最大9,200台積載、自動車運搬船「BYD SHENZHEN」引渡
2025年4月22日、中国の招商局南京金陵船舶有限公司で建造していたBYD(比亜迪股份有限公司)向けとなる自動車運搬船「BYD SHENZHEN」(比亚迪深圳)が竣工し、江蘇省儀徴市で命名式と引き渡しがおこなわれました。
自動車運搬船「BYD SHENZHEN」は長さ219.9m、幅37.7m、深さ39.6m。総トン数 87,973トン、載貨重量トン数 25,376トン。デッキ総数は16で車両の標準積載スペースは9,200台。現在運航している自動車運搬船としては世界最大だという。
中国船級社(China Classification Society)で船級登録されており、登録情報は以下の通り。
船名 | BYD SHENZHEN |
総トン数 | 87,973トン |
載貨重量トン数 | 25,376トン |
長さ | 219.9m |
幅 | 37.7m |
深さ | 39.6m |
平均喫水 | 9.2m |
速力 | 19ノット |
船籍 | 中国 香港 |
建造年 | 2025年4月 |
- Owner(船主):BYD SHENZHEN MARITIME (H.K.) CO., LIMITED
- Manager(管理会社):Wallem Shipmanagement Limited
- Shipbuilder(建造):CHINA MERCHANTS JINLING SHIPYARD(JIANGSU) CO.,LTD.
最新のLNGデュアル燃料クリーン電力技術を採用

出典:招商局集团
自動車運搬船「BYD SHENZHEN」を建造した招商局集団が掲載している情報によると、船体設計はフィンランドの船舶設計会社Deltamarinが設計。
最新のLNGデュアル燃料クリーン電力技術を採用し、高効率省エネメインエンジンなどのグリーン装備を搭載していると同時に、省エネ装置や抗力低減・防汚塗料などの技術的ソリューションを適用。船舶の省エネ・排出削減効率を効果的に向上させることで国際海事機関(IMO)の最新環境保護基準に準拠しており、グリーンでインテリジェント、環境に優しく効率的な自動車運搬船となっている。効率的な積載システムと保護技術により、輸送中の効率的な積載と車両の安全性を確保し、BYDの新エネルギー車の世界的な配送に、より安定した低炭素物流サポートを提供しているという。
新車7,000台以上を積んでブラジルへ初運航
BYDが2025年4月27日に微博(Weibo)へ投稿した内容によると、江蘇省太倉市でBYDの新車7,000台以上を積み込んだ自動車運搬船「BYD SHENZHEN」はブラジルへの輸送を開始。輸送先はブラジル南部のサンタカタリーナ州にあるイタジャイ港だという。
「BYD SHENZHEN」のAIS情報を確認すると、江蘇省太倉市での積み込みを終えて出港したのは4月27日。そして、5月3日の時点でシンガポールに到着し、LNGタンカー「FUELNG BELLINA」によるLNG燃料のバンカー作業をおこなっていました。
中国からブラジルへの航海という情報から、日頃見ている世界地図を想像して東まわりの経路で航行するものと思っていましたが、シンガポール経由の西まわりでブラジルを目指しているようです。
気になったので航行距離を計ってみると、パナマ運河を通過する東まわりのルートは約26,000km(約14,000海里)、対してシンガポールを通過する西まわりルートは5,000km短い約21,000km(約11,300海里)。航行距離が短い上にパナマ運河を通らなくて済む西まわりルートの方が効率的に輸送が出来るみたい。固定観念って恐ろしいですね。

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