女川町の離島を結ぶ「出島架橋」
来年2024年12月の完成を目指して建設が進められている、宮城県女川町の離島 出島と本土を結ぶ「出島架橋」。橋が架かることによって漁業が盛んな出島との往来を活発にするほか、災害時には避難道路として「命の道」となり、出島地区だけではなく女川町全体の活性化が期待されている。
出島架橋本体工事を受注しているのは、JFEエンジニアリング・橋本店・東日本コンクリートJV。2018年3月22日にWTO対象の一般競争入札がおこなわれ、65億4,000万円で落札。主な工事内容は、上部工(鋼中路式アーチ橋)と下部工(橋台:2基、橋脚:2基)。当初の工期は2018年7月5日~2023年3月28日まででしたが、工事は遅れており、現在は2024年12月27日まで工期が延長されている。
「出島架橋」の橋長は364m、橋種は鋼中路式アーチ橋、支間長314m、アーチ支間長306m。橋梁本体は、三重県にあるJFEエンジニアリングの津製作所で製作。輸送可能なブロックに分割して台船に積み込んで三重県から宮城県女川町まで海上輸送。工場から輸送された分割ブロックは、女川港石浜ヤードで一括架設用の大ブロックに組み立てる。中央径間部の上部工部材に使用されている鋼材重量は約2,500トンで、4回に分けて海上輸送されたという。
秋に起重機船で一括架設の予定
中央径間部の大ブロックは組み立てが完了すると長さ約245m、重量は2,500トン以上。この巨大ブロックを大型起重機船で一括架設するという。
女川港石浜ヤードで組み立てた大ブロックを起重機船で吊り上げて、約7km離れた「出島架橋」架設位置まで吊り曳航を行い、一括架設をおこなう。吊り曳航の道中には間口の狭い女川港防波堤があり、南北防波堤の開口部は約140mしかない。それだけあれば十分と思うかもしれませんが、国内にいる大型起重機船の船幅は49m~55mなので、大きな起重機船の船体からすると狭く、とても気を遣うポイントの一つになりそう。
女川町のホームページに掲載されている事業概要を分かり易くまとめた「出島架橋事業パンフレット」の工程表によると、大型起重機船による大ブロック架設は2023年10月末~11月中旬にかけてを行う予定となっている。さらに同パンフレットの施工ステップには、4,000トン吊り級フローティングクレーンを使用する作業として中央径間ブロックの他に、側径間ブロックの補剛桁部とアーチ部が紹介されている。
リンク先 女川町 | 出島架橋事業
架設作業を行う起重機船は?
メインとなる中央径間部の大ブロック重量は、使用鋼材重量が約2,500トンなのでそれ以上と考えると、施工できる起重機船は「海翔」「武蔵」「第50吉田号」の3隻。
施工ステップのイメージ図に登場する 4,000トン吊り級フローティングクレーン はジブがトラス構造なので、「海翔」をイメージして描かれている。架設する「出島架橋」は、アーチ橋で吊荷自体が高く、使用する吊具や設置時の揚程など、施工条件的に考えても作業に適しているのは揚程が最も大きい「海翔」なのかもしれない。
日本国内TOP3の吊り上げ能力を持つ大型起重機船についてはこちら👇
よく読まれている記事