Ro-Ro船「むさし丸」に長距離風況観測装置を搭載、実証実験開始
2024年3月8日、商船三井とメトロウェザーは長距離風況観測装置「ドップラー・ライダー」を商船三井のグループ会社である商船三井さんふらわあ保有のRo-Ro船「むさし丸」に搭載し、東京-福岡間航路での実証実験を開始したと発表。
メトロウェザーが開発した長距離風況観測装置「ドップラー・ライダー」は、LiDAR(Light Detection and Ranging)の一種で、空気中に浮遊する微細な塵に対して人体に無害な赤外線レーザーを照射し、その反射波を受信する事で、周囲半径15km圏内の風向き・風速を三次元で測定する事が可能だという。
商船三井は、グループ会社のコーポレートベンチャーキャピタル「株式会社MOL PLUS」を通じてメトロウェザーに出資しており、幅広い分野での業務提携を推進しているそうです。今回の実証実験はその取り組みのひとつで、両社が持つコア技術やリソースを活かし、これからも相乗効果により海運業と社会に新しい価値をプラスすることを目指すという素晴らしい理念を持っている。
大型船舶へのドップラー・ライダーの搭載は世界初
出典:Mitsui O.S.K.Lines
商船三井のプレスリリースによると、海上航行している大型船舶への「ドップラー・ライダー」の搭載は世界初になるという。
「ドップラー・ライダー」により、「むさし丸」から十数キロ遠方の風況を3次元的にリアルタイムで観測し、船上において遠方の風況の可視化を行うと共に、DX化の一環として高速データ通信システム Starlinkを通じて、船上で得られた風況等のビッグデータを陸上へ配信し、船上での燃費削減、安全運航に寄与する事を目的としている。
得られた風況データを自船運航の判断情報として利活用することに留まらず、Starlinkを通じて陸上へ送信するという点に大きな可能性を感じます。天気予報自体が過去の実績情報をベースに予測されていることを考えると、観測データが多いほど精度は高まる。海上に観測ポイントを設置することは簡単ではありませんが、縦横無尽に航行する船舶を移動観測ポイントとして利用するという着眼点が素晴らしい。
今後、今回のトライアルが着実に成果を挙げ、多くの船に同様の風況観測装置搭載が進んでいけば、搭載した船舶の安全・効率的な航行に加えて、気象海象予報の精度向上につながれる可能性がありそうです。
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