貨物船「白虎」の引き揚げ一時中断、24日に再開予定
2021年5月に衝突事故によって来島海峡で沈没した貨物船「白虎」の船体を引き揚げるサルベージ作業が2023年8月17日に開始されましたが、想定していたよりも潮の流れが速く18日に作業を一時中断。潮の流れが緩む8月24日頃に天候なども含めて作業可否を決定し、引き揚げ作業を再開する予定。
サルベージ作業の流れは、海面付近まで引き揚げた「白虎」を潮の流れが緩やかな小部湾まで曳航。ここで引き揚げた「白虎」を半潜水バージへ積み替えするものと思われますが、明らかにはされていないので不明。その後、最終的に「白虎」は広島県の江田島へ運ばれる予定。
来島海峡は日本三大急潮のひとつ
引き揚げようとしている貨物船「白虎」の全長は約170m。とても大きな船体に加えて、沈没している場所は来島海峡という鳴門海峡・関門海峡と並び、日本三大急潮と呼ばれ海の難所としても知られる狭水道。想定よりも潮流が速く、作業を一時中断するのも無理はない。
ところが、潮汐情報を調べてみると「白虎」の引き揚げを開始した8月17日は潮回りで言うと”大潮”にあたる日でした。来島海峡の潮流表を見ると時間帯によって強弱はありますが、8月17日、18日は最強時に7ノットという潮流。海中の潮流が同じくらい流れているのかは分かりませんが、「白虎」が受ける潮流の影響は大きいと思われる。
「白虎」の引き揚げをおこなうチェーンプラーを搭載した台船2隻はアンカーで係留しているので、「白虎」が潮流の影響を受けて流されると台船側のアンカー走錨やアンカーワイヤーが破断する恐れがあり、2隻の台船もろとも「白虎」が漂流するという危険な状態に陥る可能性がある。
「白虎」引き揚げに向けた準備作業として船体へ吊り上げ用チェーンを取り付ける作業は2023年3月から実施されており、現場の潮流状況は熟知していると思われますが、大潮の日に船体の引き揚げを開始したのは少し考えが甘かったのかもしれません。
ただ、24日以降の潮流に関しても最強時には、24日 5ノット、25日 4ノット、26日 3ノット、という潮の流れが強くなる時間帯があるので、厳しい環境下でのサルベージ作業になることが予想されます。無事に作業が進むことを願うばかり。
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