五洋建設の5,000トン吊り大型基礎施工船 建造開始


出典:Seatrium
Seatriumは、五洋建設向けとなる5,000トン吊り大型基礎施工船(HLV,Heavy Lift Vessel)の建造開始を発表しました。
SeatriumのLinkedIn投稿によると、建造着工を意味する鉄鋼切断式(Steel Cutting Ceremony)は2カ所で実施。2025年9月29日に中国の江蘇省南通市、10月1日にフィリピンのスービック(Subic)で実施され、2025年1月27日の建造契約発表から246日後に建造を開始したと発表しています。
建造費は1,200億円。五洋建設が設立予定の子会社(50%)と芙蓉総合リース株式会社(50%)で建造費を負担し、共同保有する予定。2024年12月にシンガポールのPaxOcean Groupと建造契約を締結したケーブル敷設船(建造費310億円、2028年2月完成予定)についても同様に芙蓉総合リース株式会社と共同保有することが明らかにされている。
完成・引き渡し予定は2028年5月。2028年秋からの稼働を予定。
船体設計はUlstein、ユニークな「ULSTEIN U-STERN」搭載


出典:PENTA-OCEAN CONSTRUCTION
五洋建設向けとなる5,000トン吊り大型基礎施工船の船体設計を手掛けるのはUlstein。「ULSTEIN HX118」を基にカスタマイズされ、Huismanの5,000トン吊りメインクレーンに加えて、船首形状は「X-BOW」、そして船尾側には「ULSTEIN U-STERN」を搭載。
「ULSTEIN U-STERN」は2023年4月に発表され、洋上風力タービンの大型化に伴い、サイズアップしていくモノパイル基礎の設置という重大な課題に対する解決策として開発。巨大なモノパイルの輸送・建て起こし・設置という一連の動作を安全でスマートに施工できる船舶設計ソリューションとして発表。大きな特長は、船体中心線に沿ってモノパイルを縦方向に収納し、建て起こしが出来るという構造。この構造により、長尺のモノパイルを甲板に積載しても船体側面への張り出しが無く、設置作業中に船体が波に正対できるため、船体の動揺と燃料消費を最小限に抑えることができるという。
大型基礎施工船(HLV)の概要
船籍 | 日本 |
船級登録 | ClassNK |
クレーン能力 | 5,000トン |
長さ | 215m |
幅 | 56m |
DPS | DPS2 |
カーボンニュートラル対応 | バッテリー蓄電システム メタノールレディー |
基本設計 | Ulstein(オランダ) |
船体建造 | Seatrium(シンガポール) |
メインクレーン MP立起し装置等 | Huisman(オランダ) |
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