シンガポールでタンカーと浚渫船の衝突により大規模な油流出発生
2024年6月14日14時20分頃、シンガポールの Pasir Panjang Terminal でドラグサクション式の浚渫船「VOX MAXIMA」とタンカー「MARINE HONOUR」が衝突する事故が発生。
衝突した2隻のAIS情報や衝突により船体が破損したタンカーの画像から、ターミナルに停泊していたタンカーの右舷に浚渫船が衝突したようです。
シンガポール海事港湾管理局(MPA,Maritime and Port Authority of Singapore)が6月15日に発表した声明によると、衝突により損傷したタンカーのタンクから油の流出を確認。直ちに、巡視船の配備や流出した油の処理など対応措置を開始。油流出の影響を軽減するためオイルフェンスや分散剤、海面上の浮上油を回収するオイルスキマ―を動員。さらにドローンと衛星画像を使用し、油の流出予測モデルに基づいて被害の緩和活動を支援している。
油の流出元である船体が破損したタンカーからの流出は、封じ込める作業が実施されて6月14日夜に油漏れは止められている。
MPAをはじめ港湾運営企業のPSA や Singapore Salvage Engineers、Tian San Shipping, T&T Salvage は18隻の対応船を派遣し、およそ1,500mのオイルフェンスを展張。流出した油の拡散防止と既に影響を受けているエリアについては封じ込めた上で油を回収する目的から、数日中に追加でオイルフェンスの設置を実施するという。
シンガポール海事港湾管理局の声明
Joint Media Statement: Joint Oil Spill Clean-up Operations Ongoing
(共同メディア声明: 共同の油流出清掃作業が進行中)
https://www.mpa.gov.sg/media-centre/details/joint-media-statement–joint-oil-spill-clean-up-operations-ongoing
広範囲に油流出、15km以上離れた場所にも流出した油漂着
流出した油の量は不明ですが、タンカー「MARINE HONOUR」の載貨重量トン数は9,003トンなので相当な量の油が流出した可能性がある。流出範囲も広範囲に広がっており、油流出元から15km以上離れた East Coast Park でも油の漂着が確認されています。
油流出の原因である衝突事故がどのようにして起きたのか気になるところですが、現段階では明らかにされていない。MPAは声明で衝突事故の調査を実施すると述べています。
浚渫船「VOX MAXIMA」
Van Oordの浚渫船「VOX MAXIMA」は、trailing-suction hopper dredgerというタイプで日本では、ドラグサクション式浚渫船と呼ばれています。浚渫方法は、土砂を吸い上げる吸入管を海底までおろして土砂と水を一緒に吸い上げて船内のタンクに積載するというもの。船内に積載した土砂の排出方法はいくつかあり、船首側から水と一緒に放射する方法や配管を接続して排出する方法がある。
船名 | VOX MAXIMA |
総トン数 | 29,920トン |
載貨重量トン | 43,401トン |
長さ | 198m |
幅 | 31m |
深さ | 17.5m |
船籍 | オランダ |
建造年 | 2010年1月 |
タンカー「MARINE HONOUR」
船名 | MARINE HONOUR |
総トン数 | 4,709トン |
載貨重量トン | 9,003トン |
長さ | 103.3m |
幅 | 18.6m |
深さ | 10.01m |
船籍 | シンガポール |
建造年 | 2007年9月 |
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