下関沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカー、来週引き起こしの予定
2024年3月20日に山口県下関市の蓋井島南東沖で転覆した韓国船籍のケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」撤去に向けた作業が進められている。5月初旬に船内の燃料抜き取りが完了し、5月9日から船体曳航に向けて転覆した状態の船体を引き起こす準備が始まっているという。
事故当時、ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」に乗船していた乗組員11人のうち生存者は1人だけで9人の死亡が確認され、残る1人は行方不明のままとなっており転覆した船内に閉じ込められている可能性がある。
燃料抜き取りが開始された5月初旬時点で、作業が順調に進めば6月上旬に船体撤去できる見通しという報道情報。船体曳航・撤去に先立ち、5月22日以降に船体を引き起こす作業をおこなうという。
転覆しているケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」の全長は68.82m。そして、積荷のアクリル酸980トンは積まれたままの状態。積荷と船体自重を合わせると2,000トン以上はありそうですが、重量は不明。転覆した船体を180度回転させて引き起こすだけなので完全に吊り上げる訳ではありませんが、作業中に万が一想定外の浸水が発生した場合、吊り上げているクレーン船ごと海中に引きずり込まれる恐れも考えられるため、相応の吊り上げ能力および船体浮力をもつ作業船が選定されると思われる。
引き起こし作業に向けて起重機船「武蔵」回航中
5月22日以降、船体を引き起こす作業を予定しているということなので吊り上げをおこなう起重機船はすでに回航していると思いMARTIS(マーチス)の曳航船情報を調べてみると、深田サルベージ建設の3,700トン吊り起重機船「武蔵」が現場へ向かっていることが確認できました。
現時点で通航する各MARTISで周知されている起重機船「武蔵」船団の入航予定時刻は以下の通り。あくまでも予定なので変更の可能性は大いにありますが、今のところ関門海峡を5月18日 07:55に通過する予定。
名称 | 入航予定時刻 |
---|---|
明石海峡 | 5月15日 22:35 |
備讃瀬戸 | 5月16日 17:30 |
来島海峡 | 5月17日 07:15 |
関門海峡 | 5月18日 07:55 |
転覆により流出し、海岸に漂着したドラム缶などを回収
2024年5月15日、転覆したケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」から海に流出し、下関市内の海岸に漂着したドラム缶などの回収作業がおこなわれたそうです。回収したドラム缶の中身については、回収前に安全性が確認されているという。
ケミカルタンカー「KEOYOUNG SUN」
船名 | KEOYOUNG SUN |
総トン数 | 870トン |
載貨重量トン | 1,168トン |
長さ | 68.82m |
幅 | 10.6m |
船籍 | 韓国 |
建造年 | 1996年6月 |
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