屋久島の宮之浦港で地質調査用台船の脚が折れるという事故が起きた。防波堤工事の地質調査を行うために設置した地質調査用台船の脚4本のうち3本が折れて、海底に突き刺さったままになっている。事故が起きた日は海底に刺さる折れた脚の位置が不明なため、港を利用するフェリーなどが欠航するなど影響が出た。
屋久島の宮之浦港で地質調査用台船の脚が折れる事故発生
2022年11月17日、鹿児島県屋久島町の宮之浦港で防波堤工事の地質調査を行うために設置した地質調査用台船の脚4本のうち3本が折れるという事故が発生。調査用台船自体は転覆すること無く港内の岸壁に移動させることが出来たようですが、折れた3本の脚は設置位置の海底に突き刺さったままになっているという。17日は海底に残された脚の位置が不明だったため、宮之浦港を発着するフェリーが欠航するなどの影響が出た。
海底に突き刺さっている折れた脚の長さは12m、直径約30㎝、重量は約1トン。水深約17mの海底に突き刺さっていることが確認され、回収方法は検討中だそうです。
現在は折れた脚が残っている場所を特定し、灯浮標が設置され港を利用するフェリーなども通常運行している。
管轄する第十管区海上保安本部が発表している緊急情報に記載された位置をグーグルマップにプロットすると、港の入り口にある防波堤の沖側に調査台船を設置していたことが分かる。防波堤工事の設計を行うための事前調査なので当然かもしれませんが。
事故の原因
現在のところ事故の原因は特定できていない。
事故が起きた地質調査台船は、当ブログでもよく登場するSEP起重機船の構造によく似ています。似ているというか地質調査台船も自己昇降式なのでSEP船ですね。ただ規模が小さく、昨今のSEP起重機船のレグ昇降装置で採用されている歯車方式ではなく、レグを油圧でグリップして昇降ジャッキを使用するタイプ。尺取り虫のような動きで台船を昇降させるというもの。
類似する地質調査台船の大きさを確認すると、台船部分は9m×8m程度で中央にボーリング調査を行うための開口部があり、Φ318.5mmのレグで標準的な長さは24m。作業可能な最大水深は17m。
今回事故が起きた場所の水深は17mという事なので、レグの長さから考えると限界に近い作業条件だったのかもしれません。4本中3本の脚が折れても台船が転覆していない状態だったことから、設置時に水面から台船をあまり上げていなかったんだろうなとは思いましたが、レグの長さ的に上げれなかったのかも。奇跡的に転覆もせず、漂流もしていないので周辺への影響が最小限だったことは不幸中の幸いですね。
レグが折れた原因については調査されると思いますが、作業限界水深での作業が影響していた可能性はありそう。他にも部材の消耗具合や波浪による影響、港の入口なので航跡波の影響など諸条件が重なり合って起きた事故だと思われる。
よく読まれている記事