台湾北部で座礁した輸送船「钰洲启航」322日後に現場離脱

出典:交通部航港局
2025年9月17日、台湾北部の野柳(Yeliou)で座礁した重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」(钰洲启航)が再浮上して離礁後に現場を離脱しました。
2024年10月30日に座礁してから、再浮上・曳航開始までに要した日数は322日。座礁により積載していたコンテナクレーン3基のうち1基が倒壊したことに加えて、船体は右舷側に傾き甲板も部分的に水面下に沈んでしまった状態となり、当初から困難なサルベージ作業が予想されていました。
ずっと気になっていたので無事に作業が進められたことにひと安心。離礁した重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」の甲板上に積まれていたコンテナクレーンは綺麗に無くなっており、船体も水平になっています。座礁場所の陸側には約50トンの残骸が残されており、引き続き撤去がおこなわれる予定。重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」は、韓国へ曳航され、廃船になる予定であることが報じられています。
重量物運搬船「钰洲启航」の事故に関するタイムライン

- 2024年
10月14日台湾北部の基隆港でコンテナクレーンと衝突し、倒壊事故発生 - 10月29日基隆港を出港後、野柳の海岸に座礁
積荷のコンテナクレーン3基のうち1基倒壊、船内には約290トンの油が積まれた状態
- 11月8日油抜き取りをおこなう作業船が基隆港へ到着
11月8日に多目的船「ORIENT CONSTRUCTOR」、9日に多目的船「MMA CRYSTAL」到着
- 11月25日重油5トンの抜き取り
- 2025年
1月14日船内の油284トン抜き取り完了 - 4月甲板上に積まれたコンテナクレーン3基の撤去に着手
2025年9月上旬に撤去完了
- 9月14日船体再浮上、離礁
- 9月17日韓国への曳航開始
座礁した重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」(钰洲启航)に積まれていたコンテナクレーン3基はもともと基隆港(Keelung Port)に設置予定だった。しかし、2024年10月14日の基隆港入港時、港内に設置されていたコンテナクレーンと衝突し、倒壊事故を起こしている。この事故により、損傷した積荷のコンテナクレーンは修理が必要となったため、そのままの状態では設置することが出来ないことからコンテナクレーン3基を積んだまま、10月29日7時頃(台湾時間)に基隆港を出港。
重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」は出港直後に航行不能となり、基隆港から約10km沖合の新北市野柳沖で漂流。海岸から約0.5海里(約1km)の位置で投錨し、船を停泊。船に乗船していた17人の乗組員は、10月29日に全員が救助され避難できたようですが、船は無人の状態に。そして、台風21号による風速13m/s以上の強風と波高16フィート(約5m)の波浪によって走錨し、座礁。
船内に積まれている油を抜き取る作業は座礁して間もない2024年11月に開始されましたが、284トンの抜き取りが完了したのは2025年1月14日。船体浮上に向けた積荷のコンテナクレーンを撤去する作業は、海象状況の悪い冬場を避けて2025年4月に開始。そして、座礁により損傷した船体の補修や水密処理、加圧、油タンクの清掃などをおこない、2025年9月14日に船体を再浮上させて離礁に成功。離礁後、すぐに曳航を開始せず、付近の水深が深い場所へ移動して船体の安定性を確認するため48時間の状況観察を実施。
第3者機関による船体の安定性と曳航安全要件を満たしていることが確認された後、2025年9月17日午後、重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」は廃棄のため韓国へ曳航を開始。
重量3,000トンを超えるコンテナクレーン撤去時の詳細は掲載されていませんが、離礁した重量物運搬船「YU ZHOU QI HANG」の横に抱いている台船上のクローラークレーンで分割撤去をおこなったものと思われます。

出典:交通部航港局(2024年11月5日掲載)


出典:交通部航港局(2025年1月14日掲載)
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