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10,000トン吊り起重機船「Hyundai-10000」

10,000トン吊り起重機船「Hyundai-10000」

 2015年2月に韓国で建造された10,000トン吊り起重機船「Hyundai-10000」。クレーンの吊り上げ能力は韓国最大、さらにジブ固定式の起重機船としては世界最大。その外観は世界トップクラスに君臨する半潜水式のクレーン船とは違った圧倒的な存在感がある。

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10,000トン吊り「Hyundai-10000」

 「Hyundai-10000」は、韓国南西部のチョルラ南道 霊岩郡にある現代三湖重工業(Hyundai Samho Heavy Industries)で建造されました。2013年10月に建造が開始され、建造期間は1年4カ月。2015年2月27日に竣工。以降は、韓国南東部の蔚山ウルサンにある現代重工業(Hyundai Heavy Industries)に移動し、主に造船関係の船殻ブロック設置作業などを行っている。

Googleマップ航空写真に映る「Hyundai-10000」(韓国 蔚山)

 「Hyundai-10000」のAIS情報を確認しても蔚山の現代重工業にいたので、基地港にしているような感じなのかも。

 Googleマップの航空写真を見ても、蔚山の現代重工業に係留している「Hyundai-10000」を確認することが出来ます。ガチガチに係留しているようですが、撮影した時がたまたま台風などの荒天前だったのか、これが通常の係留なのかは不明。船首・船尾から各10本のラインを取り、右舷と岸壁の間にも無数のラインが見えます。もしかしたら稼働することがほとんど無いのかもしれません。

日本の大型起重機船と似てるけど規模が違う

 「Hyundai-10000」の船体寸法は、長さ182m、幅70m、深さ11m。搭載されているクレーンは固定式のジブが2本、それぞれに4つ、計8つの1,250トン吊りフックがあり、吊り上げ能力は10,000トン

 日本の大型起重機船「海翔」「武蔵」「第50吉田号」も「Hyundai-10000」と同じジブ固定式ですが、吊り上げ能力、船体寸法には大きな差があります。

東京ドームのグラウンド面積は13,000m2
出典:江戸村のとくぞう – 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0リンクによる

 日本最大の起重機船「海翔」と比べると吊り上げ能力は約2.5倍、船体寸法は長さが1.5倍、幅は約1.3倍。

 巨大な船体部分の甲板面積は182m×70m=12,740m2。東京ドームのグラウンド面積が13,000m2なのでほぼ同じ大きさ。画像で見ると大きさが分かりにくいですが、比べることでその巨大さがよく分かります。

船名Vessel name Hyundai-10000
吊上げ能力Lifting capacity 10,000トン
長さlength 182.0m
width70.0m
深さdepth 11.0m
建造年Year of construction 2015年
所有会社Owner companyHyundai Heavy Industries
「Hyundai-10000」の概要
「Hyundai-10000」
出典:HYUNDAI SAMHO HEAVY INDUSTRIES

引き揚げた「セウォル号」を建て起こし

 2014年4月16日に起きたセウォル号沈没事故。海底から引き揚げられた船体を横倒しの状態から直立状態に建て起こす作業をおこなったのは「Hyundai-10000」。

出典:YouTube | KBS News

 この「セウォル号」を建て起こす作業では、船体重量、吊りワイヤーや滑車などの吊具、引き揚げに使用されたリフティングビームなど全てを含めた総重量は10,000トンを超えていたそうですが、完全に吊り上げている訳では無く、起重機船側の吊り荷重は不明。

 建て起こしていくにつれて各フックの重量は変化していくので、これだけ巨大な船体を建て起こすという作業はとても難易度の高い作業といえる。

吊り上げ記録

「the King’s Quay project」で使用されるFPSのトップサイド設置(重量=9,100トン)
出典:YouTube | 현대중공업

 「Hyundai-10000」の吊り上げ記録は、9,100トン。場所は、韓国の蔚山にある現代重工業(Hyundai Heavy Industries)のヤード内。2021年1月21日に行われた、メキシコ湾の「the King’s Quay project」で使用されるFPS(floating production system)のトップサイド設置。

韓国からテキサス州イングルサイドへ運搬されるFPS
出典:COSCO Heavy Transport

 このFPS建造プロジェクトで現代重工業が受注した金額は5,130億ウォン。受注当時の為替で日本円に換算すると約515億円(2018年、1ウォン=0.1004円として)。

 完成したFPSは半潜水式重量物運搬船「XIANG AN KOU」に搭載してメキシコ湾に運ばれ、2022年4月に石油の生産を開始している。

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