掘削プラットフォームを洋上風車設置船に改造
中国の 華電陽江青洲三 洋上風力プロジェクト で掘削プラットフォームを改造した洋上風車設置船「护卫」(護衛)を使用して洋上風車の組立が行われたようです。
洋上風車は着床式。改造船による作業は基礎部材設置以降の風車部材の組立。下部の基礎部材設置は別の作業船を使用。
洋上風車設置船「护卫」(護衛)
掘削プラットフォームを改造しているので船体の形状は三角形に近い形。レグは3本。
船名 | 护卫(Hu Wei) |
長さ | 59.75m |
幅 | 55.78m |
深さ | 7.62m |
レグ長さ | 128.95m |
クレーン | 650トン吊×1基 45トン吊×2基 |
風車組立作業中の全景画像だと大きさが伝わりにくいですが、再程の画像を拡大すると分かりやすいです。人間の大きさと比べることで、画像左のぶら下がっているアンカーも結構大きい事がわかります。
ヨーロッパのSEP起重機船には風車への昇降用に伸縮する屈強なラダーがありますが、ここでは固定式のタラップを置いているだけのようです。この辺が中国らしいですね。
タラップの固定方法が簡易的。傾斜的に画像はタラップの下側なので、上側はガッチリ固定されていて欲しい。
安全面はあまり深く考えられていないのか。左側の方はライフジャケットの上にフルハーネス着用。
風車部材組立
基礎部材設置が終わっている状態なので、風車のタワー設置からナセル、ハブ、ブレードの設置。
さすがに甲板スペースが狭く、クレーンもあと設置でレグに干渉する為、部材は別船での運搬。
近年建造されたSEP起重機船によくあるLeg Encircling Crane (LEC)ではなく、クレーンは後設置されているので尚更、甲板上のデッドスペースが大きいです。
「回转海工吊」と「叶轮组装平台」
掘削プラットフォームを改造した洋上風車設置船を使用する以外にも新たな試みを行っていたようです。
それが 「回转海工吊」と「叶轮组装平台」 。
「叶轮组装平台」とは?
「叶轮组装平台」を日本の漢字に変換すると「葉輪組装平台」。
日本で使われている感じに変換するとぼんやりと意味が分かります。
”葉輪”はブレード、”組装”は組立。
「叶轮组装平台」はブレード組立台のこと。
ちなみにGoogle翻訳だと「インペラ組立プラットフォーム」と翻訳されます。
先ほどの組立画像の4番目ですね。
近景画像が無いので詳細は分かりませんが、風車のタワーを組立後に船体の角でハブとブレード3枚を地組しています。
タワーの上でブレードを1枚づつ取付するより早そうですね。広くは無さそうですけど作業床もあります。
SEP起重機船でも甲板上に取付する部材をたくさん積み込んでいる状態で風車組立を行うので、このアイディアを採用するメリットはありそう。
「回转海工吊」とは?
次に「回转海工吊」。日本の漢字に変換すると「回転海工吊」。
Google翻訳だと「ロータリーオフショアクレーン」。
う~ん。これはちょっとピンとこないですが、推測すると先ほどの地組したハブとブレードを設置するために建て起こすことを指しているのでしょう。
何かしら専用の吊り治具を使用しているのかもしれません。先ほどの5番目の画像ですね。ちょうど夜間なので詳細がよくわかりませんが。
吊上げ重量的に可能なフックが2個あれば2フックで吊上げ後に片方のフックを巻き下げて、建て起こし出来ると思いますが。
華電陽江青洲三 洋上風力プロジェクト
以前の記事で基礎部材の設置と変圧器(W=4,258t)の設置について取り上げています。
改造前の掘削プラットフォーム
CIMC(China International Marine Containers)グループのBluewhale Offshoreが所有するジャッキアップ掘削プラットフォーム「ESV Guardian (# H194)」を改造。
改造後の「护卫」(護衛)という名前も掘削プラットフォーム時のユニット名が由来。
掘削プラットフォーム ESV Guardian
類似船での事故
2021年7月25日に中国で起きたSEP起重機船の転覆事故。
原因は分かっていないので何とも言えませんが、船体形状が今回の掘削プラットフォームを改造したものに類似しています。
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