「中天39」による重量2,400トンのモノパイル設置

出典:ZTT Group
中天科技集団(ZTT,Jiangsu Zhongtian Technology)は、華潤電力蒼南1#海上風電二期拡張プロジェクト(China Resources Power’s Cangnan No.1 Phase II offshore wind farm expansion project)で13基のモノパイル設置が完了したことを発表しました。
設置したモノパイルのうち最大のものは長さ122.5m、重量2,409.62トン。
モノパイル設置作業をおこなったのは、2024年4月に竣工した5,000トン吊りクレーン船「中天39」(Zhong Tian 39)。
華潤電力(China Resources Power)が事業者として開発を進める蒼南1#海上風電二期拡張プロジェクトは、浙江省 温州市 蒼南県の東側海域にある稼働中の華潤電力蒼南1#に位置しており、水深は19~26m。拡張プロジェクトは、8.5MWの風力タービン24基を設置する計画で総発電容量は204MW。
ZTT GroupがLinkedInに投稿した内容によると、モノパイル設置作業は稼働中の風力発電所内で操業を中断することなく完了したという。稼働中の風力タービン周辺での精密な作業が要求され、限られたスペースで大規模なモノパイル設置をおこなうため、アンカーを使用した係留ではなく自動船位保持装置(DPS)によるDP制御下で設置作業は進められたようです。LinkedInに投稿された動画を確認すると、確かにクレーン船「中天39」のアンカーは海面上の船体にぶら下がったままで使用されていませんでした。
自船クレーンを使用したモノパイル建て起こし




クレーン船「中天39」は、モノパイルを建て起こす時に使用する一般的なupending設備を搭載していません。そのため、輸送船からクレーンのメインフック2基を使用して水平状態のモノパイルを吊り取り、2基のフックを操作して建て起こしをおこなっています。
フックブロックの容量は不明ですが、2基のフックブロックは同じ大きさのように見えことから、単純に考えるとフックブロック1基当たりの容量は5,000トン÷2=2,500トン。最終的に、建て起こすと1基のフックブロックで吊り上げた状態となるため、モノパイル重量2,409.62トンに対してほとんど余裕が無い。吊りワイヤーや吊天秤の重量を考えると2,500トンを超える可能性が高いため、フックブロックの容量は2,500トンより大きいのかもしれません。
竣工して間もなくアップグレードを実施

出典:ZTT Group
2024年4月に竣工した5,000トン吊りクレーン船「中天39」について、ZTTは2か月後の2024年6月にアップグレードを発表。その内容は、DPS階級をDP1からDP2へ、宿泊設備を210人へ拡大、ヘリパッド増設というもの。
- DPS DP1 → DP2
- 宿泊設備 210人へ拡大
- ヘリパッド増設
船名 | 中天39 |
総トン数 | 70,339トン |
クレーン能力 | 固定:5,000トン 旋回:3,500トン |
揚程 | 甲板上120m |
長さ | 215m |
幅 | 51.8m |
深さ | 19m |
甲板スペース | 4,000m2 |
甲板強度 | 15トン/m2 |
設計速力 | 9ノット |
DPS | |
宿泊設備 | 210人 |
その他 | ヘリパッド増設 |
建造年 | 2024年4月 |
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