台湾の高雄港沖でコンテナ船「ANGEL」沈没、無数のコンテナ流出
2023年7月21日未明に台湾の高雄港沖で全長173mのコンテナ船「ANGEL」が沈没。前日の20日には浸水により大きく傾いた船体から乗組員19人全員が避難しており、船に積まれていた積荷の空コンテナ1,349個のうち6個が海に流出していた。
コンテナ船「ANGEL」が沈没したことによって積荷のコンテナ500~600個が付近の海域に漂流する事態が起きている。タグボートやジャッキアップ船を動員して、流出したコンテナ回収作業にあたっているようですが、7月21日夜までに引き揚げられたコンテナはわずか23個。回収作業には4~5日かかる見込みという報道ですが実績からして厳しそう。
漂流するコンテナによって”第2入り口”も一時封鎖
7月20日の時点では、2箇所ある高雄港への入り口のうちコンテナ船「ANGEL」に近い第1入り口(First entrance)を輸送上の危険が生じるとして閉鎖していましたが、沈没によって漂流した大量のコンテナが南に向かって流れたことで第2入り口(Second entrance)も一時入港を停止せざるを得ない状況になった。
沈没した船内には燃料など500トンの油
沈没したコンテナ船「ANGEL」には燃料油など約500トンが積まれているという。船内の油が流出するのを防ぐため、7月21日午後に潜水士を緊急手配し燃料タンクのエア抜きを塞ぐ措置がおこなわれた。さらに、油流出時の拡散を食い止めるオイルフェンスを沈没した海域の周囲に設置。
最低限の油流出措置は取られているようですが、懸念されるのは荒天による波浪で船体が破損するという事態。船内に残っている油の量が大量なので、万が一にも流出する事態が起きれば深刻な海洋汚染につながる可能性がある。タイミングが悪い事に台湾の高雄港に向かって台風5号が接近している。
台風が去り、海象が安定してから船内に残る油を抜き取る作業がおこなわれる予定。
接近している台風5号の影響
大変な状況下の高雄港にタイミング悪く台風5号「トクスリ」(Doksuri)が接近中。現在の予報だと26日~27日にかけて高雄港に最接近するというもの。台風の勢力は今後も発達を続け、台湾上陸前の26日15時にピークとなり、中心気圧925hPa、中心付近の最大風速50m/s、最大瞬間風速70m/sという予報が出ている。
コンテナ船「ANGEL」が沈没している海域の予報では、27日午前中がピークで風速20m/s、波高4.4m。報道されている情報では、既に現況の海象が悪いので作業が出来ない・・と言っているので一足早く台風のうねりが到達していると思われる。
台風なので当たり前ですが、オイルフェンスなんて瞬殺で吹っ飛んでしまうレベルの時化。今さら、何か対策が出来る訳でもないので何も起こらない事を祈るしかない。
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