ジブラルタル沖の貨物船「OS 35」5月末の撤去は遅れる見込み
2023年5月11日、ジブラルタル沖でLNGタンカー「Adam LNG」と衝突し、その後に浅瀬で座礁した貨物船「OS 35」の撤去作業について、ジブラルタル港湾局(Gibraltar Port Authority)は撤去作業を行う Koole Contractors から最終的な撤去準備と計画に関する最新の工程と施工方法を受領したと発表。当初予定していた5月末の期限で完全撤去する可能性が低くなったことを明らかにした。
更新されたプレスリリースでは、5月29日に後部セクションの浮上、そして6月2日からクレーン船を使用して前部セクションの吊り上げを開始する予定で、完全に撤去が完了するのは6月16日になる見込み。およそ半月間という短い期間ですが撤去工程が延長されたことは残念であるとした上で、安全かつ環境への影響を最小限に抑え、すべてのプロセスを適切に完了することが座礁船の引き揚げでは重要であると述べている。
貨物船「OS 35」の船上に搭載されていた荷役用のクレーンは撤去され、船倉内に積まれていた貨物の鉄筋についても撤去が行われ、およそ3万3千トンの積荷撤去が完了している。
座礁した貨物船「OS 35」の撤去方法
貨物船「OS 35」は、座礁により破損した船首側から2番目と3番目の船倉の間で前後のセクションに船体を分断して撤去されるようです。そして、前部セクションよりも大きな後部セクションは気密性が保持されており浮上させることができるという。逆に小さな前部セクションは、そのままの状態で浮上させることができないので、浮上に向けた気密性を高める作業を現在行っている。
6月2日から行われる予定の前部セクション吊り上げで使用するリフティングツールの取り付けは完了しており、気密性を高め一定の浮力を持たせてクレーン船により吊り上げた状態で船底の下に追加の吊り上げ用チェーンを設置。吊り上げ時の安定性を強化して半潜水バージに搭載されるという。
最終的な一連の船体引き揚げ作業で懸念されているのが船内に残る油の流出。再浮上および吊り上げ作業中の油流出に迅速な対処がおこなえるように船体全体を囲んでいたオイルフェンスを各セクションに分けて個別に設置するという。この方法でも完全に油の流出を封じ込める保証は無いとして、万が一流出した場合の周辺海域にオイルフェンスを配備するなどの緊急時対応計画も考えられている。
出典:Gibraltar Port Authority
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