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SEP船「Sea Installer」クレーンのアップグレード

SEP船「Sea Installer」クレーンのアップグレード 起重機船、クレーン船

 DEMEのSEP起重機船「Sea Installer」に搭載されているメインクレーンのアップグレードがオランダで行われました。クレーン能力を900トンから1,600トンに増強するもので、搭載作業を行ったのは先日ドックで修繕を終えたばかりの4,000トン吊り起重機船「GULLIVER」。

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SEP船「Sea Installer」クレーンのアップグレード

 オランダのロッテルダムでDEMEが所有するSEP起重機船「Sea Installer」のアップグレードが行われました。クレーン能力を900トンから1,600トンに増強するもので、アップグレード自体は2021年8月にDEMEから発表されていました。

 クレーンの搭載作業を行ったのは、ベルギーのScaldis Salvage & Marine Contractors NVが所有する4,000トン吊り起重機船「GULLIVER」。2023年2月初旬に建造以来、初のドック入りで10日間の定期修繕を終えたばかり。

2021年8月25日掲載のアップグレードを発表するDEMEの記事

DEME OFFSHORE PREPARES FOR NEXT GENERATION TURBINES WITH MAJOR CRANE UPGRADE FOR ‘SEA INSTALLER’

(DEME OFFSHOREは、「SEA INSTALLER」の主要なクレーンのアップグレードを伴う次世代タービンの準備をしています)

DEME Offshore prepares for next generation turbines with major crane upgrade for ‘Sea Installer’ | DEME Group (deme-group.com)
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アップグレード後は「Vineyard Wind 1」で作業予定

 1,600トン吊りにアップグレードされた後、SEP起重機船「Sea Installer」はアメリカ東海岸の「Vineyard Wind 1」で作業する予定になっている。

 「Vineyard Wind 1」は、アメリカの北東部に位置するマサチューセッツ州のマーサズ・ヴィンヤード島沖15マイルに建設中のアメリカ初となる大規模洋上風力発電所。設備容量は800MW。設置される風車タービンはGEの「Haliade-X 13 MW」が62基。

 先日、ドイツのロストックにあるEEW SPCで設置するモノパイルの中で最も重たい1,895トンのモノパイルが製造されています。

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新しいクレーンはスヒーダム(Schiedam)から運搬

オランダのスヒーダムで新しいクレーンを吊り上げる4,000トン吊り起重機船「GULLIVER」
出典:Huisman
出典:Huisman

 搭載する新しいクレーンはHuisman製

 Huismanの掲載記事によると、新しいクレーンはスヒーダム(Schiedam)にあるHuismanの生産施設で起重機船「GULLIVER」により吊り上げを行い、SEP起重機船「Sea Installer」が停泊するMaasvlakteまで運搬して設置されたようです。運搬距離は約37km(20マイル)。

 搭載するクレーンの重量は不明ですが、作業を行った起重機船「GULLIVER」のクレーン能力は4,000トン。ジブが2本あって、吊点を広く取れることもあり、ブーム・Aフレーム・クレーンタブを一体化した状態で設置。ただ、揚程にはあまり余裕が無く、設置を行う「Sea Installer」のレグ1本は部分的に撤去されていました。長い新設ブームをレグの間に入れ込んでいきながらの設置作業は難易度が高そう。

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気になるレグ上部の足場と消えたレグ

クレーンを吊り上げる4,000トン吊り起重機船「GULLIVER」
出典:Huisman

 クレーン搭載の画像を見て、2点ほど気になるところが。設置を行う部分のレグが無くなっているのと残り3本のレグ上部に足場が設置されているという点。

 まず、クレーンを搭載する位置のレグが無くなっているのは、先程も触れましたが、設置時に起重機船「GULLIVER」の揚程が確保できないので仕方なく一時的に撤去していると思われる。これは納得。恐らくレグ下部のパイルシューは残っているはずなので、どこかの高さで切断しているのかも。

 ではもう一点のレグ上部に設置された足場は何のためだろう?DEMEが発表しているアップグレード内容には、クレーンの増強しか記載されていないので真相はわかりませんが、可能性として考えられるのはレグの延長

 SEP起重機船「Sea Installer」のレグ長さは82.5m。海底地盤の条件によって変わりますが、最大作業水深は45m~55m。それに対して「Vineyard Wind 」リースエリアの水深は35m~60m、「Vineyard Wind 1」で風力タービンの設置が行われる北側エリアは少し浅めの水深37m~49.5m。なので現況のレグ長さでは少し不安。SEP船でレグ長さが足りずに施工できないとか、恥ずかしくて生きて行けなくなりそうなのでレグを延長する可能性が高そう。

 レグを延長するという同様の改造は中国のSEP起重機船でも行われています。2017年に建造された800トン吊りSEP起重機船「精铟01」(JING YIN 01)は、2022年9月にレグ長さを80mから93.5mへ13.5m延長する改造を行いました。

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