愛南町沖で貨物船「菱洋丸」が浅瀬に衝突し機関室浸水、航行不能
2024年3月31日午前4時頃、愛媛県南部の愛南町沖で全長74mの貨物船「菱洋丸」が浅瀬に衝突して機関室が浸水し、航行不能になる事故が発生。事故後、貨物船「菱洋丸」船長からの通報を受けた海上保安部は巡視艇を現地へ向かわせ、乗組員を救助。乗組員にケガは無く、今のところ油の流出は確認されていないという。
浸水により沈没の恐れがあった貨物船「菱洋丸」から全員が避難したため船内は無人の状態になっており、タグボートによる曳航が可能かどうか検討がおこなわれているそうです。
刻一刻と変化する状況の中、乗組員の方が無事救助されたという点は一安心ですが、次なる問題は沈没する可能性がある貨物船の対応。浸水した貨物船の曳航はリスクが高い作業であることに加えて、船内が無人になっているため曳航するには貨物船に乗り込む必要がある。そして、危険な作業をおこなう前提として、まず曳航先を決めなければならない。
沈没の可能性が高い場合、意図的に浅瀬に曳航して船舶を座礁させた上で、油脂類の抜き取りや水密処理、浮力確保といった作業をおこなうことがあります。2023年11月に愛媛県松山市沖の怒和島付近で岩礁に船底が接触して浸水したRORO船「すおう」のように。
今後、どのような対応を取り事態を収束させるのか要注目。
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「菱洋丸」衝突の浅瀬は海上保安部が情報提供していた浅所付近
貨物船「菱洋丸」が浅瀬に衝突したとみられる場所の付近には、宇和島海上保安部が海上安全情報で水深が浅くなっていることを注意喚起している場所がある。その場所と貨物船「菱洋丸」のAIS情報による航跡を重ねてみると👇下の図のようになる。
この図を見ると、宇和島海上保安部が発表している浅所付近を航行している時に船底を接触したことが想像出来る。ただ、発表だと水深約7.1mということなので、周辺でさらに浅い部分があった可能性は高い。
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