中国の5,500トン吊り起重機船「二航卓越」による橋脚基礎設置
2024年10月28日、上海振华重工(ZPMC)で建造された中交第二航務工程局有限公司の5,500トン吊り起伏式起重機船「二航卓越」(Er Hang Zhuo Yue)が浙江省の杭州湾横断鉄道橋で初作業をおこないました。
2024年9月に竣工したばかりの起重機船「二航卓越」が設置したのは長さ55.7m、幅40.2mの小判型をした鋼製橋脚基礎で高さ25.1m、重量2,500トン。
輸送船から橋脚基礎を吊り取った上空からの画像を見ると、内部に複数のさや管が取り付けられており、事前に打設した鋼管杭に合わせて設置がおこなわれたようです。鋼管杭の数が多いのでなかなか大変そうな据付作業。
杭州湾横断鉄道橋について
杭州湾横断鉄道橋(杭州湾跨海铁路大桥)は、浙江省の嘉興市と寧波市に架かる全長29,266.8mの高速鉄道橋。設計速度は350km/h。北、中、南の3カ所に斜張橋の水路橋が含まれており、それぞれの主径間長は450m(北)、448m(中)、364m(南)。北水路橋の主塔高さは200m。
2022年11月30日に着工し、現地での建設工事は2023年3月14日に開始。工事期間は5年間で、2027年に完了見込み。建設費用は200億元、日本円で4,200億円を超えると推定されている。
起重機船「二航卓越」の概要
出典:龙船风电网
船名 | 二航卓越 |
クレーン能力 | 5,500トン |
揚程 | 130m |
長さ | 165m |
幅 | 52m |
深さ | 11m |
設計喫水 | 6.5m |
エアドラフト | 47m(最小) |
スラスター | アジマススラスター:2,000kW×2基 サイドスラスター:600kW×2基 |
起重機船「二航卓越」の船体寸法は長さ165m、幅52m、深さ11m。起伏式のジブ2基を搭載しており、最大吊り上げ能力は5,500トン。エアドラフト47m、最低喫水4.5mという特長があり、ジブを倒した状態にすると水面からの高さを47mに抑えることが出来る。これにより、通常の状態では通航できない桁下制限の橋を通過することが可能になり、川の上流側で橋梁工事の橋桁設置作業などを施工できる範囲が広がるというメリットがあります。
起重機船「二航卓越」は中国船級社(CCS,China Classification Society)で船級登録されており、船種は ”Floating Crane”(浮きクレーン)となっているため、非自航式のようです。
出典:MarineTraffic
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