「Nordseecluster A」向け最初のモノパイル納入

2025年3月14日、RWEはドイツ沖の北海に建設する洋上風力発電所「Nordseecluster A」向けとなる最初のモノパイル8本がオランダ北部のエームスハーヴェンに到着し、納入されたことを発表しました。
納入されたモノパイルは長さ約85m、1本当たりの重量は約1,500トン。モノパイル打設後に風力タービンのタワーと接続するTP(トランジションピース)設置が不要で、より迅速な設置とコスト削減が可能となるTPレスモノパイルという仕様。
モノパイル製造をおこなったのは、中国のDajin Heavy Industry(大金重工)。「Nordseecluster offshore wind project」は、15MWの風力タービン44基で構成される「Nordseecluster A」および60基で構成される「Nordseecluster B」の2段階で建設が計画されており、大金重工は合計104基の風力タービン基礎となるTPレスモノパイルを製造する。
「Nordseecluster A」のTPレスモノパイル設置作業は2025年夏に開始され、風力タービン設置作業は2026年から開始する予定。
重量物運搬船「GHT MARINAS」による海上輸送


出典:Dajin Heavy Industry
TPレスモノパイル製造場所である中国の山東省 煙台市 蓬萊区にある大金重工の蓬莱生産基地からオランダのエームスハーヴェンまで海上輸送をおこなったのは、全長241mの重量物運搬船「GHT MARINAS」。
中国からオランダまでの海上輸送は長距離である上に航行リスクのあるスエズ運河を通るのか、リスクを回避して喜望峰ルートを通るのかによって輸送期間は大きく異なる。今回と同様に大金重工で製造した「Thor offshore wind farm」向けとなる最初のモノパイル8基はスエズ運河を通るルートで2024年10月に輸送されており、同じルートで輸送される可能性が高いのかなと予想はしていましたが、気になったので調べてみました。
重量物運搬船「GHT MARINAS」のAIS情報を確認すると、中国を出発したのは2025年1月24日。そして、2月20日にスエズ運河を通過、3月6日にオランダのエームスハーヴェン到着。輸送期間は41日。やっぱり、スエズ運河を通っていました。

モノパイル輸送をおこなった重量物運搬船「GHT MARINAS」は中国船級社(China Classification Society)で船級登録されており、登録情報を調べると1982年建造で、建造場所は日本の ”Nippon Kokan K.K., Tsurumi Works”(日本鋼管株式会社 鶴見製作所)と記載されていました。2006年に重大な改造が実施されたとも記載されているので、建造時の船種が現在と同じなのかは不明。
船名 | GHT MARINAS |
総トン数 | 38,172トン |
載貨重量トン | 45,028トン |
長さ | 241m |
幅 | 42m |
深さ | 13.5m |
建造年 | 1982年3月 |
船籍 | リベリア |

出典:MarineTraffic | TKH
【動画】重量物運搬船「GHT MARINAS」からモノパイルを荷卸しする様子
Nordseecluster offshore wind project

- 設置位置:ドイツ ユイスト島から北へ35kmの北海
- 発電容量:総発電容量1,560MW(A:660MW [N-3.7 225MW・N-3.8 435MW]、B:900MW [N-3.5 420MW・N-3.6 480MW])
- 風力タービン:Vestas V236-15.0 MW、104基
- 風車基礎:着床式、モノパイル(最大重量1,750トン)
- 運転開始:Nordseecluster A=2027年、Nordseecluster B=2029年
「Nordseecluster offshore wind project」は、ドイツ北西部にあるユイスト島から北へ35kmの北海に建設が予定されている総発電量1,560MWの洋上風力発電所。事業者は、RWEとNorthland Powerの合弁会社。4つの風力発電サイトで構成されており、2段階のフェーズで建設が計画されている。

「Nordseecluster A」は、N-3.7(225MW)とN-3.8(435MW)で15MWの風力タービン44基で構成され発電容量は660MW。
「Nordseecluster B」は、N-3.5(420MW)とN-3.6(480MW)で構成され、発電容量900MW。
2023年4月にVan Oordは、「Nordseecluster offshore wind project」の風力タービン基礎輸送・設置について優先サプライヤーに選ばれたことを発表しています。そして、設置作業には中国のYantai CIMC Rafflesで建造し、2025年1月に引き渡しがおこなわれたSEP起重機船「Boreas」を建造後の初プロジェクトとして配備することを明らかにしている。
15MWの風力タービン輸送・設置については、Havfram Wind が選ばれており、「Boreas」と同様に中国のYantai CIMC Rafflesで現在建造しているSEP起重機船「Norse Wind」「Norse Energi」が配備される予定。
「Nordseecluster A」の風力タービン設置は2026年に開始され、運転開始は2027年初頭の予定。「Nordseecluster B」の風力タービン設置は2028年に開始され、運転開始は2029年初頭の予定。
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