3,200トン吊りSEP起重機船「Norse Wind」引き渡し
2025年10月15日、中国の山東省 煙台市にあるCIMC Raffles Offshoreで建造していたDEMEのSEP起重機船「Norse Wind」が引き渡されました。
SEP起重機船「Norse Wind」は、ジャッキアップ時の最大作業水深70mで3,200トン吊りのクレーンを搭載。ローター直径300mを超える風力タービン設置と最大3,000トンのXXLモノパイル設置に対応しているという。
「Norse Wind」の建造は、DEMEが今年4月に買収したノルウェーのHavframによって2023年に開始。その後、船体進水、クレーン搭載、ジャッキアップ試験など順調に建造が進み、建造期間はおよそ2年。
DEMEのプレスリリースによると、「Norse Wind」はすでに複数の大規模洋上風力発電プロジェクトの契約を獲得しており、2030年まで予定が入っているという。長期に渡り契約獲得していることについて、世界最大級の風力発電所建設におけるDEMEの主導的役割を裏付けるものだと述べている。欧州の洋上風力発電プロジェクトを皮切りに2026年上半期の稼働開始が予定されている。
プレスリリースで初稼働のプロジェクト名は記載されていませんでしたが、ドイツ沖の「Nordseecluster offshore wind project」が最初のプロジェクトになる模様。「Nordseecluster offshore wind project」は、Nordseecluster A(660MW)と Nordseecluster B(900MW)の2段階で建設が計画されており、Vestas の風力タービン「V236-15.0 MW」を合計104基設置する計画。RWEとNorges Bank Investment Managementの合弁会社が事業者となり開発を進めていて、Nordseecluster A は2027年、Nordseecluster B は2029年に運転開始予定。風力タービン基礎の輸送・設置については、Van OordのSEP起重機船「Boreas」が配備される予定で、「Norse Wind」は15MWの風力タービン輸送・設置をおこなう予定。
- 2023年9月着工(鉄鋼切断式)
- 2024年2月起工(キール敷設式)
- 2025年2月船体進水
- 8月ジャッキアップテスト
- 10月引き渡し
DEMEのSEP起重機船2隻の建造進捗と予定
船名 | 建造番号 | クレーン能力 | 着工 | 起工 | 進水 | 引き渡し(予定) |
---|---|---|---|---|---|---|
Norse Wind | H588 | 3,200トン | 2023年9月 | 2024年2月 | 2025年2月 | 2025年10月 |
Norse Energi | H589 | 3,200トン | 2024年1月 | ? | 2025年7月 | (2026年初頭) |
SEP起重機船「Norse Wind」の概要

船体設計はNOV海洋事業の一部であるGustoMSCによるもので、NG-20000Xという型式。搭載するクレーンはHuisman製で最大吊り上げ能力3,200トン。フル電動のLEC(Leg Encircling Crane)となっており、ブーム長さ155mで甲板上からの揚程は約180m、20MW以上の風力タービン設置が想定されている。
DEMEのウェブサイト上では、SEP起重機船「Norse Wind」に関する船体寸法などの情報はまだ公表されていません。船級登録されているDNVの登録情報およびこれまでに公表された情報を集約すると概要は以下の通り。
船名 | Norse Wind |
総トン数 | 36,104トン |
載貨重量トン数 | 18,062トン |
クレーン能力 | 3,200トン |
揚程 | 180m |
長さ | 151.3m |
幅 | 62m |
深さ | 12m |
レグ長さ | 124m |
最大作業水深 | 70m |
船籍 | ノルウェー |
建造年 | 2025年10月 |
よく読まれている記事