深田サルベージが850トン吊り新造起重機船「霧島」の建造開始

深田サルベージが850トン吊り新造起重機船「霧島」の建造開始 起重機船、クレーン船
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深田サルベージが850トン吊り新造起重機船「霧島」の建造開始

出典:FUKADA SALVAGE & MARINE WORKS

2024年9月30日、深田サルベージ建設株式会社は最大吊り上げ能力850トンという起伏式起重機船「霧島」の建造に着手したことを明らかにしました。

株式会社JMU アムテックのプレスリリースによると、2024年7月17日に深田サルベージ建設、IHI運搬機械株式会社、株式会社JMU アムテックの3社で建造契約がおこなわれていたという。

建造については、クレーン部をIHI運搬機械、船体部を株式会社JMUアムテックがそれぞれ担当し、就航予定は2年後の2026年9月末

スパッドとスラスターを装備した起重機船

起重機船「霧島」は2本のスパッドとスラスターを装備しており、狭小水域での係留や回頭が出来るというユニークな船体仕様となっている。他にも格納式のフックや外洋航行時(船尾曳)にヨーイングを抑えるためのスケグを船首側に設置するなど機動性を向上させる仕様が採用されているようです。

スケグとはフィンのような形状をしており、船首側に設置した場合、船尾側を曳いて曳航する時の直進性を高める効果がある。

機動性を向上させる仕様
  • 回航性能の強化
    • フック格納式
    • ジブは船体に対して最適な長さ
    • 外洋航行時(船尾曳)のヨーイングを抑えるため船首側にスケグを設置
  • 低橋梁下の通過:最低高さ海面上35m
  • 狭水域での係留:スパッドとスラスタを装備し狭水域での1点回頭が可能

環境に配慮したGX化およびDX化による作業改善

環境に配慮したGX(グリーントランスフォーメーション)化の特徴として、大部分を電気駆動とした上で発電機関の統合運転制御や回生電力の再利用、インバーター制御をおこなうとともに発電機関からの排熱も有効活用。

さらに、DX(デジタルトランスフォーメーション)化も強化されており、作業支援システム、係留支援システム、船体位置誘導システムによるオペレーター支援、22台のカメラによる全方位監視、電子航海機器による安全監視を実現し、安全性と省力化を追求した次世代型の起重機船となっているという。

環境への配慮 (GX:グリーントランスフォーメーション)
  • 全自動並列運転制御による負荷に応じた運転を行い排出CO2を低減(旧来方式と比較して26%低減)
  • 燃料は軽油を使用し環境への負担を軽減
  • 低騒音型可搬式発電機を採用し騒音対策を実施
  • 常時運転の機関の排熱を回収し利用(コージェネシステム)
  • 電気駆動の電源は可搬式発電機を採用(将来は交換式コンテナ型電池への変更が可能)
デジタル化による作業改善(DX:デジタルトランスフォーメーション)
  • 作業に必要な情報をすべてデジタル化しオペレーターに提供するナビゲーションシステムを搭載
  • 船位誘導システムにより合図者の作業を補佐
  • すべてのシステムはインターネットによる遠隔サポートを行いオペレーターの負担を軽減
作業環境・居住環境の改善
  • 「非自航船における居住設備ガイドライン」の規定を満たす環境
  • 居室はすべて個室とし防音パネルを採用しプライバシーを確保
  • 女性の活躍を推進するため個室・浴室・更衣室を設置
  • 居室にWi-Fi通信機器を設置

起重機船建造は2003年竣工の「富士」以来

深田サルベージ建設のウェブサイトに掲載されているジブ固定式の起重機船は7隻。どれも建造から20年以上が経過しているようですが、今回の「霧島」は2003年に竣工した「富士」以来の新造起重機船になるようです。

2,050トン吊りと600トン吊りの間に位置する中型起重機船に該当し、地方港湾での揚重作業をターゲットに回航性と機動性を重視しているという。

「霧島」は九州地区での配備が予定されており、九州南部の宮崎県と鹿児島県県境付近に広がる火山群の総称である「霧島山」から命名。

クレーン能力船名建造年関連リンク
3,700トン武蔵1974年詳細 記事
3,000トン富士2003年記事
2,200トン駿河1991年詳細 記事
2,050トン金剛1984年記事
850トン霧島2026年(予定)
700トン大和1974年
600トン宏栄号1974年
120トンHAKKEI-120
深田サルベージ建設所有の固定式起重機船ラインナップ
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