波浪によりエンジンが自動停止、復旧までの約2時間漂流
2023年12月12日朝、九州郵船株式会社が運航する福岡と長崎・壱岐を結ぶ高速船のジェットフォイル「ヴィーナス2」がエンジントラブルにより壱岐市沖で漂流するという事態が発生。船には乗客47人と乗員5人の合わせて52人が乗船していましたが、約2時間後に停止したエンジンが復旧し、航行を再開して壱岐・芦辺港に入港。乗客47人と乗員5人は全員無事でした。
事故当時、海域では強風が吹き波も高い状態だった
「ヴィーナス2」は、長崎県対馬の厳原港から芦辺港経由で福岡市の博多港に向かっていた。報道されている情報では北の風17m/sという強風が吹いており、波高は2mを超えていたという情報もある。
高速船(ジェットフォイル)「ヴィーナス2」
船名 | ヴィーナス2 |
総トン数 | 163トン |
長さ | 27.4m |
幅 | 8.5m |
速力 | 40ノット |
旅客定員 | 257人 |
九州郵船株式会社の発表
ジェットフォイル「ヴィーナス2」を運航する九州郵船株式会社は、12月12日に ”ジェットフォイル「ヴィーナス」臨時配船について” という緊急情報をホームページに掲載。その中で、事故による修理のため12月13日から12月22日(予定)まで臨時のドック配船を告知するとともに、「ヴィーナス2」で起きた事故の経緯について説明しています。
【抜粋】
本日、厳原港07:00発芦辺経由博多行きのジェットフォイル「ヴィーナス2」におきまして、芦辺港入港前に波が高い場所を運航中、衝撃を受けエンジンが自動停止し、復旧までに約2時間を要することとなりました。この際、1階客室前方の点検口が損傷し、海水が船内に流入することとなりました。
https://www.kyu-you.co.jp/whatsnew/detail/e1d9ea09-7240-4b00-9705-7190e4b015cc#
掲載内容によるとエンジン停止の原因は波浪による衝撃とされている。さらに、1階客室前方の点検口が損傷して海水が船内に流入していたという。
事故を報じるニュースでは「ヴィーナス2」に乗船していた方のインタビューで ”ガラスが割れて、波が入って来た” と報じていました。天候の悪いなか航行中にエンジントラブルが起きた挙句、船内への海水流入という事態であれば乗客の方は最悪の結末を案じて緊迫した状況だったことが想像できます。
報道では、故障の原因を調査しているということでしたが、気象海象による要因が根本原因となっていることから運航の可否判断に問題があるように感じます。大型のフェリーに比べて速力の早い高速船は天候による影響を受けやすく、必然的に運航基準も厳しい。企業として採算などの経済性を考えると通常運航したい気持ちは分かりますが、適正な運航判断を下し、安全運航に努めてもらいたい。
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