四国の南予地方を流れる肱川で上流のダム放流で増水し、工事のため川の中に置かれていたクレーンなどの重機4台が水没する事態が発生。川で工事を行っている責任者の方は日頃から常に雨の状況を気に掛け、チェックしていると思いますが、こういったことが起きてしまう。
愛媛県の肱川で川の増水によりクレーンなどの重機4台が水没
2023年4月7日朝、四国の南予地方を流れる肱川で上流のダム放流で増水し、工事のため川の中に置かれていたクレーンなどの重機4台が水没する事態が発生。
事態を報じるニュースなどによると、肱川ダム統合管理事務所から「ダムの放流量を増やす」という連絡を受けた県大洲土木事務所河川港湾課の担当は、午前7時頃から作業員16人により川の中の重機などを退避させる作業を進めていたそうですが、予想以上に川が増水したため、およそ30分後に作業を中断し、作業員を全員避難させた。増水でクレーンなどの重機4台のほか、足場などが水没しましたが、けが人はいないそうです。
上流の鹿野川ダム放流量と川の水位
重機が水没した時の水位と平常時の水位を見ると別の川のような様相に自然の驚異を感じます。今回、重機が水没した場所と上流にある鹿野川ダムはおよそ19km離れた場所ですが、位置的に川幅がそこまで広くないのでダムの放流により水位が一気に上がってしまったようです。
国土交通省の川の防災情報というサイトでは全国のダムや河川に関する情報を閲覧することが可能でライブカメラが設置されている所では静止画像を見ることが出来ます。このサイトで重機が水没した増水時の鹿野川ダムの状況と重機水没場所近くにある観測点の水位情報を確認。
リンク先 国土交通省 川の防災情報
鹿野川ダムの貯水位と放流量
出典:国土交通省 川の防災情報
4月6日の深夜、日付が変わる前から徐々に貯水位の増加と共に放流量が増加し、4月7日午前8時に放流量の最大値 毎秒573m3 となっています。ちなみに一般的な学校の25mプール(長さ25m、幅12.5m、深さ1.35m)の水量は422m3なので、1秒間に25mプールの1.36倍に相当する水量が放水されていたことになる。
重機水没場所から2km下流にある観測点(大洲)の水位
出典:国土交通省 川の防災情報
重機水没場所から最も近い観測点は2km下流の大洲だったので、その地点の川の水位を確認。4月6日はあまり変化が無く水位は1.38m。こちらも鹿野川ダムと比べて少しタイムラグがありますが、4月7日に日付が変わった頃から水位は上昇をはじめ、重機の退避を始めたとされる午前7時にはすでに水位は 3.09m になっています。その後も水位は上昇を続け8時で3.67m、9時で4.59m、10時で5.16m、11時で5.40m、そして12時に最大値の5.46mとなっています。
8時から9時の1時間で1m近く水位が上昇しているので、7時30分頃に重機の撤去をあきらめて人員の避難を行ったのが正しい判断だったことが分かります。
それにしても、この事態を予見して前日に現場から重機などを退避させることは可能なのでしょうか。工事を発注する側もいろいろな河川ルールに則っているでしょうけど、請け負った業者がリスクをすべて負担するのは理不尽な気もします。
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