「ダイヤモンド・プリンセス」での転落事故 水先人の危険な業務
2023年5月5日の早朝、長崎に入港したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」を誘導する水先人として業務をおこなうため、伊王島の北西約4kmの海上でパイロットボートからクルーズ船に乗り移ろうとした水先人が海に転落する事故が発生。すぐにクルーズ船の救命艇に救助されましたが、転落から2時間後に死亡が確認されたという。
報道されているニュースでは、単に船から船へ乗り移る時に水先人が転落したかのような記事。水先人の方の年齢が69歳という情報もあり、年齢による運動機能の低下から乗船時に手足を滑らせたことが原因で転落したと想像している方も多いのではないだろうか。実際のところ、その通りの可能性もありますが、今回の事故を報道する記事としては状況説明が不十分と言えそう。決定的に足りない情報は、水先人が航行しているクルーズ船にパイロットボートで並走した状態で乗り移る時に転落したということ。
停船しているクルーズ船に乗り移る場合でも、港内ではなく沖合で波浪により船体が動揺している状態では転落の危険はありますが、それでも、転落した時の救助を考えると助かる可能性は高い。しかし、航行している状態の船に乗り移るとなると事故が起きるリスクは大きく跳ね上がる。
陸上の道路を走る車で考えてみると、イメージしやすい。走行する車に並走して近づき、乗り移る。思い浮かぶのは、映画さながらのアクションシーンのような光景。水先人はスタントマンではないし、誰であっても事故にあうリスクが非常に高いことが分かる。事故が起きると、やっぱり起きてしまったか、と思えるほどにハイリスクなのが水先人の乗下船、入港船への乗船時と出港船の下船時ということ。常に今回のような事故が起きる可能性が潜んでいる。
詳しい事故原因は分かりませんが、事故が起きた背景に業務自体の潜在的な危険性が関与している可能性が高いというのは事実。
水先人の危険な乗下船
検索すると水先人が乗下船する動画が多くアップロードされています。ちょっとしたタイミングのズレによって事故につながる危険な業務。それだけ事故が多く、記録用という観点から積極的に撮影されているのかもしれません。
動画の1本目は双頭船のパイロットボートによる非常に安定した理想的な乗船、2本目は見てるとひやひやしますが海水を浴びながらも無事に乗船、3本目は乗船時に右足を負傷するので少し閲覧注意。
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