実。

 吊っていた状態から落下しているので、曳航中に船体の自重と曳航による水流、潮流を受けて破損。それによって吊具が外れた可能性もあります。

 いずれにしても船体破損の程度は大きくなってしまいました。

水深180mでの引き揚げ作業

 当初の沈没位置、水深120mからさらに60m深い水深180mへ船体が落下。引き揚げ作業の難易度が上がり、飽和潜水士の2次災害が起こる可能性が高くなります。

 船体がどのような状態で着底しているのか、船体破損状況も含めて再度調査する必要があります。

現状の設備で大丈夫?

「KAZU1」引き揚げの準備で「海進」甲板にローラーを溶接

 それと、海底から水面付近まで引き揚げるのに舷側にローラーを溶接で取り付けてウインチを使用しているように見えましたが、ウインチワイヤーの長さ大丈夫でしょうか?

 ワイヤーを300mとか400m巻いてたら問題ないですけど、当初は水深120mだったので200m程度しか巻いてなかったら、180mからの引き揚げは厳しくなります。

 そもそも「海進」に搭載しているクレーンでは能力不足なのでは?

 スリングで船体を大回しする吊り上げ方法だと、吊上げ重量は「KAZU1」の船体重量と吊り天秤と吊具の重量しかないですが、「海進」に搭載されているクレーンでは作業半径を加味すると限界かもしれません。「KAZU1」はFRP製で軽いかもしれませんが、天秤と吊具込みで15トン~20トンくらいはあるんじゃないでしょうか。水中だと10トン~15トンくらいかな。

 搭載されているクローラークレーンは50トン~100トン吊りくらい。想像ですが。通常のクローラークレーン搭載位置からローラーを取り付けた位置までは約30m。仮に100トン吊りだと作業半径30mで定格総荷重10トンくらい。あれっ?全然、吊れるトン数じゃないですね。

海面付近まで吊り上げられた「KAZU1」

 画像をよく見るとクローラークレーン走行させてました。これはいいのか?

 ただこの状態だと作業半径16mくらいまで近づいているので定格総荷重24トンくらいまでいけます。

 それでも余裕がある状態ではないので、他の吊具や架台を使用する選択肢のほうが安全な案でもクレーン能力によって制限されて採用されない場合もあるのでは?

 現場の方は現状ある設備で少しでも早く、安全に行える手順をその都度検討しながら作業を進めているんだと思いますが、リスクが高い時はもっと時間とお金をかけて安全に出来る別の方法を選択することも必要なのかもしれません。例えば吊り上げ用に別の起重機船を持ってくるとか。

引き揚げ方法の選択肢

 今後、水深180mから「KAZU1」船体を引き揚げる時に同じ方法ではやらないと思いますので、考えられる引き揚げ方法は何か?

 やっぱり確実に引き揚げる方法は架台方式がいいと思うんですよね。安定感があるし、架台鋼材を利用して船体の固縛も可能。いずれにしても引き揚げ作業が無事に終わることを願うばかりです。

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