奄美大島の沖でプッシャー式のクレーン船「第八瑞穂丸」が岩場に座礁する事故が発生。国内のクレーン船事故としては近年稀にみる大惨事。幸いなことに乗組員の方は海上保安部のヘリで全員救助されたようです。
クレーン船「第八瑞穂丸」座礁事故
2022年10月25日未明、クレーン船「第八瑞穂丸」が奄美大島にある枝手久島の北およそ500m沖の岩場に座礁。118番通報をおこない救助を要請。現場周辺の海域は波が高く、船による救助は困難と判断した海上保安部はヘリコプターによる救助を行い、25日10時までに乗組員8人を救出。けが人はいないという。
クレーン船「第八瑞穂丸」は全長59m、幅22m、深さ4m。280トン吊りのクレーンを搭載。
ヘリコプターでの救出
事故当日のクレーン船経路
クレーン船「第八瑞穂丸」は事故があった25日に名瀬港から大島海峡へ向かう途中だったとのこと。地図で位置関係を見てみると近距離の回航であったことが分かる。
名瀬港と大島海峡の距離は約38マイル(約70km)。座礁したクレーン船「第八瑞穂丸」は押船式で曳航速力6ノットとして計算すると回航にかかる所要時間は約6時間。
38マイル ÷ 6ノット ≒ 約6時間
ニュース記事によると座礁したクレーン船「第八瑞穂丸」が118番通報した時刻は午前3時半。座礁した位置は回航距離の中間地点くらいなので朝7時くらいには目的地の大島海峡へ到着する予定だったことが分かる。
どうしても外せない作業がそこで予定されていたのでしょうか?
当日の海象状況を見ると少し不思議に思うところがありました。
事故当日の波浪状況
国土交通省が公開している「ナウファス」という全国の波浪観測値をリアルタイムで見ることが出来るサイトで事故当日の波浪状況を確認。
118番通報を行った午前3時半付近の名瀬港の波浪観測値は 波高2.8m、周期7.5秒 。なかなかの時化具合。しかも「第八瑞穂丸」は曳航式ではなく押船式。クレーン船の船体後部に押船をはめ込んで操船するので曳航式に比べて操作性は上がりますが、うねりには弱い。
そして日を遡って波浪データを見てみると前日の24日から波高2mを超える状況でした。普段から3m未満の波高だと普通に回航してたんでしょうか?地域的に海象条件の厳しい場所なのでありえない事もない気はしますが。
事故原因については今後、調査されると思いますが夜の暗闇の中で航行中に誤って浅瀬に乗り上げた可能性もあるけど、その前に押船側に何らかの不具合が生じて漂流しているうちに浅瀬に乗り上げた可能性が高いような気がします。なにはともあれけが人がいないというのが不幸中の幸い。ですが、座礁した船体から流出した油の処理や船体の撤去など企業的に大損害になることは明らか。
よく読まれている記事