「Vineyard Wind 1」でケーブル敷設作業を再開
アメリカ初の大規模洋上風力発電となる「Vineyard Wind 1」の送電ケーブル敷設作業が再開されたようです。再開されたケーブル敷設作業は、陸上から風力タービンを設置するエリアにある洋上変電所を結ぶ送電ラインの中間セクションにあたる部分。
作業は4月9日頃に開始され、天候によって左右されますが7月まで行われる予定。
ケーブル敷設の作業を行うのは、イタリアに本社を置く世界的なケーブルメーカーPrysmianのケーブル敷設船「Ulisse」。全長122.2m、幅33.5m、深さ7.6m、7,000トンのケーブルカルーセルを搭載している。
もともとケーブル敷設船として建造された訳ではなく、台船に必要な機材を搭載した改造船。2016年にシンガポールのPaxOceanでケーブル敷設船にコンバージョンされたようです。
ケーブル敷設船「Ulisse」による施工
注目すべきはそのケーブル敷設方法。
台船からケーブル敷設船へ改造された「ULISSE」にはDPS(自動船位保持装置)は搭載されていない。なので、アンカーを投錨した上でウインチによる操船で作業するようです。
Vineyard Windが掲載しているMARINER UPDATEでは、周辺で操業する漁業関係者などへの周知の意味で施工する「ULISSE」がどの程度アンカーを投錨しているかについて書かれています。それによると、「ULISSE」の前方・後方ともに最大で1,500m離れた位置にアンカーを投錨して作業するそうです。施工の進捗に合わせてアンカーを打ち替える手間を考えると、出来るだけ遠くにアンカーを投錨して段取り替えの手間を最小限にしたくなる気持ちは理解できます。ただ想像していた以上の距離。
Prysmianが保有する他のケーブル敷設船にはDPSを搭載した船もいるようですが、なぜDPS非搭載の「ULISSE」で施工を行うのかはよく分かりません。もしかすると施工エリアの水深が比較的浅そうなので、その条件によって選定されている可能性はあるのかも。
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