2021年末時点の洋上風力発電容量で日本を上回るベトナムで5MW風車の設置が開始されたようです。設置にはヨーロッパや中国で見られるSEP起重機船はいません。着床式ですが大口径のモノパイルを打設するわけではなく、群杭に支保工を組んで上部工を打設したドルフィンの上に風車を組み立てるという方法。
カマウ洋上風力発電所
お世辞にも整った設備や機械があるとは思えない中で、洋上風車の建設を行っています。現在、日本の秋田で建設が進む洋上風車は4.2MW。それよりも大きな5MW風車の組立。
設置する海域は、干満差が大きく、2m程度あるため、資材の運搬や作業船の移動に制限がかかることが多くあったそうです。見た感じ、水深浅そうですもんね。陸地側には川が多くあるので、降雨などで運ばれてくる堆積物の影響で河口付近の水深変動は大きいのかも。
位置的にはベトナム南部のカマウ省沖合。
基礎杭の打設
打設しているのはコンクリート杭でした。
施工している画像を見ると、安全面の意識は少し薄いのかも。
それにしても、どこから測量してるんだろう?気になります。
コンクリート打設
コンクリートミキサー船がベトナムにもいるようです。
コンクリートミキサー船、コンクリートプラント船、CP船。船上でコンクリートを製造し、コンクリートポンプで圧送、ディストリビュータで打設が出来る。生コン工場とミキサー車とポンプ車が合体したような、1隻で3役の万能作業船。
いろんな種類の作業船が世の中にはいますが、CP船が他の作業船と一線を画す特徴として、自船で製品を製造する点が挙げられる。例えば、クレーン船は出来上がった製品を吊り上げて組み立てることはしますが、製品の製造は行わない。それ故に、CP船には厳格な品質管理が必要とされます。
風車組立
5MWの風車組立。一見するとSEP船のようにも見えますが、4隅にスパッドを搭載しているだけの台船。大きな台船には、3台のクローラクレーンが載せられています。ブームが長いメインクレーンとして風車の組立を行っているのが、中国のメーカーSANYの800トン吊り「SCC8000A」という機種。
ハブ高さが91mでナセル重量115トン、最重量のタワー部材が145トン、ブーム長さは推定108mぐらいかな。カタログスペックを確認すると180トンフックの重量が8.4トン。作業半径20mで吊り上げ能力は166トン、揚程は104mくらい。
画像では穏やかな海象条件で作業してますが、荷振れとかはどんな感じなんですかね。
この施工方法だと日本の既存作業船でもいけそうですよね。SEP起重機船を使用するのと比べると施工日数は格段に要するので採算がとれるかどうかは分かりませんが。あと、安全面で不安な点が多々ありそう。群杭だと設置する地盤条件によっては支持力が落ちる可能性もありますが、一つの方法としてはありなのではないでしょうか。
よく読まれている記事