ケーブル敷設船「AWAJI」による鳥羽市神島町への海底ケーブル敷設
2024年6月6日、中部電力パワーグリッドは三重県鳥羽市の神島~答志島間で進めている海底ケーブル敷設工事の様子を公開。
離島である神島町へは現在、堅神変電所から送る電力を答志島経由の海底ケーブルを通じて供給している。災害などにより海底ケーブルからの供給が途絶えた場合に備えて、神島には非常用電源として神島発電所(400kW)がありましたが、老朽化により停止されることが決まったため、神島の住民に電力を安定供給することを目的として海底ケーブルの追加設置が実施されているという。
2005年5月に神島~答志島間へのケーブル設置は実施されており運用がおこなわれていますが、既に設置しているケーブルに加えて新たに海底ケーブルを設置することで一方にトラブルが起きても、もう一本のケーブルで電力供給が可能になる。
設置がおこなわれているケーブルは、2025年3月をめどに供用開始する予定。
ケーブル敷設船「AWAJI」
答志島から神島への約8.5kmにおよぶ海上部分の海底ケーブルを設置する作業には複数の船舶が携わっているようですが、海底ケーブルを自船に積んで敷設作業をおこなっていたのは兵庫県淡路市に本社を置く関海事工業所が所有するケーブル敷設船「AWAJI」。
ケーブル敷設船「AWAJI」の船体寸法は長さ66m、幅26m、深さ3.7m。外径19.7mのターンテーブル、R=4mの船尾シーブに加えて、ケーブル敷設時の船体位置を保持するDPS(自動船位保持措置)を搭載。
水深の浅い海域ではアンカー係留によるウインチ操作での操船による施工が可能、さらに水深の深い海域でもDPSによる船体位置の制御で所定の場所に海底ケーブルを設置することが出来る。
「AWAJI」はケーブル敷設をはじめ、海洋調査・大深度でのブイ設置・漁礁の据付けなど多種多様な用途の施工に対応。そして、当然ながら洋上風力発電向けの海底ケーブル敷設にも対応している。
船名 | AWAJI |
搭載クレーン | 90トン吊りCC |
長さ | 66m |
幅 | 26m |
深さ | 3.7m |
建造場所 | 淡路共同造船 |
建造年 | 2017年9月 |
関海事工業所が保有するケーブルトレンチャー
関海事工業所は、ケーブル敷設に必要なROV(Remotely operated vehicle:遠隔操作無人探査機)の他にケーブルトレンチャーも保有している。埋設機姿勢監視センサー、埋設深度計、水中監視カメラを搭載したケーブルトレンチャーはウォータージェット式で埋設深度は2m。そして、曳航式。
中国で建造中のケーブル敷設船「启帆19」も曳航式のケーブルトレンチャーを搭載する予定。こちらのケーブル埋設深度は4.5m。
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